東京多摩地区の「ホームレス襲撃事件」の容疑者逮捕

昨年6月20日国立市多摩川河川敷で起きた殺人未遂事件の容疑者として,1月3日,警視庁捜査1課は,多摩市の36歳のフリーター?の男性を逮捕したとのこと。警察は容疑者を拘禁して,昨年3月以降今年1月2日までの5件の「一連のホームレス襲撃事件」との関連を調べるとのことです。
いつものことですが,今回も,まずは誤認逮捕(つまるところ冤罪)ではないかと疑うことにいたしましょう。

1月4日の毎日新聞の記事から一部改変

(警視庁捜査1課によると,)容疑者は「(事件現場の国立市谷保の多摩川河川敷には)行ったことがないし,知らない。逮捕状にはめちゃくちゃなことが書いてある」と容疑を否認している。
(警視庁捜査1課長の)会見によると,・・・容疑者は(1月)2日午後4時頃,多摩市の自宅を自転車で出発。2人の捜査員が車と自転車に分かれ,(男性を密かに)追跡した。・・・しかし,世田谷区で(男性の)姿を見失い,・・・
(その)約15分後の5時45分ごろ東名高速高架下で頭から血を流して倒れている男性を捜査員が発見したという。
(警視庁)捜査1課(長)は、逮捕容疑の国立市の事件について、容疑者の関与を示す直接証拠はないものの,(1)・・・現場近くの防犯カメラに自転車に乗った容疑者とみられる人物が映っている,(2)カメラに映っていた自転車と容疑者の使用している自転車が(とてもよく似ている),(3)被害者が容疑者の顔(が犯人の顔と似ていると言った)−−などから容疑は固まったと判断。

警視庁が容疑者の属性を「フリーター」と発表したようです。職業の表現としては,従業員なり,リサイクルショップ店員なり,アルバイトなりの方が適切ですので,「フリーター」という表現は職業を表すものではなく,容疑者の特定の属性を示すものと考えた方がよさそうです。そして,警視庁は,フリーターという属性にスティグマを与えたがっているように見えます。
 #なお,フリーターの定義について,内閣府国民生活白書』(2003)では,「15〜34 歳の若年(ただし,学生と主婦を除く)のうち,パート・アルバイト(派遣等を含む)及び働く意志のある無職の人」としています。また,厚生労働省労働経済白書』(2003)では「年齢 15〜34 歳,卒業者,女性については未婚者に限定し,さらに,(1)現在就業している者については勤め先における呼称が「アルバイト」又は「パート」である雇用者で,(2)現在無業の者については家事も通学もしておらず「アルバイト・パート」の仕事を希望する者」としています。