博物館の災害・事件史他

なかなか本が読めていないところで,特に仕事のある日の朝の電車内での読書もちょっと中断気味。帰りの電車での読書タイムが中心となっています。とはいいながら,少しずつでも。

博物館の災害・事件史

椎名氏は明治から大正期の博物館史については余人の追随を許さないところ。今日,博物館資料は人類の財産ですが,明治初期の博物館資料の中には,国の財産であり,皇室の財産であるという性格を有させなければならないものも。民衆からしてみたら関係ない話ですが,統治側としては大事件に仕立てなければならないというところもありますね。−盗まれたものは歴史の表舞台から消えるものも多く,盗難は極めて重大な問題です。共有して使えるもの,共有して鑑賞できるものが,一部の人だけのものへとなってしまいますから。 でも,盗賊の怪盗ぶりに喝采を送る人もいますし,何となく(ry。
 関東大震災による東京教育博物館の類焼と,その後の復興のくだりも興味深い。

恐るべき旅路

  • 松浦 晋也
  • 発売日 : 2005/05/21
  • 出版社/メーカー : 朝日ソノラマ
  • おすすめ度 : (11 reviews)
    5日本の科学研究の長所短所を浮き彫りにしている
    5宇宙のことは好きだ、、、
    5技術者なら泣ける
    5自分の名前も火星の彼方に
    5科学好きなら読むのは必須ではなかろうか?
はやぶさ」帰還後のいまだから読めた部分もあるかもしれません。本書では,「のぞみ」に積まれた数々の人の想いが,大きなテーマとなってせまってきます。
科学探査目的であろうと技術開発目的であろうと,人類未踏の領域に踏み出すプロジェクトの夢と意義をより多くの人々と共有することが,極めて効率的に追求されてきた日本の宇宙科学の歴史。それは,本当に乏しい資源しか与えられてこなかった日本の宇宙科学がたどらざるを得なかった道であって,その乏しい資源のためにのぞみプロジェクトが失敗に終わったとも言えるのです。

黒い赤ちゃん―カネミ油症34年の空白

  • 明石 昇二郎
  • 発売日 : 2002/09
  • 出版社/メーカー : 講談社
  • おすすめ度 : (3 reviews)
    2「彼らの苦闘は、環境ホルモンを摂り続けている私たちの近未来の姿だ」?
    3伝え方はこれでよかったのだろうか?
    5カネミ事件は終わっていなかったのか……
カネミ油症とも言われる,カネミ油による集団食中毒事件。被害の一端は食中毒が明らかになってすぐから,様々な吹き出物や黒い赤ちゃんという言葉で語られてきたけれども,内分泌異常等による全身症状の中には性器その他に関連することもあり,二次被害を懸念して,被害者もマスコミも沈黙を続けざるを得なかった面も多い。
 被害者自ら被害を,歴史を語ることは意義が大きいが,二次被害をおそれ,広島・長崎ですら沈黙してきた被爆者がいるこの社会で,カネミ油食中毒事件での被害者の声は小さくなり,ほとんどの人々から被害の歴史は失われつつあった。
 本書の最初の部分はいささかセンセーショナルで不正確さに過ぎるが,中盤から後半のルポ部分は一気に読み切りました。

新版 八ッ場ダム 計画に振り回された57年

  • 鈴木 郁子
  • 発売日 : 2009/12/04
  • 出版社/メーカー : 明石書店
  • おすすめ度 : (1 review)
    5ダム建設地ルポを超える大きな感動
「惨めなダム」という言葉がしっくりときます。
 部落解放文学賞小説部門で入賞したこともある著者です。

個人的にいまふたつ...

『変な給食』(幕内秀夫)
 なんだかマクロビ系の変な思想が透けて見えるような。
『貧困ビジネス』(門倉貴史)
 読みやすくはあるけれども,どうも上から目線を感じる。特にセックスビジネスあたりで。中年から若者に向けて書かれたものといえばそれだけなんだろうけれど。