博物館法で定める登録制度の設置者限定についての疑問

博物館法第二条は次のようになっている。

第二条 この法律において「博物館」とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(育成を含む。以下同じ。)し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関(社会教育法による公民館及び図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)による図書館を除く。)のうち、地方公共団体一般社団法人若しくは一般財団法人宗教法人又は政令で定めるその他の法人(独立行政法人独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。第二十九条において同じ。)を除く。)が設置するもので次章の規定による登録を受けたものをいう。
2 この法律において、「公立博物館」とは、地方公共団体の設置する博物館をいい、「私立博物館」とは、一般社団法人若しくは一般財団法人宗教法人又は前項の政令で定める法人の設置する博物館をいう。
3 この法律において「博物館資料」とは、博物館が収集し、保管し、又は展示する資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。)をいう。

第一項に「地方公共団体一般社団法人若しくは一般財団法人宗教法人又は政令で定めるその他の法人(独立行政法人独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。第二十九条において同じ。)を除く。)が設置するもの」とあるとおり、現在では、登録博物館になれるのは、公立(地方公共団体が設定するもの)、社団法人・財団法人・宗教法人立、それから博物館法施行令で定めるその他の法人(=日本放送協会日本赤十字社)が設置する博物館のみである。
国立の博物館、独立行政法人立の博物館、株式会社立の博物館、国立大学法人立の博物館、学校法人立の博物館、個人立の博物館などは、登録博物館になれない。
ふと思った疑問は、括弧内の「独立行政法人独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。第二十九条において同じ。)を除く。」についてである。
 独立行政法人通則法で規定される独立行政法人は、地方公共団体でも、社団法人でも、財団法人でも、宗教法人でもありえないから、わざわざ括弧内の文言を設けたのは「政令で定めるその他の法人」に独立行政法人を加えてはならないという立法上の強い意図があるからと思われる。
 だが、確かに国立博物館については文化財保護法の関係もあるのかも知れないが,その他の独立行政法人はどうか。国立美術館に対して、それだけの強い意図が必要なのか。国立科学博物館に対して、それだけの強い意図が必要なのか。
 日本放送協会日本赤十字社が博物館法施行令で個別に認められているように、博物館法の登録制度は、国が所管する特殊法人認可法人を強く排除するものではない。博物館法施行令を改正すれば国立大学法人が設置する博物館も、また地方独立行政法人が設置する博物館も登録博物館になれるということである。
国が設置する法人のうち、なぜ独立行政法人通則法が定める独立行政法人のみがわざわざ括弧書きで除外されることとなったのか、ご存知の方はお教えいただいただければ幸いです。