横浜市立博物館の指定管理者の指定が公募から非公募へ

12月19日の東京新聞神奈川版の記事から

今度は民から官へ 指定管理者 見直し 美術館など公募 横浜市「そぐわぬ」
「官から民へ」をスローガンに、小泉純一郎元首相の肝いりで二〇〇三年に導入された指定管理者制度。全国最大規模の導入実績を誇る横浜市は、全国でも先進自治体だ。多くの施設で契約の更新時期を迎えているが、積極的な民営化路線に変化の兆しも見える。美術館や博物館などの文化施設では、非公募に切り替えたり、既存の外郭団体に管理を戻したりするケースが増えている。 (中沢誠)
横浜市は市議会の十二月定例会に、「横浜美術館」(西区)の指定管理者の契約更新の議案を提出した。管理者の選定を公募から非公募とし、外郭団体と民間企業二社との共同管理だった契約を元の外郭団体単独に変更。契約期間も五年から十年に延ばすというものだ。
 横浜市の場合、指定管理者制度導入にあたり、当時市長だった中田宏氏が、市民サービス向上とコスト削減から、市の公共施設の管理者を原則公募とする方針を打ち出した。文化施設にまで対象を広げたことは、全国でも注目を浴びた。
 ところが、横浜市は、契約更新を機に、文化施設の契約を見直し始めた。「横浜みなとみらいホール」(西区)は横浜美術館同様、非公募で選定し、共同管理から既存の外郭団体単独に移行した。市歴史博物館(都筑区)や横浜能楽堂(西区)など七施設も、本年度までに一斉に公募から非公募に切り替えられた。
指定管理者制度は経営効率化などが期待される一方で、当初から、企画の継続性や高い専門性が求められる文化施設への導入を危惧する意見があった。
 横浜美術館への公募制導入の影響について、市文化振興課施設担当の佐藤康博課長は、蓄積してきた知識や人脈の断絶、学芸員の質の低下を懸念し、「五年間の実績を検証した結果、公募はなじまないとの結論に至った」と話す。
 実際に企画展の準備で、作品を借りる相手先から、途中で管理者が代わる可能性があることへの不安を伝えられるケースもあったという。
 運営する外郭団体も担当者が「契約期間が短く、継続して運営できる担保もないため、職員の採用を抑えざるをえなかった」と明かした。
市によると、全国の政令市で美術館を所有する十八市のうち、十一市が直営。残り七市指定管理者制度を導入しているが、公募しているのは横浜と熊本の二市だけだという。
 横浜市のように契約更新にあたり、文化施設指定管理者制度を見直す自治体は増えている。栃木県足利市は〇九年度から市立美術館を直営に、広島市は一〇年度から現代美術館を非公募選定に切り替えた。
指定管理者制度> 2003年の地方自治法の改正により、自治体の外郭団体に限定されていた公共施設の管理運営に、民間企業なども参入できるようになった。横浜市は906施設(今年4月現在)で導入。このうち137施設が非公募で管理者を選定。第三者機関の評価を行っている。

だいぶん痛みを伴う試行錯誤であった。とはいえ,島根方式で公募を続けるべきという意見も残るところ。