ぐんまフラワーパーク等続報

群馬県議会9月定例会が本日で終了,各常任委員会,特別委員会の委員長報告がなされた。
まず,総務常任委員会委員長報告

県立ぐんまフラワーパークの指定管理者による雇用問題などが指摘され、指定管理者の評価方法などについて質疑されました。

環境農林常任委員会委員長報告

農業局関係でありますが、まず、ぐんまフラワーパークの指定管理者である「株式会社ぐんまフラワー管理」について、指定管理者として選定された経緯、その後の同社の管理運営状況の指導について、当局の対応が質されました。
 特に、指定管理者の選定前から当局に寄せられた同社に関する様々な情報に関し、十分な調査がなされなかったこと、また、選考委員会への報告がされなかったことについて、当局の見解が厳しく求められました。
 更に、「ぐんまフラワー管理」で発生している運営上のトラブルや、関連会社である「株式会社ファーム」が抱える巨額の負債などが指摘され、大変憂慮される状況であるとの意見が述べられるとともに、「ぐんまフラワー管理」に対する県の指導責任が強く求められました。
 以上の質疑の結果、指定管理者の選定から現在までの対応状況について、県当局に報告書の提出を求め、再度委員会を開催し質疑を行いました。
 その結果、本委員会として県当局に対し、これらの状況を重く受け止めるよう要望するとともに、ぐんまフラワーパークの管理の適正を期するため、「株式会社ぐんまフラワー管理」に対して、早急に当該管理の業務又は経理の状況に関し報告を求め、実地調査を行い、今後の推移によっては指定管理者の取り消しなど必要な措置を取るよう強く要望することを本委員会として決議いたしました。

安全・安心なくらし特別委員会委員長報告

「赤城高原牧場クローネンベルク」通称ドイツ村について、食品衛生管理者の不在問題や、上水道への井戸水混入問題、園内での動物の埋葬問題など衛生管理面での問題点が指摘され、当局の対応状況や見解が質されました。
 また、ドイツ村の経営主体と「ぐんまフラワーパーク」の指定管理者である「ぐんまフラワー管理」の設立主体が同一であることから、双方が抱えている様々な問題について、県内部での横断的な取り組みが求められました。
 更に、双方の親会社である「株式会社ファーム」を巡る最近の不祥事にも議論が及び、特に「ぐんまフラワー管理」は運営上のトラブルも生じており、指定管理者として不適格ではないか、県当局として指定を取り消すくらいの態度が必要ではないか、との意見が出されました。

また,委員長報告に引き続き行われた討論でも,

 フラワー管理の指定にあたって,メールが知事宛にあったにもかかわらず封印して審議された。運営について,まさにずさんの一言につきる。と委員会での議員の発言もあった。理事が把握しているとは考えられない,県が適切に指導しているとは思えない。
 業務内容全般について報告を求める。理事を筆頭に,現地を調査し,議会側から提示された問題点の解決につとめるようお願いする。
 100億円近い金額の県民の財産。フラワーパークがグリーンパークと言われ始めている。県民の財産を守ることを第一に考えてほしい。他の施設でも,指定管理者について取り消しが必要な場合が出てくるかも知れない。その際の手続きについて検討しておくことが必要。
(かなり省略していますし,若干文意が変わっているところもあるかもしれません)

などの発言がなされました。
詳細については,群馬県議会のページ,
http://www.pref.gunma.jp/k/01/h18houkoku/iintyouhoukoku.htm (委員長報告)
http://www.gunma-pref.stream.jfit.co.jp/gikai_result.php?GIKAI=%CA%BF%C0%AE18%C7%AF9%B7%EE%C4%EA%CE%E3%B2%F1&DATE=20061011&CATE=%CB%DC%B2%F1%B5%C4%A1%CA%CA%C4%B2%F1%A1%CB (議会中継)
から。

群馬県議会9月定例会本会議における各委員会委員長報告後の討議について,正式バージョン 12月21日追記

すでに,ドラフトを載っけていましたが,県議会会議録に正式版が挙がっていたので追記します。自民党の南波和憲議員の発言です。

 1点目は、指定管理者にかかわる問題であります。
 環境農林常任委員長の報告にもありましたが、ぐんまフラワーパークの指定管理者である株式会社ぐんまフラワー管理を指定するに当たって、事前にその危険性を指摘するメールが知事あてに打たれていたにもかかわらず、それらを封印して審議したことなど、ぬぐいようのない疑念が残されております。また、運営について、ある議員が申しました。まさにずさんの一言に尽きる。このフラワーパークの運営上の問題点に対し、一般質問の答弁を聞いた限りでは理事が把握しているとは考えられません。県が適切に指導しているとは思えません。委員長の報告のとおり、株式会社ぐんまフラワー管理から現状行っている業務内容全般について報告を求めると同時に、理事を筆頭に実際に現地を調査し、現状を把握して議会側から提示された問題点の解決に努めるようお願いをいたします。
 事件は会議室で起きているのではありません。現場で起きているのです。ぐんまフラワーパークは100億円近い金額を投下した県民の財産です。フラワーパークがグリーンパークと言われ始めています。花ではなくて、ペンペン草が生える施設にならぬようお願いをいたします。県民の財産を守ることを第一に考えていただきたいと思います。
 また、各局が選定したどの事業についても、指定管理者に対して取り消しが必要となる場合が出てくるかもしれません。そのとき、どのような手続きや措置をとっていくのか、その方法についてあらかじめ整備しておく必要があろうと思います。御検討をお願いいたします。

群馬県立知事あての告発メールについて 10月23日追記

指定管理者と行政の間は,丁々発止か,和気藹々か。
これはこれで難しい問題。
やりようによっては,行政から指定管理者への富の移動が起きる。また下手すれば,公共サービスの質が一気に低下する。
行政も,民間も,お互い腹のさぐり合い。
指定管理者制度なんてものを導入して,このドタバタはある意味仕方のないところ。
そのうちに,指定管理者制度の導入も沙汰止みになるかどうかもわからないが,とりあえず,行政も民間も一生懸命。
ところが,どうもあちこちで,癒着があるんじゃないかと疑われるようなことも。
その場合,富は住民共有から民間へ移転し,公共サービスは低下する。
これが指定管理者制度に構造的に存在する欠陥でないことを祈る。
さて,ぐんまフラワーパークについて,(株)ファーム(久門渡社長,西条市)の元幹部の群馬県知事への告発メールに対する続報があった。

ぐんまフラワーパーク問題:告発メールを「知事見ていない」 /群馬

 県議会決算・行財政改革特別委員会は20日、県が「ぐんまフラワー管理」(前橋市、久門渡社長)に運営委託する「ぐんまフラワーパーク」(前橋市)の管理・運営問題について協議した。
 伊藤祐司委員(共産)が、同パークの指定管理者(運営委託先)選定前に、フラワー管理元幹部が久門社長経営の別会社の労働問題を指摘する告発メールを小寺弘之知事あてに送っていたことついて、知事が16日の記者会見で「見ていない」と答弁したことに触れた。伊藤委員は蚕糸園芸課が告発者あてに返信したメールを示して「『知事より指示があり』と書いてある」と指摘。中村博秘書課長が「知事あてのメールに返信する際の定型のひな形で返信したため」と説明した。これに対し、他の委員は納得せず「(調査権を持つ)百条委員会を設置すべきだ」などと声を上げた。
 元幹部は告発メールを昨年9月、県ホームページ(HP)「知事への手紙」へ送信した。小寺知事は「直接見ていない」と述べているが、HPには「いただいた手紙は知事がすべて目を通します」と書かれている。【木下訓明】

毎日新聞 10月21日朝刊

さてさて。。。丁々発止か,和気藹々か,癒着か。百条委員会の登場か。

ぐんまフラワーパークのその後を毎日新聞が続報 11月8日追記

ぐんまフラワーパーク問題:求められる県の指導 経営透明化や活性化なおざり /群馬

 県が「ぐんまフラワー管理」(久門渡社長)に「ぐんまフラワーパーク」(前橋市柏倉町)を運営委託してから半年。この間、労働基準法違反問題が指摘されるなど同社を巡るトラブルが相次いだ。県議会も関心を示し、9月定例会で県の監督責任を追及したが、県の措置は同社に今月10日をめどに上半期業務報告書の提出を求めただけだった。民間委託で期待された経営透明化や施設活性化はなおざりのままで、県の一層の指導が求められている。【鈴木敦子】
 ◇深刻な入場者数の低迷
 同社では今年6月、取締役ら幹部5人が一斉に退社した。原因は給与体系への不満や久門社長との対立が原因だった。
 同社は同市苗ケ島町の「ドイツ村」を運営する「赤城高原開発」が85%、地元造園業者が15%出資し、設立された。同開発は久門社長が経営する「ファーム」(愛媛県西条市)の実質子会社で、同社は全国でドイツ村同様の農村型テーマパークを22施設展開している。
 民間信用調査機関によると、「ファームの経営状態は不透明」とし、少なくとも120億円の負債があるという。さらに「建設費を浮かすため、地方自治体の施設の運営を請け負い、失敗の度に撤退を繰り返している」とも指摘され、実際、長崎市と共同運営した施設は3年で撤退。閉・休園となった施設はほかに3施設以上あるという。
 こうした同社の体質は、昨年9月の運営委託先を決める県の指定管理者選定会議の前に同社元幹部が「県知事への手紙」としてメールで指摘していた。ところが、県は選定の参考とせず、同管理を指定。県議会がこの経緯を問題視すると、県は「不適切な対応だった」とわびている。
 選定委員会はファームの成功例に着目し、飲食店や物販強化の企画案を支持して2社のうちから同管理を委託先に指定した。ところが、委託直後から次々に問題が発覚する。5月下旬には、正面大花壇に枯れた花が放置され、県職員の指摘を受けると、芝生に植え替えられ、目玉の花が半減。同じころ、未達のまま来場者700万人の記念式典を開催。さらに料金未納で業務用固定電話が不通となるなど、通常の事業者では考えられない事態も招いた。また、従業員によると、入場者数が少ない日には勤務中のパート職員に「今日は働かなかったことに」などとして帰宅させたり、就業規則で基本給に月200時間の残業代が含まれるとするなど労働条件の不透明さも露呈している。
 一方、深刻なのは入場者数の低迷だ。10月末現在で対前年比8・5%減の23万9000人。数年続いた年間30万人に達しない可能性も出ている。
 県の弱みは東京ドーム4個分の巨大テーマパークの運営委託先が他にないという現状だ。委託先が変えられないならば、県はフラワー管理の労務管理などに一層の注意を払う責任がある。

11月7日朝刊
毎日新聞) - 11月7日11時1分更新

強力に指導するはずの県が,普通通りの上半期業務報告を求めるだけとはいかがなものか。
「行政指導」という名で,おそらく(株)ぐんまフラワー管理との間で管理運営の改善に向けての善後策が水面下で話し合われていることとは信じるが,早期に情報を開示すべきであろう。
ぐんまフラワーパークの入場料等は,管理及び運営に関する協定により利用料金制となっており,施設の所有者である県ではなく,運営者である(株)ぐんまフラワー管理に全額入ることとなっている。それに加え,少なくとも1億7900万円を県は委託費として税金から支払っているのである。その支払いについての説明責任が県にはある。
いずれにせよ,フラワーパークの目的達成のために,施設を用い,公金を支払っている。その「目的」への視座のない効率化は無駄に過ぎない。利用者数はさらに減少している。指定管理者制度の導入により,「目的」に向けての事業効果が上がったのか,評価の準備が急務となろう。

群馬県議会12月定例会環境農林常任委員会委員長報告 12月21日追記

12月県議会でも,環境農林常任委員会で討論が行われたようです。詳細は不明ですが。
(市町村議会レベルでも,委員会の議事録を公開しているところ(ex船橋市)があるので,そのうち,群馬県でも公開されることを期待したいところです。)

 最後に、ぐんまフラワーパークの指定管理者に関して、質疑を行いました。
 まず、指定管理者である「株式会社フラワー管理」と代表者が同一である関連会社が不祥事を起こしたことについて、フラワーパークのイメージダウンにつながる問題であり、指定管理者の選定は適切であったか、また、今後の状況によっては、代表者の道義的責任を検討する必要があるのではないか、との意見が述べられ、当局の見解が求められました。
 続いて、今後、同じことを繰り返さないための方策や、指定管理者制度の監査体制確立の必要性、さらに、法令違反に対する取り消し条項の見直しなどが議論され、これらの課題について、十分検討することが要望されました。
 そのほか、植栽の調達状況や、イベントの実施状況などが質疑され、フラワーパークの現状と課題が議論されました。

株式会社ファームと関係者が食品衛生法違反で書類送検へ 2007年1月16日追記

毎日新聞は,ずっとフォローしてますね。
行政指導から刑事事件へと完全に移行しました。
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/gunma/archive/news/2007/01/15/20070115ddlk10040122000c.html

食品衛生法違反:疑いで「ドイツ村」親会社など書類送検へ 管理者の勤務なし /群馬

 赤城高原牧場クローネンベルク「ドイツ村」の食肉加工施設で、食品衛生管理者として登録していた男性に勤務実態がなかった問題で、県警生活環境課と大胡署は15日にも、食品衛生法違反(虚偽の届け出)の疑いで、同施設の運営会社「赤城高原開発」(前橋市苗ケ島町)の親会社にあたる「ファーム」(愛媛県西条市、久門渡社長)と関係者数人を前橋地検書類送検する。
 調べでは、同社や関係者は04年11月〜06年8月、同施設に配置が義務付けられている食品衛生管理者について、管理者資格はあるが実際には勤務しない前橋市内の獣医の男性を県に登録し、あたかも管理者がいるかのように虚偽の届け出をしていた疑い。
 同施設は、ドイツ村のレストランで出したり自家製品として売り出すハムやソーセージなどを製造、加工する工房で、食品衛生法により、専任の食品衛生管理者の配置が義務付けられている。管理者は実質的な責任者として、製品について監督、助言する立場だが、同社が登録した男性は製造工程すら把握せず、勤務実態がなかったという。
 同施設では03年1月から管理者が不在で、昨年8月、県の調査で問題が発覚した。県は同施設が適切な管理者を登録するまでの間、営業自粛を求めたが、製品の回収などは指導しなかった。
 一方、同社を巡っては昨年9月、茨城県で運営する施設でも同様の問題が明らかになり、同県は管理者の不在期間に製造した製品を廃棄させる厳しい処分を出している。
 同法では、管理者に関して虚偽の届け出をした場合、50万円以下の罰金を科している。関係者の一人は「現場の実態を把握しておらず、違法性について認識がなかった」と話している。【鈴木敦子】

毎日新聞 2007年1月15日

http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/gunma/news/20070116ddlk10040146000c.html

ドイツ村の名義借り:親会社と元副支配人ら、食品衛生法違反で書類送検 /群馬

 赤城高原牧場「ドイツ村」(前橋市苗ケ島町)が食品衛生管理者を名義借りしていた問題で、県警生活環境課と大胡署は15日、同施設を運営する赤城高原開発の親会社・ファーム(愛媛県西条市)と、元副支配人の会社員男性(38)=前橋市、名義を貸したとされる男性獣医師(76)=同=の2人を食品衛生法違反(虚偽の届け出)容疑で前橋区検書類送検した。
 調べでは、元副支配人が獣医師に食品衛生管理者として名義借りを依頼。04年11月1日に獣医師の名前で県に登録し、虚偽の届け出をした疑い。
 食肉加工施設には管理者の登録が義務付けられ、製品や製造工程を熟知していることが求めらているが、同施設では96年8月以降、管理者を置かず、獣医師の名前での登録を繰り返していた。獣医師は謝礼1万円を受け取ったという。
 ファームは全国で同様の20施設を運営し、昨年、茨城県などでも食品衛生法にかかわる問題が発生していた。【鈴木敦子】

久門社長が辞任

 赤城高原開発の久門渡社長は15日、辞任を発表した。久門社長はぐんまフラワーパーク(同市柏倉町)を運営する「ぐんまフラワー管理」の社長も辞任した。同社は赤城高原開発の子会社で、昨年4月に県から指定管理者として同パークの業務委託を受けていた。久門社長は「イメージ低下を招き、道義的責任をとる」としている。

毎日新聞 2007年1月16日

法人としてのファームが書類送検されたこととなりますので,別施設(フラワーパーク)でファーム子会社を指定管理者としている群馬県としても地方自治法第244条の2第11項の規定による行政処分も検討が必要かもしれません。

ぐんまフラワー管理社長が交代 2007年2月14日追記

毎日新聞社長交代の記事が出ていました。

ぐんまフラワーパーク:食品衛生法違反事件受け、管理会社社長が交代 /群馬

 県の指定管理者制度に基づいて「ぐんまフラワーパーク」(前橋市柏倉町)を運営する「ぐんまフラワー管理」(同)は13日、石橋照夫取締役(58)の社長昇格を発表した。就任は4月1日。1月15日に現社長の久門渡氏(67)が社長を務める関連会社が食品衛生法違反容疑で前橋区検書類送検されたのを受け、辞任を表明していた。
 同管理は石橋氏が社長を務める昭和造園土木(同市苗ケ島町)が15%、テーマパーク運営会社の赤城高原開発(同)が85%を出資して設立した。06年、同開発が運営する「ドイツ村」の食肉加工施設で、配置が義務付けられている食品衛生管理者に勤務実態のない男性獣医師(76)を登録していたことが発覚。県警は獣医師と当時の同社幹部、同開発の親会社「ファーム」(愛媛県西条市、久門渡社長)を食品衛生法違反の疑いで書類送検した。その後、久門社長は「フラワーパークのイメージ低下を招いた」とし、辞任を表明した。
 また、同管理は10日付で元前橋市議の鈴木康之氏を取締役に選任した。【鈴木敦子】

2月14日朝刊