取り調べの可視化の諸外国の現状

解放新聞(全国版)2007年7月16日号から

  • イギリス
    • 1984年にテープ録音を義務づける刑事証拠法を施行。取り調べには弁護人が立ち会う。02年から全過程の録画の試験運用開始。
  • アメリ
    • 取り調べには弁護人が立ち会う。被疑者が立ち会いを求めた場合,警察は拒否できない。録画・録音は多くの州で実施されている。
  • フランス
    • 身体拘束された被疑者が,弁護人の立ち会いを求めることが権利として保障されている。録画は少年事件で行われる。
  • ドイツ
    • 捜査段階での取り調べに弁護士が立ち会う。録画・録音はされないが,捜査段階の被疑者供述がそのまま証拠として使われないため。
  • イタリア
    • 取り調べには,原則として弁護人の立ち会いが必要。検察官の取り調べには義務づけられていないが,立ち会いを求めれば拒否できない。1995年に録音(まれに録画)が義務づけられた。録画・録音されていない取り調べで作成された調書は,公判で証拠として使用できない。
  • オーストラリア
    • 取り調べに弁護人が立ち会う。録画・録音も行われるが,方法は州によって違う。
  • カナダ
    • 2000年に可視化に関する調査委員会を設置。01年11月には,録画・録音がないことを理由に,自白の任意性を否定する判例が出されており,今後,可視化が進められていくと考えられる。
  • 香港
    • 1995年頃から,全ての警察署で録画装置の設けられた取調室がある。取り調べは全過程が3本のテープに録画され,1本は弁護人に交付される。取り調べには原則として弁護人が立ち会う。弁護人は,別室又はその場で法的助言をしたり,休憩を求めることができる。
  • 台湾
    • 日本の刑法と良く似ているが,取り調べの録画・録音が実現している。。1970年代に捜査当局内部から取り調べ過程の録画・録音が提案され,90年には全ての事件で録音することが定められた。弁護人の立ち会いは82年から認められている。

かなりシンプルにまとめてあるので,不正確になっているところもあるようだが,大まかな傾向はつかむことができる。