闇の子供たち他

医学者は公害事件で何をしてきたのか

医学者は公害事件で何をしてきたのか医学者は公害事件で何をしてきたのか
津田 敏秀

岩波書店 2004-07
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著者は疫学の専門家。水俣病を,毒物に汚染された不知火海魚類による食中毒事件の視点から整理することで,それ以降の水俣病対策の度重なる不備を鮮やかに描き出しています。それにしても,行政,企業の意を受け,非科学的な主張を行う椿忠雄や井形昭弘らの御用学者たち。ある意味,それらの科学者(医者でもありますが,医者とは呼びたくない)は,別に全面的に悪人ということもなく,ナイーブに前言を翻し,また行政から切られることもないとは言えないのだが。
 #「『鹿児島(薩摩)の歴史のなかで抜きん出た人物を二人あげるとすれば誰をあげますか?』と聞かれると、私はいつも『それは島津斉彬公と井形昭弘先生のお二人です』と躊躇なく答える。」(納光弘鹿児島大学名誉教授)なんていう言葉を見ると,納氏は井形氏の非科学的な,でたらめな言説も含めて尊敬されているんだろうなと苦笑させられるのだが。
図書館で借りた本ですが,資料性も高いので購入手続きを取りました。

闇の子供たち

闇の子供たち闇の子供たち
梁 石日

解放出版社 2002-11
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タイは否定するでしょうし,一時期よりずいぶん改善されたという文章も読んだことはあります。しかし,様々な経済格差の中で,子供たちへの搾取は今でもあちこちで,場合によっては日本でも続いているのかもしれない。文章は扇情的で抵抗もあるが,最後のやるせなさからも著者の怒りが伝わってきました。

偽善エコロジー

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)
武田 邦彦

幻冬舎 2008-05
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著者は理学ではなく工学。内閣府原子力安全専門委員会専門委員でもあるとのこと。さて,この本だけ読むと,科学者らしからぬ断定,言い過ぎなども多く,著者の真摯さが疑われるものです。とはいえ,「エコロジー」の名の下,非科学的な言説も巷にあふれています。
 その点で,この本は対抗言論の一つとして,斜め読みすることで,様々な主張を落ち着いて判断することには寄与するだろうと思います。

誤解だらけの構造改革

誤解だらけの構造改革誤解だらけの構造改革
小野 善康

日本経済新聞社 2001-12
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ちょっと古い本ですが。合理的行動と合成の誤謬についてなど。