鉄建機構の利益剰余金の取扱い
東葉高速鉄道と北総鉄道の長期債務の軽減に、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金の活用を求める意見書
東葉高速鉄道と北総鉄道は、県北西部地域と都心を結ぶ地域の重要な交通機関であり、地域のまちづくりの拠点としても、沿線にとって欠くことのできない鉄道である。
しかしながら、両鉄道は、現在の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という)による民鉄線建設方式、いわゆるP線方式により建設されたものであるが、この方式は建設に伴う資金の大部分を有利子資金で調達するとともに、工期の長期化などによる建設費の高騰等のリスクに対しても、鉄道事業者がすべての責任を負う非常に厳しい制度であると言わざるを得ない。
このため、平成21年度末現在においても、機構に対して、東葉高速鉄道は約3,109億円、北総鉄道は約785億円の長期債務を抱えており、その償還額は利息を含めて膨大であり、会社の経営を圧迫しているとともに、高運賃にならざるを得ない状況にある。
一方、本鉄道の後に建設されたつくばエクスプレス等の新線は、無利子貸付金や補助金の支出等により、建設に充てる無償資金の割合を高めるなど、当初から経営安定化に向けた手厚い配慮がなされている。
このことから、東葉高速鉄道や北総鉄道は、圧倒的に不利な条件のもとで経営を強いられている。
このたび、平成22年4月27日の政府の行政刷新会議において、機構の特例業務勘定における1兆3,500億円の利益剰余金について、国庫返納との判断がなされ、その活用が検討されている。
また、この利益剰余金については、JRの株式売却などの「国鉄清算業務」に伴う利益を積み立てたものではあるが、東葉高速鉄道と北総鉄道の長期債務の軽減等の鉄道政策のために活用することは、機構の基本理念である「明日を担う交通ネットワークづくりへの貢献」にもつながるものである。
よって、国会及び政府においては、特に厳しい経営状況にある東葉高速鉄道及び北総鉄道の長期債務を軽減するため、機構の利益剰余金を活用することを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
【提出先】衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、国土交通大臣、内閣官房長官、行政刷新担当大臣
一方12月21日の日経新聞の記事から
鉄建機構の剰余金1.2兆円、国庫返納 財務相・国交相が合意
野田佳彦財務相と馬淵澄夫国土交通相は21日午後、2011年度予算編成の閣僚折衝で、国交省所管の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の剰余金(1兆5000億円)のうち1兆2000億円を国庫返納することで合意した。基礎年金の国庫負担割合を2分の1に維持するための財源(2兆5000億円)に充てる。
財務相は折衝後、記者団に「あくまで臨時財源なので11年度限りの対応にしなければならない」と強調。その上で「2.5兆円はぎりぎり確保できる見通しになったが、税制抜本改革をやり遂げて財源を確保するのが筋だ」などと語った。
国交省側は剰余金を鉄道事業に活用したいとして返納額を5500億円にとどめるよう主張、財務省は1兆5000億円全額の国庫納付を主張していた。最終的に北海道、四国、九州、貨物のJR4社に対する助成や無利子貸付、並行在来線の支援などを別途、実施することで歩み寄った。〔日経QUICKニュース〕
東葉高速鉄道は,2009年度の営業利益は47億2100万円で黒字。ところが鉄道建設時の長期債務に係る支払利息が46億200万円。東葉高速鉄道,北総鉄道とも,運賃は日本一高いなどと言われ,通勤手当が出るような勤め人はともかく,通学定期の負担はなかなか大変なものです。
千葉県議会の要望,なかなか難しいんでしょうけれどね。今からでもなんとかなんないかな〜と,ある意味地域エゴ丸出しで要望。
12月22日追記
鉄道・運輸機構の剰余金 「債務軽減に」要望 県議と国会議員
自民党を中心とした県議らは二十一日、国土交通省を訪れ、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の利益剰余金を、東葉高速鉄道と北総鉄道の債務軽減に活用するよう求める意見書を提出した。だが、関係大臣によるこの日の協議で、剰余金は国庫に納付することが決まった。
同省を訪れたのは、両鉄道の沿線から選出された自民党の県議九人と、民主党の県議二人、両党の国会議員。剰余金一兆三千五百億円について、県議らは「本来なら鉄道関係に使われる金。一般会計になるのは目的外だ」と主張。同省の竹歳誠次官は「われわれも国に取られたくはないが、国全体の財政が厳しい」と理解を求めた。
国庫への納付が決まったことについて、自民党の河上茂県議は「今後も要望を続ける」と述べた。意見書によると、北総鉄道は約七百八十五億円、東葉高速鉄道は約三千百九億円の長期債務を抱え、高運賃や経営圧迫の要因になっているとしている。 (平松功嗣)