芦屋市立美術博物館(追記:横浜こども科学館の指定管理者について)

12月3日の毎日新聞兵庫版の記事から

芦屋市立美術博物館:来春休館の可能性も 指定管理者、市議会常任委で否決
◇共同事業体を指定管理者、市議会常任委で否決
芦屋市立美術博物館の指定管理者問題で、同市議会民生文教常任委員会は2日、不動産管理会社「日本管財」(西宮市)と市民グループ「癒しの森」(神戸市東灘区)による共同事業体を指定管理者にする議案を否決した。委員長を除き採決に参加した6人全員が反対したため、17日の本会議でも否決される公算が大きくなった。来年3月末まで、市が委託したNPO「芦屋ミュージアム・マネージメント」(AMM)が同館を運営するが、本会議の否決で4月以降の休館を余儀なくされる可能性もある。
同館は、「GUTAI」の名で世界的に知られる前衛美術家集団「具体美術協会」のコレクションで知られてきた。しかし、03年、運営していた芦屋文化振興財団が市の財政難のため解散する方針が示され休館の危機に陥った。その後、存続を要望する市民が中心になって作ったAMMが運営し、市も指定管理者制度への移行を目指してきた。今年6月の本会議で指定管理者制度を導入する議案が可決。公募した結果、6団体が応募。選定委員会が、「日本管財」と「癒しの森」による共同事業体を選んだ。「AMM」などの事業体が小差で次点だった。
2日の常任委では、「展覧会の経験がなく、館長や学芸員の人選も不透明」「共同事業体は芦屋市と直接的なかかわりがなく『市民協働参画』を掲げる市政方針と合致しない」などの意見が出た。【手塚さや香

これは大変な事態です。また,指定管理者候補選定委員会の詳細はわかりませんが,NPOの芦屋ミュージアム・マネージメントが候補者として選定されなかったこともびっくりしました。NPOの協力により,うまくリスタートできていた美術館だと思っていましたから。
それにしても,芦屋市の執行部,何とかなんないものか。(そういえば9年前に芦屋市立高校の廃校の件を本日記で紹介していました)
横道ですが,候補者に選定された「癒しの森」は震災時に芦屋南高校事務長をされていた田平氏のところでしょうか。


ちょっとさかのぼって美術博物館への指定管理者制度の導入調べてみました。
2010年6月15日の芦屋市議会民生文教常任委員会では,そもそも,芦屋美術博物館への指定管理者制度の導入が否決されています。

(かなり議員と執行部の間で議論がされた上で)
○(畑中委員長) これをもって、質疑を打ち切ります。
 次に、討論はございませんか。
◆(山口委員) この議案に反対をいたします。
 質疑の中でも言いましたけれども、美博の運営に指定管理はなじまないと思います。
 それから、今、委託のAMMも直営を望んでいるということ、それから、集客をふやすにはいろんなことの仕掛けがいりますからお金がかかります。お金をかけないといけないということと、それから、そういうことを今までもいろんな形でやろうという形で学芸員の人たちも企画されたりとかやってこられていると思いますけれども、やっぱり市ですね、市の、また教育委員会のやる気の問題じゃないかなというふうに思います。
 よって、反対いたします。
○(畑中委員長) ほかに討論はございませんか。
◆(木野下委員) 同じく反対の立場で討論をします。
 コスト優先に振興財団を解散させたことがこの問題のやっぱり大もとだと思います。
 また、今度コスト削減を優先して指定管理者制度にするということは二重の過ちを犯すんではないかと思います。
 指定管理者制度は先ほども言いましたように、やはり取り消しが相次ぎ、やはり文教施設にはなじまないというのがもう大方の見解になってきてます。
 そのときに、なぜ芦屋が指定管理にするのか、これも大きな疑問です。
 雇用の問題は、3年続けば安定だということではないでしょう。やはり、博物館という性格からして、芦屋の歴史風土にしっかり根づいた、そうした思いを持って仕事ができなければ、現実的には運営できない、運営というか、展示もできなければ仕事ができないと私は思います。
 どこからか、ほっと来て、芦屋のこと知らない人が芦屋の展示なんかできないと思うんですよ。
 そういう意味でも、直営でしっかりと芦屋市が責任を持ってやっていく、そのことがベストだと思い、反対します。
○(畑中委員長) ほかに討論はございませんか。
    〔「なし」の声おこる〕
○(畑中委員長) これをもって、討論を打ち切ります。
 これより採決を行います。
 念のため申し上げます。
 挙手をされない方は反対とみなします。
 では、本案は、原案のとおり決することに賛成の方、挙手願います。
    〔賛成者挙手〕
○(畑中委員長) 可否同数であります。
 よって、委員長が採決いたします。
 私は反対であります。
 よって、本案については否決と採決いたします。

一方,2010年6月30日の定例会では指定管理者制度の導入が可決。

◆18番(畑中俊彦君)・・・次に、第46号議案、芦屋市立美術博物館条例の一部を改正する条例の制定について申し上げます。
 当局の補足説明によりますと、本案は、芦屋市立美術博物館の管理を指定管理者に行わせるため、この条例を制定するというものであります。
 質疑では、まず委員は、美術博物館を指定管理にすると具体的にはどのように変わるのかとただしました。当局からは、指定管理者制度では、合理的な指定の期間や利用料金制をとれることから、市民に来ていただけるような企画ができる。また、約7,800万円の事業経費が指定管理の対象になるとの答弁がありました。
 次に、別の委員からは、全国的には指定管理を見直していかなければならないという流れがある。なぜ、芦屋はその流れに逆らって進んでいくのかとただしました。当局からは、文化施設に期待している目的や役割を適切に果たしさえすれば、直営か指定管理者制度かという管理形態にこだわる必要はない。昨年10月に改正した「芦屋市立美術博物館運営基本方針」というミッションを果たしてくれるのであれば、指定管理者制度を導入してもよいと考えているとの答弁がありました。
 さらに委員は、どのような美術博物館を目指しているのかはっきりしなければ、管理だけを任せてもうまくいかないのではないかとただしました。当局からは、簡潔に言うと、「市民に親しまれる美術博物館」であるとの答弁がありました。さらに教育長からは、指定管理にするのは収益の問題ではなく、指定管理者制度により学芸員たちの努力が報われ、自分たちの思いが発揮できるようなシステムにしたいとの思いからであり、指定管理にしても、市としてより積極的なかかわりを持っていきたいという答弁がありました。
 さらに別の委員からは、このような状況では文化が育たないと言われてしまう。芦屋の文化を守り育てたいと考えているのかと市長の姿勢をただしました。市長からは、社会教育施設の運営は、民の可能性、官の限界があるという強い信念を持っている。数年前から指定管理者制度で運営している施設は総じて成功している。美術博物館においても、必ずそういう結果が出る。指定管理者制度で運営をするから文化を捨てるということでは全くないので、御理解をいただきたいとの答弁がありました。
 この後、討論では、まず本案に反対の立場の委員から、美術博物館の運営に指定管理はなじまない。現在、委託を行っている業者も市の直営を望んでいる。集客をふやすためにはお金が必要であり、市と教育委員会のやる気の問題と考え、反対するという討論がありました。
 続いて、本案に反対の立場の別の委員から、コスト優先に文化振興財団を解散させたことが、この問題の大もとであり、指定管理者制度にすることは二重の過ちを犯すことになる。雇用の問題は3年続けば安定だということではなく、芦屋の歴史風土に根づいた思いを持たなければ、仕事もできないと思う。そういう意味でも、市が直営で責任を持つことがベストだと考え、反対するとの討論がありました。
 以上の審査の後、採決の結果、本案については可否同数となり、委員長裁決の結果、否決すべきものと決しました。・・・
○議長(徳田直彦君) 委員長の報告は終わりました。
 ただいまの委員長報告に対し、御質疑ございませんか。
     〔「なし」の声おこる〕
○議長(徳田直彦君) これをもって質疑を打ち切ります。
・・・
○議長(徳田直彦君) これより討論を行います。
 まず、報告第1号から報告第3号まで、及び第43号議案から第53号議案までの条例関係14件を一括して討論はございませんか。
 木野下議員。
◆21番(木野下章君) =登壇=芦屋市立美術博物館に指定管理者制度を導入しようという第46号議案に反対の立場で、日本共産党を代表しての討論を行います。
 反対する第1の理由は、社会教育施設指定管理者制度を適用するということへの見直しが広がってきているという点です。制度そのものの抜本見直しが求められる状況になってきています。
 先般の浜名湖でのボート転覆事故は、この4月から静岡県が三ケ日青年の家を指定管理者制度にして起きた事故でした。悪天候にもかかわらず、訓練を実施した。ボートを曳航したモーターボートを運転した青年の家の所長には、曳航の経験がなかった。そうしたことが明らかになっています。
 本来、スペシャリティーを必要とされる社会教育施設で、職員に専門性が十分備わっていなかった。特に危機管理の対応能力が備わっていなかったことを見れば、どのように業者選定されたのか、今までいた職員の雇用継続はどうなっていたのかなど、指定管理者制度の危うさを見せつけられました。
 総務省が2009年4月、指定管理者制度導入後の調査結果を発表しました。この調査の最大の特徴は、前回2006年調査時34件であった指定取り消し、業務停止などが2,100件と激増したことです。行政の仕分けによる期間満了取りやめなども含まれていますが、文教施設の場合には、指定取り消しのうち約5割が経営基盤の弱い地縁団体であり、制度適用のあり方そのものが問われています。
 この分野では、指定取り消し後の再指定は極めて少なく、行政側にもなじまない、適切でないという判断が働いています。非営利の分野に導入した場合、採算性、効率性を重視する余り、事業本来の目的を阻害すると細川厚生労働副大臣も言っているように、文教施設は指定管理者制度の適用除外とするなど抜本的見直しが求められる状況下にあるということです。
 2008年6月、参議院及び衆議院での社会教育法改正論議の中で、社会教育施設への指定管理者制度導入の弊害について配慮を求める附帯決議が上げられていることも指摘しておきます。
 第2の理由は、とりわけ博物館や美術館は3年から5年という短期の指定管理にはなじまないという点です。
 日本学術会議は2007年5月、「博物館の危機をのりこえるために」という声明を発表しました。その中で、指定管理者への期間を限った業務委託は、博物館の運営に不可欠な長期的展望の構築を困難にし、その基礎的役割を担う学芸員の確保と人材育成が危ぶまれる状況を招いていると深刻な実態に危機感を表明しました。
 芦屋の歴史、芸術、民族など、物や資料の保存をして市民にわかりやすく展示をしていくには、中長期の長いスパンでの展望なくしては不可能です。学芸員の質や力が問われますし、そういった学芸員をしっかり育てていくことが芦屋市の文化の力になるのではないでしょうか。
 その点で指定管理者制度は問題が大きいということです。官から民への大号令のもとでも、全国の博物館、美術館のうち直営が8割以上占めているということは、多くの自治体がその弊害を理解しているということではないでしょうか。一つ目の理由とあわせ、市長が言われる官の限界、民の可能性という論議にそぐわない施設だというのが大方の論議になっているということです。
 第3には、現在、業務委託を受けている芦屋ミュージアム・マネジメントも、本来、直営が望ましいと考えているということです。
 文化基本条例をつくった途端に美術博物館を指定管理者制度にするというのでは、芦屋市としての責任を放棄していくようなことにならないでしょうか。あとは指定管理者任せでは、文化基本条例が泣きます。
 芦屋市教育委員会は昨年10月、美術博物館の運営基本方針を定めました。美術博物館の使命、目的には、文化遺産の継承、学習機会の提供、市民参加、子供への教育、美術館と博物館の共存の五つが挙げられています。この使命、目的を果たすには、文化財の管理も学校教育も市民参画も行っている芦屋市が直営でやることこそが、最も効率的であると考えられます。ほかの団体が運営することになり、さらに3年から5年置きに指定管理者がかわっていくことになれば、使命、目的を果たすことから横道にそれることにもなりかねません。そのたびに美術博物館の姿が変わる可能性が出てくるのです。
 かつて行政改革で美術博物館の閉館さえ言われたのは、財政問題です。今は、美術博物館の使命、目的を果たしていく、文化を守るという方針が決まっているのですから、そのために芦屋市が必要な財政的裏づけはしっかりと行うべきです。
 市長は委員会審査の中でも、財政状況が直営に戻す状況にはないと言われました。しかし、財政状況の改善は顕著ですし、指定管理者と直営でのコスト比較に格別な開きが出るとは考えられません。委員会質疑の中で、指定管理者制度になれば、競争原理でコストが下がるとの当局答弁がありましたが、美術館、博物館でコスト削減を求める弊害が明らかになってきたこの間の教訓を踏まえない答弁でした。要は、文化に対して市長がどれほどの位置づけをされているのか、そこが問われているのです。
 第4に、雇用の問題です。
 今、働いている学芸員、職員の雇用が守られるかどうか、保障がなくなるということです。学芸員は本来、市の正規職員にすべきです。芦屋にしっかりと腰を据えて歴史風土を学び、芦屋ゆかりの文化人やその遺族とのつながりを強めていくには時間と蓄積が必要です。その役割を担う学芸員がころころとかわらされることになれば、芦屋の文化が守れるでしょうか。また職員も同様で、指定管理者がかわれば、ほうり出されるということになりかねません。公の施設で働く人たちの雇用問題として重大です。
 以上、反対の討論とします。
○議長(徳田直彦君) ほかに討論はございませんか。
 山村議員。
◆14番(山村悦三君) =登壇=第46号議案、芦屋市立美術博物館条例の一部を改正する条例の制定については、賛成の立場で討論をさせていただきます。
 過去、平成16年に「芦屋市政に関心をもとう会」の方たちから、美術館のあり方について等のアンケート調査がございました。その中で、財政の持ち出しをしない方法でとか、あの程度の美術館で膨大な経費が要るのか、また市独自の運営にこだわる必要はない、民間も含めて検討、民間活力の導入、市民やボランティアの力をとか、市民参画型の運営、民間委託に最善の努力等々、いろいろな御意見が寄せられております。私も、民間に委託をされても、そこから消えてなくなるものでないならば、市民と深いかかわりを持つような根の文化の拠点になればと答えております。
 そういった意味からも、この議案の趣旨と同じと思うところから、賛成の討論とさせていただきます。
○議長(徳田直彦君) ほかに討論はございませんか。
 前田議員。
◆12番(前田辰一君) =登壇=新社会党を代表し、第46号議案、芦屋市立美術博物館条例の一部を改正する条例の制定について、反対の立場から討論をいたします。
 討論の内容については、委員会審査で山口議員が細かく述べていますので、会議録に譲り、ここでは基本的な点について討論をいたします。
 この美術博物館をめぐる問題については、議会では過去より多くの時間が割かれ、議論がされてまいりました。その議論に新社会党としても積極的にかかわり、さまざまな提言もしてまいりました。
 芦屋市の指定管理者制度導入の最大要因は本市の財政問題にあり、山中市長就任直後の行政改革実施計画による徹底したコスト削減、公共サービスの切り捨てが端緒にあります。その中で、美術博物館の管理運営を民間にシフトしようとする方向性が声高に当時の担当部長などから発信をされるようになり、その候補者たる団体等の確証を得ているかのようなことも公言されたように思います。
 そして、これらの根幹にある問題が芦屋市文化振興財団の解散が規制緩和の流れに沿った先見性があるように履き違え、全国的先例であるかのように思い込んだことです。芦屋市が美術博物館の開設やルナ・ホール事業などの文化的事業の活性化と振興を図るために設立した団体を、その活動の検証と活動の方向性を確立すべき設立者がみずからの責任を放棄し、事よく有無を言わせず解散に追い込んだことです。
 事あらば、国際文化住宅都市とまくら言葉に多用し、アイデンティティー高く芦屋の品格を論じる市が金庫番としての役割は余念がなく、財政運営にたけているという称賛があろうとも、そのまちに住む人々の暮らしの目配りができず、市民が後世に伝えるべき文化遺産の存続と継承ができず、朽ち枯れるようなことでは、そのまちの姿はいかにとどめようとも、真に誇れるまちとは言えないのではないでしょうか。
 また、このたびの美術博物館への指定管理者制度導入という方向性は、過去よりの行政改革実施計画に沿うものとの流れとは切り離して考えなければならないことがあるのではないでしょうか。さきに述べたとおり、本市の文化行政、ここで問題となっている芦屋美術博物館のありよう、運営方針がどのようになっているかということであります。
 近ごろの教育委員会は、しきりに美術博物館のミッション、役割というものが肝要で、それに沿う運営が行われることが重要であると強調をされています。教育委員会が平成21年−−2009年10月にまとめた芦屋市立美術博物館運営基本方針は、この意味で、小さな都市の地域の美術館としての身の丈に合った美術博物館のありようを指し示しているとも言えます。
 しかし、ここに至る経過が全く逆立ちをしてきたのが本市の文化行政ではなかったかということです。1991年の美術博物館開設時の経過にさかのぼることは避けますが、2003年行革での民間委託方針、指定管理者制度導入を想定した文化振興財団解散方針、財団解散、美術博物館運営基本方針改定、文化基本条例制定と事を進めてきた格好ですが、市は初手で形あるものを壊し、何事もなかったように美術博物館のありようを定義し、国際文化住宅都市にふさわしい文化基本条例と称して、総合計画と相並ぶような基本計画策定を高みに持ち上げてしまったのが現状ではないでしょうか。
 この計画がどのような形で結実するのか、この中で美術博物館をどのように位置づけるのかという点は不明でありますが、改めて再整理がされた美術博物館の使命、目的で挙げられている文化遺産の継承、学習機会の提供、市民参加、子供への教育、美術館と博物館の共存という公的存在意義に立ち返れば、その中には指定管理者制度のねらいであるサービスの向上と経費削減という課題解決は、現状のNPO法人であるAMMへの委託内容、究極の契約委託費と比較すべき指定管理料は試算すらできないのです。指定管理ありきで美術博物館の使命と目的を度外視するような自主事業を促すような方向転換はあり得ない中で、収益活動を目的とする民間事業者などが応ずることは、まずないでしょう。
 また、指定管理者制度が導入され、再指定が行われている現状で、指定管理者制度に対する検証と見直しが総務省通知などを待つまでもなく各自治体で進められています。
 この中で、栃木県足利市の市立美術博物館では、運営の主体を数年ごとに選び直す仕組みが長期的な研究や企画、人材育成を必要とする美術館にはそぐわない。作品の寄贈や寄託などを考えると、市民の信頼を得るためには、継続して運営ができる保障がなければと直営に戻しています。
 このような指定管理者制度の見直しに対し、日本経済新聞は、制度を廃止して直営とする動きへ見直しへ至っているのは、これまで各自治体がそうした施設の特性や人材の確保を無視し、コストの削減をねらって指定管理者に飛びついた面が大きい。制度導入を経たことで、それぞれの美術館、博物館に見合う運営方式を選ぶ必要性を理解し、運営方式の見直しの機運が生まれてきたと指摘をしています。
 まさに現行受託者であるNPOが、この間の運営実施から直営での運営が望ましいと指摘をされていることを大切にして、運営基本方針に沿った芦屋的取り組みを再構築すべきと改めて強く求め、討論といたします。
○議長(徳田直彦君) ほかに討論はありますか。
 重村議員。
◆17番(重村啓二郎君) =登壇=第46号議案、芦屋市立美術博物館条例の一部を改正する条例の制定について、反対の立場でイーブンを代表して討論させていただきます。
 私は、国際文化住宅都市に生まれて生活することに誇りを持ち、感じております。芦屋市は国際、文化、住宅でまちづくりをしていかなければならないと思っております。しかし、現在の芦屋市の運営は、国際、文化いずれも現在の状況では看板に偽りありと判断させていただきます。
 文化、スポーツも文化であります。まちづくりをするには継続的な研究、企画が必要であり、何よりも一番大切なのは人材育成であると考えます。その美術博物館が5年、10年で選び直す指定管理にはそぐわないと判断いたします。
 私が平成20年12月議会で美術博物館は指定管理になじまないという一般質問をしたことを覚えていただいた市民の方から、ぜひ、この場で発表してほしいということがありました。「めぐり逢った作家たち」ということで、谷崎潤一郎さんのことを書かれている伊吹和子さんが書かれた文章の中に、芦屋市谷崎記念館に御遺族から寄託してあった新訳に関するほとんどの資料が記念館の経営母体が民間委託されたのを機に国学院大学におさめられましたと、こういうことが起こるわけですね。多分、指定管理にかわったら、今おさめておられる方も考え直しはるやろうし、今後そういう事態になったときに、芦屋市の美術博物館にそういう遺族の方からの寄託は非常に少なくなるのではないかと考えます。
 現在の指定管理はコスト削減に効果を求め過ぎております。目先の安かろう、よかろうは、10年後、20年後にはいろんな面で悪かろうとなって芦屋市民に戻ってくることは明白であります。つけ加えれば、コスト削減が日本の今、社会で問題になっている格差社会の一因になっていることもつけ加えさせていただきます。
 指定管理の限界、官の条例読みかえ、変更、市民参画、協働に可能性を求めて、この議案には反対をさせていただきます。
○議長(徳田直彦君) 帰山議員。
◆20番(帰山和也君) =登壇=公明党を代表し、第46号議案、芦屋市立美術博物館条例の一部を改正する条例の制定について、賛成の立場で討論します。
 ここで改めて言うまでもなく、本市が国際文化住宅都市として発展していくためには、文化、芸術の振興は不可欠の施策であると考えます。そのための拠点、手段の一つとして美術博物館があり、芦屋市の文化・芸術施策をより充実させていくためには、よりよい運営形態を模索していくことは当然のことであります。そして、新たな発想で文化、芸術を発信し続けるためには、直接の運営者、つまり芦屋ミュージアム・マネジメント−−AMMでありますとか、今後決定される指定管理者に思い切った運営が実行できるモチベーション、動機づけが与えられる必要があるのではないでしょうか。
 現状、美術博物館の予算の中で、管理運営経費おおよそ8,100万円の中でAMMの委託料は4,700万円で、企画展などを行うための事業費は人件費を除くと年間1,000万円程度ということでありますから、市民に親しまれる企画、運営には限界があるでしょう。これでは受託者も力の振るいようがありません。
 そして、聞くところによりますと、AMM自身が指定管理への移行を望んでいるというふうにも聞いております。もちろん指定管理は今後、公平、公正に選定されるべきであります。AMMが次の指定管理者になるかどうかわかりませんけれども、いずれにせよ、より親しまれる企画、運営を実行できるよう改革しなければなりません。今以上に美博の管理運営、企画に柔軟に対応できる運営形態を目指すべきであります。
 指定管理制度の導入に向けた取り組みを進めるべきであります。市の直営といっても、実際の運営は委託に頼らざるを得ないのが現実であります。現在の単年度ごとの契約では二、三年先を見越した企画も立てられず、現在、入館者数は年間2万4,000人程度で推移をしているということであります。現状のまま何ら改革に向けて取り組みを進めなければ、早晩市民から遊離した美博に逆戻りし、休館に追い込まれることにならざるを得ません。
 他市の状況に惑うことは重要でありますけれども、最後には芦屋市らしい美博の再生に向け一歩前進するべきであり、本議案に賛成の討論といたします。
○議長(徳田直彦君) これをもって討論を打ち切ります。
・・・
○議長(徳田直彦君) 次に、第46号議案、芦屋市立美術博物館条例の一部を改正する条例の制定について。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の方、起立願います。
     〔賛成者起立〕
○議長(徳田直彦君) 起立多数であります。
 よって、本案は可決されました。

指定管理者制度は美術館には向かない制度であると私も思いますが,今回の一件は,むしろ指定管理者の候補選定委員会や選定方針に何かあったのではないかと思わせるものです。上がってないのでよくわかりませんが。(12月6日追記:→選定委員会会議録は芦屋市のサイトにアップされています。まだ読み込んでいませんがリンクだけ張っておきます。)

12月7日追記 選定委員会会議要旨

平成22年度第3回芦屋市立美術博物館指定管理者選定委員会会議要旨を読んでみました。
候補団体については「日本管財・癒しの森共同企業体」と。次点の団体については「小学館集英社プロダクション,芦屋ミュージアム・マネジメント,グローバルコミュニテイグループ」と表記されています。浜名湖ボート事故の件について,委員会冒頭で説明があり,「今回の事故はストレートには減点・審査の対象にしない。」とはされていますが,多少小学館集英社にはマイナスとして働く可能性もあったでしょう。また,小学館集英社・AMMで気になったこととして「我々は,財団のときからの学芸員を引き継いだので,人件費の割合が非常に高かった。今回,心機一転,我々の中での行革をしていきたい。」という発言があります。また,選定委員の「経験のある方が必要と思う。」という意見に対し,「検討したい。」と回答されているところを見ると,学芸員を一新するつもりなのではと「邪推」してしまいます。AMMのこれまでの経験をどう活用する企画案だったのかはわかりませんが,そのあたり,余り強く出ていなかったのかもしれません。
それにしても,GUTAIはどうなる。

12月6日追記 横浜こども科学館でも指定管理者が替わるか

毎日新聞神奈川版の12月4日の記事に,横浜こども科学館の現在の指定管理者である財団法人横浜市青少年育成協会が,次期の指定管理者候補者選定から落とされたというニュースが出ています。

横浜市青少年育成協:宇宙科学館管理者落選へ 存在意義低下必至  3億5000万円減収
横浜市の「はまぎんこども宇宙科学館」(磯子区)の指定管理者である市青少年育成協会が次期管理者選定で落選し、16日の市議会で正式決定する。外郭団体の協会が「本家」の市側に落選理由を問う公開質問状まで提出する異例の事態になっているが、大口の事業を失う協会の存在意義が低下するのは必至だ。【杉埜水脈】
同館の来年度から5年間の管理者には協会と民間2グループが名乗りを上げた。今年9月の市選定委員会では、青少年育成理念を強調する協会より、管理費削減やリピーター獲得策などを提案したNTTグループ企業などの共同企業体が「コスト削減や利用率向上策が評価でき、民間活力に期待する」として次期管理者に内定した。
協会は前身の期間も含めて27年間、同館を運営。他に市青少年育成センターなど3施設の指定管理者となっているが、同館に絡む収入は年間計約3億5000万円で、他の施設も含めた指定管理事業の収入(約5億6000万円)の6割以上を占める。
選定結果は運営理念やサービス向上策、収支計画など10項目ごとの3者の得点と講評がが記された報告書が公開されただけ。協会は館の契約職員約20人の整理などを迫られるため「関係者に説明できない」と今月1日、選定委に理念や実績などがどう評価されたかを問う質問状を10日までの回答期限付きで送った。
市出身でもある大槻哲夫・協会事務局長は「外郭団体は市の施策を具体化していく機関。活動場所を失えば存在意義も無くなる」と悲壮感を漂わせる。
8月には、県立施設「地球市民かながわプラザ」(同市栄区)の指定管理者だった県の第三セクター「かながわ国際交流財団」もコスト面を主な理由に次期管理者選考で落選、県議会では「経費節減重視でサービス低下を招いては施設の意義を損なう」と懸念の声が相次いだ。
一方で、市の青少年育成事業には多くのNPOが進出している。協会などの今後のあり方を検討する市外郭団体等経営改革委員会でも、存在意義を問う厳しい意見がある。
指定管理者制度を管轄する市共創推進課は今回の結果について「外郭団体でも民間でも良いサービスが低価格ならいい」とコメントしている。

横浜こども科学館について,行政では「はまぎんこども宇宙科学館」という愛称を使っているようですが,市議会で可決された正式名称は「横浜こども科学館」ですので,この日記ではその名称を使います。なお,横浜こども科学館その他の横浜市の博物館等のネーミングライツの問題については,2007年12月12日のエントリーで触れています。
さて,横浜こども科学館学芸員に山田さんって方がいらっしゃいました。今回記事にあるように,指定管理者が替われば,学芸員も替わってしまうのかなと思って調べてみましたら,すでに山田さんは早期退職されていたとのこと。
山田さんはともかく,いずれにせよ,職員は替わらざるを得ない。団体としての青少年育成協会自体については,私自身あまり関心はありませんが,結局は横浜こども科学館の職員が,専門職員も含め,みんな入れ替わってしまうということでしょう。そうすると,やはり科学館の教育機能などは低下するのではないのかと疑わざるをえません。
新たに,横浜市青少年施設等指定管理者選定委員会が決定した指定管理者候補は「SFG・NTTファシリティーズ共同事業体」(代表者:株式会社コングレ)とのこと。期間は2011年4月1日から2016年3月31日まで。平成22 年第4回横浜市会定例会に第92議案として,指定管理者の指定に関する議案が上程されています。
選定委員会の「講評」(pdfファイル)は次の通り。

全体として僅差でしたが、コストの捉え方において差が生じたものと思います。
指定候補者については、プラネタリウムのメニュー等に新しい取組みが提案され、大変魅力的であると感じました。また、コスト削減に努めるとともに、マーケティングにおける利用率向上が図られている点について評価できました。民間活力に期待します。
次点候補者については、これまでの実績は評価できますが、展示物の更新を行わないなどの点について、少々保守性が感じられました。理念は理解できますが、今後の事業展開において疑問を感じました。

さて。


#そのうち,「小学校や中学校にも,指定管理者制度を導入」「数年ごとに入札を行い,競争性を高めることにより,効率化と学校教育の質の向上を図る」なんてことを教育委員会が言い出すのではないかと。(w

12月18日追記

12月18日の毎日新聞兵庫版の記事から

芦屋市立美術博物館:市議会、指定管理者案を否決 「経験ない団体不安」
芦屋市立美術博物館の指定管理者問題で同市議会は17日、不動産管理会社「日本管財」(西宮市)と市民グループ「癒しの森」(神戸市東灘区)による共同事業体を指定管理者にする議案を否決した。本会議で議長を除く20人全員が反対した。「美術館運営の経験がない団体に任せるのは不安だ」「市内の団体が複数応募したのになぜ市外だったのか」などの声が上がった。
同館は来年4月から指定管理者が運営することが既に決まっており、このままでは休館の恐れがある。しかし、山中健市長はこの日、「休館は絶対にしない」と明言したことから、選定委員会が次点にしたNPO「芦屋ミュージアム・マネージメント」(AMM)など3者による共同事業体を、年明けの臨時議会に提案する可能性が出てきた。
同館は市の財政難から03年に休館の危機に直面し、存続を要望する市民らが作ったAMMが06年度から委託を受けて運営している。
「癒しの森」の羽下大信代表(甲南大教授)は「事実誤認に基づいた議論で否決され極めて不本意だ」と話す。AMMの森下弘幸副理事長は「市から連絡がないのでコメントできない」と言う。【手塚さや香

それぞれ反対の理由は異なるのでしょうが,結果としては全員反対。
ちなみに癒しの森代表の羽下甲南大教授の専門は臨床心理・教育心理です。

2011年1月19日追記

1月19日の毎日新聞兵庫版の記事から

芦屋市立美術博物館:市議会委、指定管理者案を可決 AMM事業体に
芦屋市立美術博物館(市美博)の指定管理者問題で、同市議会は18日、臨時の民生文教常任委員会を開き、NPO「芦屋ミュージアム・マネージメント」(AMM)、小学館集英社プロダクション、グローバルコミュニティグループの3者による共同事業体を指定管理者にする議案を賛成多数で可決した。委員長を除く6人中5人が賛成した。今月24日の本会議でも可決される公算が大きい。
市美博は現在、市から委託を受けたAMMが運営している。市は11年度から指定管理者制度の導入を決め、参加者を公募。有識者による選定委員会が書面と面接の結果を点数化し、応募6団体の中から最高点を付けた団体を1位候補にし、AMMなどの事業体を僅差で次点にした。
ところが、市議会は1位候補を指定管理者にする案を否決。山中健市長は「休館はしない」としてAMMなどを繰り上げて議会に提案した。民生文教委では美術館に指定管理者制度を導入する問題点が改めて指摘されたほか4月からのAMMの運営体制についても懸念する声が上がった。AMMは計画通り展覧会などは開けるとしているが、予算面から正規の学芸員らの削減が避けられず館の運営体制は大きく変わる見通しだ。【手塚さや香

この記事中の「学芸員らの削減」については,上記12月7日追加分に

「我々は,財団のときからの学芸員を引き継いだので,人件費の割合が非常に高かった。今回,心機一転,我々の中での行革をしていきたい。」という発言があります。また,選定委員の「経験のある方が必要と思う。」という意見に対し,「検討したい。」と回答されているところを見ると,学芸員を一新するつもりなのではと「邪推」してしまいます。

と既に記したところです。
市議会の民生文教常任委員会としては,時期的にも,賛成せざるを得なかったというところでしょうが,そもそも芦屋市行政は,市立美術博物館がなすべきこと,期待することを明確にしているのか,それに必要な予算を入れようとしているのか,ほんとはそこから聞きたいところです。

2011年1月22日追記

1月22日の東京新聞神奈川版の記事から

職員をリストラ「市青少年育成協会」  「科学館」指定管理者外れ
横浜市の「横浜こども科学館」(磯子区)を指定管理者として運営する市の外郭団体「市青少年育成協会」が、2011年度以降の指定管理者から外れたことで、職員のリストラを進めていることが分かった。科学館での収入は全体の3分の1強を占めており、今後は厳しい経営を強いられるという。 (荒井六貴)
科学館は、一九八四年に開館。市は、協会の前身となる団体を設立し、管理運営を委託した。〇六年度に指定管理者制度を導入した後も、五年契約で運営を任せてきた。
 今回、契約満了に伴い、一一年度から五年間の指定管理者を初めて公募で募集。協会に加え、NTTの出資会社(東京)と文化施設運営会社(大阪)の共同企業体など計三団体から応募があった。
 外部の大学教授ら五人が審査。NTT出資会社などの共同企業体が八七・四点を獲得、実績で有利なはずの協会の八三・六点を上回り、指定管理者に選ばれた。
 委員会は、共同企業体の選定で利用者サービスの向上や収支計画などで高得点を与えており、「民間活力に期待する」と講評。
 一方で、協会については「実績は評価できるが、展示物の更新をしないなど、保守性を感じる」と指摘した。
 これに対し、協会は昨年十二月、結果の詳細な説明を求め、公開質問状を選定委員会に提出。委員会側は「個々の質問には答えない」としたが、協会は納得せず「委員会の運営、進行に誤りがあった」「評価の十分な議論がない」とする「見解」を発表した。
協会は、野島青少年研修センター(金沢区)なども管理運営しており、年間収入は約九億円。このうち科学館の管理運営による収入は約三億六千万円と三分の一強を占めている。
 今後、経営が厳しくなることから、協会は早期退職を募集。これまでに六人が三月までの退職に応じる予定で、契約職員二十七人のうち二十人を雇い止めにもする。
 協会の大槻哲夫事務局長は「質問状は、選定結果を覆そうと考えたわけではなく、職員らに説明するために出した」と説明。自身も市の元職員だが、「市は科学館を運営するために協会をつくったんだから、きちんと始末をつけてほしい」と訴えた。
 協会を所管する市の担当者は「協会の在り方は外部の有識者により検討されているので、かじ取りはその結論を聞いてからになる」と話した。

2011年1月25日追記

1月25日の毎日新聞兵庫版の記事から

芦屋市立美術博物館:管理者にAMM事業体 作品返還請求も−−市議会可決
芦屋市立美術博物館(市美博)の指定管理者問題で同市議会は24日、臨時議会を開き、NPO「芦屋ミュージアム・マネージメント」(AMM)など3者による共同事業者を指定管理者とする議案を可決した。運営主体になるAMMは「計画通り展覧会を開催できる」としているが、学芸員らの削減は避けられないため、作品の寄託者からは一時返還を検討する声もある。
市内在住の桑田敬司さんはその一人。「芦屋カメラクラブ」を中山岩太らと結成した写真家、ハナヤ勘兵衛のひ孫。作品72点やカメラなどを寄託している。桑田さんは「運営体制によっては作品が有効活用されないおそれがある。一度返却してもらい様子を見たい」と話している。
議決を受け、山中健市長は「市民に親しまれる美術館になるよう期待している」と発言。AMMの角野幸博理事長は「(市美博を)『市民による、市民のための美術博物館』として運営するよう努力する」とコメントを出した。【手塚さや香

誤解なきように付け加えますが,芦屋市立美術博物館は教育委員会所管の施設です。ただ,指定管理料削減に直結する削減予算を組んだのは市長。
議会での答弁の状況がわかりませんが,新聞に引用されている範囲内だけ読むと,あまりにも他人事のような発言。

2011年2月19日追記

2月19日の神戸新聞の記事から

学芸員が一斉退職へ 芦屋市立美術博物館 
阪神間で戦後、活躍した前衛美術集団「具体」のコレクションなどで知られる芦屋市立美術博物館(同市伊勢町)の学芸員4人全員が、大幅な人件費削減などに反発し、3月末で退職することが18日、明らかになった。学芸員の一斉退職は異例で、同館への寄託品の引き揚げを検討する所有者もあり、地域の文化を伝えるコレクションが散逸する恐れも出ている。(神谷千晶)
学芸員は、同博物館を運営するNPO法人「芦屋ミュージアム・マネジメント(AMM)」に所属。18日夜、芦屋市役所で事務職員を含む計5人が会見を開き、2010年度末での退職の意向を表明した。
同館は1991年に開館。財政難などから2006年以降、AMMに業務を委託した。学芸員は市職員からAMM職員になって仕事を続けていた。
市はさらに2011年度から指定管理者制度の導入を決定。今年1月、AMMと小学館集英社プロダクションなどを含む団体を指定管理者に選定した。
AMMなどでつくる指定管理者は、10年度に約3100万円計上していた人件費を新年度から約1100万円圧縮。学芸員を4人から2人に減らし、約2000万円に減額する方針を決めた。
約18年勤めた同館統括リーダーの明尾圭造さんは会見で「人件費や事業計画をめぐり、相談がないまま話が決まっていった。地域の歴史や文化に対する責任を考えると非常に残念だが、AMMに対する不信感が募っており、今後の運営には参加できない」と退職の理由を説明した。
一方、AMM側は「限られた予算の中で運営して行かなければならず、(退職は)残念だ」と話している。
学芸員4人全員の退職に、芦屋市立美術博物館に貴重な作品を寄贈・寄託している地域住民らが不安を募らせ、作品の引き揚げの検討を始めた。
同市で昭和初期に活躍し、前衛的な「新興写真」運動で知られた写真家・ハナヤ勘兵衛の作品を寄贈した遺族は「地元の文化をよく理解してもらい、長年、信頼関係を築いてきた学芸員がいなくなることは非常に不安だ」と話し、作品の引き揚げも検討。「(遺作は)芦屋の地域文化事業に生かしてもらいたいのだが」と複雑な心境を語る。
また江戸期の古文書や絵図などを寄贈した同市三条町の住民組織「三条会」の松本源一郎会長(69)は「週明けにでも地域のみんなで集まって話し合い、返却を求めるかどうか決めたい。今後の運営方針について、市はもっと丁寧に説明してほしい」。元「具体美術協会」メンバーの美術家、堀尾貞治さん=神戸市兵庫区=も「寄託作品は返却してもらう方向で考えている」としている。
同博物館は関係者に対し、寄託し続けるかどうかなど聞き取り調査を続けている。

多くの人が,AMMも含めて,芦屋市立美術博物館というそれぞれの思いを大事にしようとしているんですけれどもね。
指定管理者制度を導入して,地方自治体側では機能の維持を図りながら(実際には疑問が残る事例も多いのですが),経費の削減を図ってきています。そして,3年なり数年の指定管理期間が経ち,あらためて指定管理者を入札で募集する際に,さらに値下げの圧力が働きます。それは,しばしば施設や業務とは関係なしに。それは,個々人の思いを超え,指定管理者というシステムが陥りやすい(または内在する)欠点として。
芦屋市美博は,制度的には最初の指定管理者導入ですけれども,これまでAMMが運営を担ってきて,指定管理者の更新時のような値下げの圧力が市行政からあったのではないかなと勘ぐってしまいます。そして,それは市行政のせいというより,もしかしたら指定管理者制度自体にに内在する性格ではないかとも。

2011年3月5日

2011年3月5日の毎日新聞兵庫版の記事から

芦屋市立美術博物館:館長に市婦人会会長が就任へ −「子どもらの芸術意識高めたい」
4月から指定管理者制度に移行する芦屋市立美術博物館を運営する3者(芦屋ミュージアムマネジメント、小学館集英社プロダクション、グローバル・コミュニティ)が4日、市役所で記者会見し、運営体制などを発表した。館長には市婦人会会長などを務める広瀬忠子さん(83)、副館長には元商社社員の直場(ねば)健さん(39)が就任予定。学芸員は公募の結果、他館で勤務経験のある20〜30代の女性2人に決まった。
同館の指定管理をめぐっては、市議会に提案された別の事業体が否決されるなど選定が難航したが、当初計画した通り、4月2日から11年度8本の展覧会を開催する予定。
広瀬さんは「芦屋の子どもたちの文化芸術への意識を高める、幅の広い活動をしたい」、直場さんは「市民参加型の美術館として、さまざまな世代に気軽に立ち寄ってもらえる館にしたい」と地域密着を強調した。
同館は市の財政難から休館の危機に直面。存続を要望する市民らでつくるNPOの芦屋ミュージアムマネジメントが、06年度から市の委託を受けて運営してきたが、新年度から指定管理者制度を導入することになった。現在勤務する学芸員4人全員が退職予定で、寄託されている作品の所有者の一部から返還を求める声が上がるなど、新体制での運営を懸念する声も上がっている。【手塚さや香

副館長や学芸員がどんな方々かはわかりません。とにかく遠くからは美術博物館のことを思うしかないのですが。

2011年3月15日追記

3月15日の神戸新聞の記事から

行政に責任 学芸員一斉退職の芦屋市立美博 
芦屋市立美術博物館(同市伊勢町、美博)の学芸員4人全員が3月末で一斉退職する問題を受け、館への寄贈・寄託品を引き揚げる動きが続く一方、2011年度から指定管理者となる共同事業体が新体制での運営方針を発表した。学芸員らが、長年働いた職場を去ることを決断した理由とは。自治体に代わって民間団体が施設を運営する「指定管理者制度」を、市民の共有財産と言える文化財を預かる施設に導入することは妥当なのか。学芸員や研究者らに聞いた。(神谷千晶)
美博は1991年に開館。同市の財政難のため、2006年からは館の存続のため有志が設立したNPO法人「芦屋ミュージアム・マネジメント(AMM)」が運営主体となった。昨年末、市は11年度からの事業体を選定したが、市議会が否決。AMMと小学館集英社プロダクション、グローバル・コミュニティでつくる共同事業体(愛称=アシビィ)が指定管理者に決まった。4月以降、人件費は大幅削減され、学芸員は2人に。その分は展覧会の充実などに充てる方針という。
■作品散逸
 1993年に美博に入り、美術部門の学芸員を務めてきた加藤瑞穂さん(43)は「4人とも働き続けたいと思っているが、AMMとは目指す方向が大きく違う。現場の声を聞いてもらえず、給与の減額を突然、通告されるなど、不信感がぬぐえない」と退職を決めた理由を話す。「これまで協力してくれた作家や地域住民、収集家らに対して申し訳ない気持ちでいっぱい。やるせない」
 また「現場の仕事量や専門性を知ろうとする姿勢が見られなかった」と批判。美博は前衛美術家集団「具体美術協会」や近代写真をリードした中山岩太ら地元関係の資料を多数、所蔵。「国内外の研究者らの問い合わせに応じる一方、市民向けの企画や講演会を開き、光の当たらなかった文化や歴史も伝える努力をしてきた。2人体制では、責任を持った対応は難しいのでは」と話す。
 市民の間には「展示内容が分かりにくい」などの声もあった。加藤さんは「AMMに企画案を出しても『地味だ』といった感想だけで、改善するための具体的な話し合いに応じてもらえなかった」という。
 今後については「引き継ぎさえできていないので、作家や遺族との信頼関係がどうなるか心配だ。それがなければ、美術館運営に不可欠な作品寄贈や寄託、他館との貸し借りも成り立たない」と指摘。寄贈・寄託作品の多くが返却を求められている事態については「散逸してしまうのは非常に残念だが、価値を適正に評価して調査・活用できる施設が保有すべきだ」と話す。
■協力態勢
 4月から美博の指定管理者となるAMMは取材に対し「過去の経緯については現段階では話せない」と回答。4日に記者会見を開き、館長に就任する市婦人会長の広瀬忠子さん(83)らが「子どもから高齢者まで親しめる施設にしたい」「市民参加型の行事も増やす」と語った。
 2011年度は8件の展覧会を予定。「今まであまり展示していなかった良い収蔵品を生かしていきたい」とし、4月2日からの第1弾は芦屋ゆかりの洋画家・仲田好江さんらの展示を行う。
 学芸員の公募には約110人が応募し、学芸員経験のある20代、30代の女性2人が内定。新人2人で企画を担うことについて、アシビィは「限られた予算でのスタート。他のスタッフも学芸員資格を取るなど、協力態勢をつくりたい。今後、学芸員を増やす可能性もある」と説明した。寄贈・寄託作品の引き揚げについては「再び戻してもらえるよう、丁寧な説明に努めたい」という。
■対話欠く
 自治体の文化政策に詳しい中川幾郎(いくお)・帝塚山大教授(64)は「美博のあるべき姿を明確に示さず、関係者と話し合ってこなかった芦屋市の責任は重い」と話す。同時に「学芸員らは専門性の追求だけでなく、市民にもっと情報発信すべきだった。AMMは学芸員との対話に欠けていた」と指摘する。
 指定管理者制度が始まったのは2003年。しかし美術館や博物館への適用を疑問視する声が現場や研究者から相次ぎ、最近は文化施設への導入は減っているそうだ。「本来は民間の力を生かし、より良い運営を目指す制度なのに、多くの自治体は経費削減の手段と見なしている。質の高さを担保するため、学芸員の配置数や管理料の最低額などの基準を定めるべきだ」
 中川教授はこの制度の短所として、運営体制が数年で変わることが多いため、学芸員が施設を転々とする「渡り職人」化することを挙げる。「地方の小規模な施設ほど地域に根差した運営や企画が求められるが、学芸員が次々に変わると経験を蓄積できない」と危ぶむ。
 今後については「美術博物館は芦屋に必要なのか。新体制が動きだす時にシンポジウムを開くなどして、市民自身に考えてもらうことが欠かせない」と話している。

学芸員の存在って,博物館・美術館にとっては非常に大きいものだと思います。資料の選定,資料の価値を見る目,価値を創造する力,人々に伝える力,人々から学ぶ技,人々を動かす技。また,公立博物館・美術館の場合,その学芸員は税金で禄を食むこととなります(「指定管理者」という隠れ蓑を被せられる場合でも,基本は同じ)。
税金が投ぜられているからには,それだけの働きを見せなければならないのですが,一人学芸員だけではなかなか困難。学芸員の努力も必要ですが,設置者・運営者の動きも大事な要素。また,公立博物館・美術館を利用し,または支え,または取り巻く人々も大きな要素。(1)学芸員,(2)設置者・運営者,(3)取り巻く人々の関わり合い方は,個々の博物館,個々の自治体によって違い,なかなかこうであるべきということはできません。
だから難しい。
新しいふたりの学芸員に期待するしかないことは確かなのですが。 そして,そういう自体を招いた設置者・運営者は批判に値することも確かなのですが。

4月1日追記

4月1日の神戸新聞の記事から

寄託者の8割作品引き揚げ 芦屋市立美術博物館 
芦屋市立美術博物館(同市伊勢町)の学芸員が一斉退職する問題で、同館に美術作品や資料を預けている寄託者の7、8割に当たる約30の個人・団体が、作品などを引き揚げたことが31日、分かった。世界的に評価の高い前衛美術家集団「具体美術協会」メンバーの作品も含まれていたという。
同館については、4月から運営を担う指定管理者として、教育関連会社など三者でつくる共同事業体が選ばれたが、学芸員削減などの方針に反発した学芸員ら職員全員が3月31日での退職を表明していた。
学芸員によると、美術関係で返還した寄託品は、絵画や写真、文献などの少なくとも600点以上。「具体」以外にも同市ゆかりの洋画家小出楢重や、写真家中山岩太らが結成した「芦屋カメラクラブ」の作品もあった。
歴史関係でも、同市三条町の住民組織が、寄贈した江戸期の古文書など約数千点の引き揚げを決めている。松本源一郎会長らは「信頼してきた学芸員がいなくなり、任せられない」としている。(切貫滋巨)

7,8割の寄託者が資料を引き上げたというのは,美術館にとってはダメージが大きい。
7,8割のサポーター,支援者から,ノーをつきつけられたという事実は,美術館の運営に大きな影響を及ぼさざるを得ないでしょう。資料だけの問題ではないのです。博物館と住民との関係性の問題です。ノーをつきつけられた博物館の運営の件,指定管理者のプロポーザルの内容も問題があったとは言えますが,基本的には設置者である芦屋市行政に問題があったと考えなければならないでしょう。


美術館,博物館の使命の一つに,「存続すること」っていうのがあるんじゃないかと考えています。
もちろん,研究とか,展示,教育普及活動などを通しての市民へのサービスは大きな使命ですが,貴重な資料を,適切な状態で,共有しながら未来に受け継いでいくことが博物館の使命。
博物館が存続してこそ,未来への責任を果たすことができる。
ただ,どうしても博物館が閉館し,また解散することは当然あり得ることです。そのとき変な形で解散してしまうと,資料は散逸し,適切な状態で保存できなくなり,所有者以外の人はなかなか利用することができなくなります。それこそが博物館の死。もし博物館が存続できなければ,最悪うまく終息させ,キュレーション能力のある学芸員がいる他の博物館等にまとまった形で引き渡すことができれば,博物館の心は何とか生き続けることができる。
そんなことを考えなければならない段階に来ているのではないかと,少し怖くなっています。

5月8日追記

大阪歴史学会,大阪歴史科学協議会,神戸史学会,日本史研究会連名の芦屋市長あての公開質問状を転載。

芦屋市立美術博物館の運営方針に関する最近の動向について
2011(平成23)年3月31日
  芦屋市長 山中 健 様
芦屋市立美術博物館の運営方針に関する最近の動向について、憂慮されるような新聞報道がなされています。2月18日に行われた同館学芸員による記者会見で、同館学芸員が3月末をもって一斉退職すると、かつそれにともない歴史資料や美術作品を寄贈・寄託している市民が館蔵品の引き揚げについて検討していることが明らかとなりました(『神戸新聞』2011年2月19 日付)。
 同館は地域における歴史資料や美術作品を保存・収集し、それを様々な企画などを通じて市民に提供することで、芦屋市民にとって歴史文化の発展、まちづくりの基礎となる役割を果たしており、私たちは阪神・淡路大震災以来、歴史研究団体として同館の活動を支援してまいりました。今回の事態は、これまで積み上げられてきた地域の歴史文化の発展、市民の地域づくりを阻害する恐れがあり、深く憂慮しております。この点で、貴市とともに、地域の歴史文化の発展のために、よりよい方向が見い出せないか、考えていきたいと思っています。
 そこで、この問題についての正確な事情を把握するとともに、今後の貴市の対応について、以下のような点を中心に、お伺いしたいと考えております。
1.現在、同館には旧三条村共有文書や小阪家文書、井床家文書、増谷家文書など、近世以来の芦屋市域の歴史的な様子のわかる史料群が所蔵されています。これらの歴史資料群は芦屋市民にとって貴重な共有財産でありますが、すでに、『芦屋市史』の江戸時代記述の中心となった小阪家文書とともに芦屋市指定文化財である四季耕作図屏風(小阪家)等の寄託資料の返還請求のほか、旧三条村共有文書を寄贈した「三条会」が、寄贈史料の引き揚げについて検討を始めております。こうした市民の貴重な共有財産を管理する立場として、また芦屋市民の歴史文化の発展に責任を負う立場として、このような事態に対し、どのような対応を取っていかれるのでしょうか。
2.上記のような館蔵品引き揚げが広まっていることの背景に、学芸員数の削減、そのことによる所属学芸員の一斉退職などがあると報道されています。博物館の運営は学芸員と市民との日常 的な信頼関係によって成り立っているものですが、このような状況は、地域の歴史文化の振興において大きな課題を残すことになるのではないかと憂慮しております。同館の設置者として、地域の歴史文化の核となる博物館の運営を進めるために、今後どのような対策を取られるのでしょうか。また、今後の同館の運営において、地域の歴史文化の問題への取り組みについて、貴市としてはいかなるお考えをお持ちでしょうか。
4月中旬をめどに、直接お会いしてお話をうかがいたいと考えております。その旨ご回答よろしくお願いいたします。
以 上  

大阪歴史学
 大阪歴史科学協議会
 神戸史学会
 日本史研究会

2013年1月15日追記

この新聞記事を追加していませんでした。
 2011年10月01日の神戸新聞の記事から

運営体制変更、寄託品戻る 芦屋市立美術博物館
芦屋市立美術博物館(同市伊勢町)で今春、運営体制の変更に伴って所有者に返却された寄託品の一部が、このほど同館に再寄託された。洋画家・小出楢重(ならしげ)(1887〜1931年)ら、芦屋ゆかりの3作家の作品や資料。同館は「信頼を回復できてうれしい。展示や研究活動に生かしていきたい」とし、22日から始まる展覧会で一部を公開する。(神谷千晶)
 同市は今年4月、同館に指定管理者制度を導入。2006年度から業務委託を受けて運営していたNPO法人「芦屋ミュージアム・マネジメント(AMM)」を含む事業体が指定管理者に選ばれたが、運営方針に反発した学芸員4人は全員退職した。その際、同館に美術作品や歴史資料などを寄託していた56人に意向を尋ねたところ、7割が返却を求めたという。
 だがその後、同市教育長が新体制について作品所有者らに説明。5月から8月にかけ、小出楢重、芦屋で活躍した写真家のハナヤ勘兵衛(1903〜91年)、同市出身の写真家・川廷(かわてい)昌弘さん(48)=神奈川県在住=の作品所有者から市に「再び寄託したい」と申し出があった。
 再寄託されたのは、小出のものが画帳27冊や素描6点をはじめ、雑記帳、書簡、自筆原稿など。ハナヤは作品パネルやネガ、川廷さんは阪神・淡路大震災翌年の芦屋を写した作品など。
 小出の孫の小出龍太郎・大阪芸術大短期大学部教授(59)=宝塚市=は「当初は十分な説明もなく運営者が変わるなど不安が大きく、寄託品を引き揚げたが、春以降の展覧会や新しい学芸員の対応を見て安心できた」と再寄託の理由を話す。ハナヤのひ孫にあたる写真店経営の桑田敬司さん(34)=芦屋市=も「今後も芦屋の文化の発信拠点として頑張ってほしい」と期待を込める。
 同館は戻ってきた寄託品の一部を、22日から12月11日に開くコレクション展「美術の中の風景散歩」で展示。小出関連の資料やハナヤ撮影の風景写真などが出展される予定という。
 一方、阪神間で活躍し、世界的に評価の高い美術家集団「具体美術協会」関連の寄託品の多くは、返却されたまま館外にある。同館は「具体」のコレクションで国内外に知られており、同市教委社会教育部は「寄託先として信頼されるよう、今後も努力していきたい」としている。 同館TEL0797・38・5432

桑田さんのハナヤ勘兵衛資料が再度芦屋市立美術博物館に寄託されたとのこと。
それにしても,2011年度の芦屋市立美術博物館の人件費は2062万円。 資料をきちんと保管し,活用する。生かすも殺すも館長次第であり,学芸員次第。 「芦屋ミュージアム・マネージメント」(AMM)と小学館集英社プロダクション,そして,そもそも芦屋市・芦屋市教育委員会様。よろしくお願いいたします。