東大阪市議会で指定管理者を指定する議案が否決

3月12日の毎日新聞大阪版の記事から

東大阪市議会:市立施設管理の継続6議案否決 /大阪
東大阪市議会3月定例会が11日開会。昨年12月定例会から継続審議になっている市立施設の指定管理者に関する6議案は、反対多数で否決された。
 6議案は▽市民プラザ▽市立男女共同参画センター▽市立産業技術支援センター▽市立総合体育館▽市立東体育館▽市立児童文化スポーツセンター−−の4月からの指定管理者を指定する案件。
 この日の討論で、反対議員からは「06年3月に策定された外郭団体の見直し方針から、進展が見られない。行政の不作為と言わざるをえない」と、賛成議員からは「官から民へという全国的な流れに逆行するわけにはいかない」との意見が出た。採決の結果、19対25で否決された。
 これを受け、市側は既に発表している08年度当初予算案を修正する。当該施設の4月以降の管理は、市の直営となる。【中本泰代】

児童文化スポーツセンターは,子どもが科学に親しめる科学展示室やプラネタリウムも持っている科学館的な施設ですね。
それにしても,もう少し事情がわからない。
「市民プラザ」は「東大阪市施設利用サービス協会・NTT-F共同事業体」,「男女共同参画センター」は「(財)東大阪市施設利用サービス協会」,「産業技術支援センター」は「(財)東大阪市中小企業振興会」,「総合体育館」は「コナミスポーツ&ライフ 近鉄ビルサービスグループ」,「東体育館」は「(財)東大阪市公園協会」,「児童文化スポーツセンター」は「大阪ガスビジネスクリエイト・大阪ガストータルファシリティーズ共同事業体」が指定管理予定候補者にそれぞれ選定されていたところです。一部議案のみの否決でなく,全部の否決とは何があったのか。
東大阪市の市議会だより152号(2月15日発行)に,12月定例会での様子が一部紹介されています。

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指定管理者制度は、公共施設の管理運営に民間手法を取り入れる制度で、本市では平成十八年四月から導入しました。
当初は多くの施設において、公募を行わず市の外郭団体(財団法人東大阪市公園協会等)を指定管理者に選定しました。
そのため、前回の選定時には契約期間を本来の三年契約を二年間に限定し、今後の選定については、課題となっている外郭団体の統廃合を含めた見直しを行ったうえで、公募することが条件となっていました。
しかし、今回の公募による指定管理者の選定は、これまでの約束であった外郭団体の見直しが一向に進んでいない状況下で行われました。
この結果、安易な公募による指定管理者の選定を行えば、外郭団体の一方的な廃止につながる恐れがあり、市はまず外郭団体の見直しを行ったうえで、公募にすべきであり、現時点での選定には問題があるとして議会は、議案を引き続き閉会中に継続審査をすることに決定しました。

議会の各会派等の12月議会での主張は次の通り(会派名は省略)

指定管理者制度は公共施設の管理を民間に任せる制度で、住民の権利が狭まり、企業の営利追求の場になりかねない。また、反対運動や訴訟の場合の直接的責任は、市でなく指定管理者が負うなど、住民の福祉増進という自治体の使命が発揮できない。この根本問題の議論を深める必要がある。

本市の外郭団体のうち、公園協会が総合体育館、東体育館の管理運営にかかわる収入は、全体の53.4%を占めており、また施設利用サービス協会においても、児童文化スポーツセンターの受託収入は全体の30.4%であり他の民間事業者が指定管理者となった場合、両協会の存続問題につながることは必至である。
しかるに、今回各常任委員会において、指定管理者の検証も外郭団体の抜本的な見直しも検討されていないことが明らかとなった。
よって、指定管理者の指定の六案件については、経営企画部で早急に指定管理者制度の検証と外郭団体の抜本的見直しを行い、それらの内容を議会において審議した上で結論を出すべきであると考える。

やはり,良く わかりません。
公共サービスの在り方,外郭団体の「親会社」としての雇用者責任など,いろいろな意見が複合する中で,否決ということになったように見えます。
公共サービスの在り方,雇用者責任について,議論を深める機会になれば,結果よしと言えるかもしれません。