松江市のルイス・C.ティファニー庭園美術館

アール・ヌーヴォーの美術品を収集・展示している松江市ルイス・C.ティファニー庭園美術館が来年3月末で閉館とのことです。
ルイス・C.ティファニー庭園美術館のページに閉館原因が掲載されています。
http://www.l-c-tiffany-garden-museum.co.jp/closed/index.html
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住民によるこんなページもあります。
http://fish.miracle.ne.jp/dawnkato/tifany.htm
住民訴訟は2004年4月26日判決があり(確定),却下されています。

もう少し,これまでの経緯を詳しく見てみなければ何ともわかりません。
参考リンク
http://www.web-sanin.co.jp/orig/news/7-729a.htm
http://www.city.matsue.shimane.jp/jumin/shisei/kouhou/press/h11/990614a.htm
http://plaza.rakuten.co.jp/xigotothaigina/3000
http://plaza.rakuten.co.jp/xigotothaigina/diary/200609080000/
http://mykit.jp/nikki/comment.php3?id=ebiebi&day=2006/01/12
http://www.web-sanin.co.jp/check/matsue1/jumin/shisei/annai/sosyou.html
http://blog.goo.ne.jp/cityplanning2005/e/722e2020f355def1c5466bd48731a4d9

イングリッシュガーデンは市が再開。市は美術館の再開も引き続き求めるとのこと 3月30日

ルイス・C.ティファニー庭園美術館と一括入館となっているイングリッシュガーデンについては,市が無料で公開することとなったようですね。松江湖北芸術文化村の指定管理者である市の観光開発公社が管理運営するようです。
3月29日の山陰中央新報の記事から

島根ワイド : イングリッシュガーデンGW前に再オープン
松江市西浜佐陀町のルイス・C・ティファニー庭園美術館が三月末で閉館するのに伴い、同市が単独運営する隣接の「イングリッシュガーデン」が、市民の憩いの場として大型連休前の四月二十八日に、入園無料で再オープンすることが二十八日、決まった。
 伝統的な英国式庭園が四季を通じて鑑賞できる同ガーデンはこれまで、美術館と一体の「松江湖北芸術文化村」として運営され、両施設一括で入場料二千円(一般)が徴収されていた。
 再オープン後は庭園に気軽に立ち寄ってもらうとともに、庭園を利用したガーデニング教室、多目的ホール(有料)を使った市民の文化活動、学習の場にしてもらう考え。宍道湖の景観が楽しめる展望室にはレストランの出店を募る。
 美術館を所有、運営する堀内不動産(名古屋市)と係争中の市は、和解協議が不調に終わったのを受けてガーデンの単独運営方針を決定。二十八日の市議会で、関係条例と市観光開発公社の指定管理者指定の二議案が可決された。
 管理経費は二〇〇七年度当初予算に計上した湖北芸術文化村の運営費を充て、補正予算案を六月市議会に計上する。
 美術館について、市は四月以降の営業再開を堀内不動産側に求めていく方針。

現ルイス・C.ティファニー美術館も,いよいよ明日が最終日です。
博物館・美術館というのも,公立のところが目立つから,あまりみんな気にしていませんが,基本的に非営利の施設。入館料だけではほぼやっていけません。(2006年3月15日のエントリー2004年11月20日のエントリーで触れたように)。公立であれば,税金が基本的な経営資源となりますが,それには住民の理解,賛同が不可欠です。私立であれば,それぞれの設立者や運営者が自腹を切ったり,公的・私的な補助金,寄附なども大きな経営資源となります。
今回は,松江市行政からの理解がなぜかなくなってしまった(松江市民がどうかはわかりませんが)ということです。
 今回は,おそらく展示資料などは何とか保存されることにはなるでしょう。でも,松江市で公開されるチャンスは極めて少なくなります。ケースによっては閉鎖に追い込まれる博物館・美術館は展示資料や標本を手放すこともありえます。失われたものは二度ともどりません。
 一義的には博物館の責任ですが,それをサポートしなかったという選択も責任の当事者なんだろうと思います。

2008年12月23日追記

12月23日の毎日新聞島根版の記事から

ティファニー庭園美術館:損賠訴訟 請求を棄却−−松江地裁
松江市が誘致したルイス・C・ティファニー庭園美術館(07年3月閉館)を所有していた堀内不動産(名古屋市)が、誘致の際の約束が守られなかったなどとして市に約50億円の損害賠償を請求していた訴訟の判決が22日、松江地裁であった。片山憲一裁判長は原告の請求を棄却した。
 訴状などによれば、市は年間50万人以上の集客や出雲空港からの定期高速船就航などを同社に約束した。
 同社側は約束が果たされず用地取得費や工事費、予期された入場者数と実際の入場者数の差額分などの損害を受けたと主張。一方、市側は、年間50万人の集客や、定期高速船の運航も努力目標だったとしていた。
 判決では、「高速船を発注済み。近く航路認定がおりる見通し」と市が同社に虚偽の告知をしたことを、一部認定したものの、土地売買契約との間に因果関係は認められないと判断した。【岡崎英遠】

2009年6月2日追記

堀内不動産が松江市に損害賠償を求めている裁判は,広島高裁の控訴審に入っています。

2010年2月6日追記

2月6日の毎日新聞島根版の記事から

ティファニー庭園美術館:損賠訴訟 松江市への賠償、控訴棄却
松江市が誘致したルイス・C・ティファニー庭園美術館(07年3月閉館)を所有していた堀内不動産(名古屋市)が、誘致の際の約束が守られなかったなどとして市に約50億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が5日、広島高裁松江支部であり古川行男裁判長は原告側の控訴を棄却した。
 古川裁判長は「虚偽の事実を前提に根拠のない見通しを告知したことは行政を行う立場にある者としては不適切だったが、説明義務違反と損害との間に因果関係は認められない」として、全面的に1審判決を支持した。
 訴状などによると、同市は年間50万人以上の集客を約束したり、出雲空港からの定期高速船も発注済みなどと同社に説明し誘致。同社側は約束が果たされず用地取得費や工事費、予期された入場者数と実際の入場者数の差額分など損害を受けたと主張していた。【岡崎英遠】

誘致時の市長の責任が実際にはあるんじゃないのと勘ぐってしまいますが,とりあえず控訴審の判決は出ました。原告側としては上告という手もあるでしょうが,裁判所に提出されながら,裁判官が十分な審理を尽くさなかった点を明らかにするなどでない限り,なかなか難しいでしょう。しかし,誘致に応じた事業者にとってはたまったものではないですね。