沖縄での「人体の不思議展」興業について

1月23日のエントリー「人体の不思議展が沖縄県立博物館・美術館の会場を借りて行われる」で触れた「人体の不思議展」沖縄展の件ですが,後援に名前を連ねていた沖縄県那覇市に動きがあるようですね。
2月4日の沖縄タイムスの記事から

人体展示の後援辞退 県教委と那覇市「国内法懸念」
共産党那覇市議団は三日、三月二十日から県立博物館・美術館で開催される「人体の不思議展」が本物の遺体を加工して展示するなど「人道上、医療倫理上問題がある」などとして、同市教育委員会の桃原致上教育長に後援を取り消すよう申し入れた。県教育委員会那覇市は一月三十日付で後援を辞退する意向を示している。
 那覇市健康推進課は「死体解剖保存法など国内法に対応していない懸念がある」と説明。桃原教育長は「子どもたちへの教育効果が本当にあるのかということを慎重に検討したい」とし、辞退する方向。ただ、すでにパンフレットが完成しており、その分の刷り直しなどは求めない方針。
 同企画展では、「プラストミック」という技術で固められた本物の成人の遺体のほか、三―十カ月の胎児の標本展示などがあるという。
 主催する琉球新報社は展示される遺体は展示会を企画する「マクローズ社」が中国の政府系研究機関から借り受け、献体同意書を確認した上で輸入しており、法的問題はないと説明。琉球新報事業局の米須清光開発事業部長は「展示を通して健康増進と命の尊さを再認識してほしいという趣旨で開催する。後援の辞退はそれぞれの団体の判断だと思う」としている。

1月23日のエントリーの追記で,「人体の不思議展」のサイトから後援の記載が消えたことは書きましたが,沖縄県教育委員会那覇市は後援辞退ということのようです。沖縄県及び那覇市教育委員会のことは出ていませんが,同様の判断となる可能性は高いでしょう。
さて,上記記事によると,琉球新報社は,「マクローズ社」が「中国の政府系研究機関から借り受け,献体同意書を確認した上で輸入しており」と説明しているようですが,琉球新報社が自ら献体同意書を確認したのかどうかまでは読み込むことができませんでした。
また,中国の政府系研究機関がどこかということもわかりません。確かに,当初,南京大学が「人体の不思議展」大阪展では協力者として名前があがっていますし,標本製作は南京蘇芸生物保存実験工場(Nanjing Suyi Plastination Laboratoriesか?)となっていました。また,2006年の仙台展でも,主催の河北新報社は南京大学の研究機関から貸与されたと説明(2006年6月26日河北新報)していました。しかし『人体の不思議展』の不思議の2008年8月11日のエントリーを見ると,南京大学はそのことを強く否定し,抗議文書を中国の日本領事館に送付しています。
どうにも,琉球新報社の説明に,説得力が感じられないところです。主催者の琉球新報社沖縄テレビ放送の今後の説明等を待ちたいと思いますが。


それにしても,会場を貸与する沖縄県立博物館・美術館は,文化の杜共同企業体(株式会社沖縄タイムス社,株式会社沖縄文化の杜,株式会社国際ビル産業)が指定管理者となっているところ。沖縄タイムス社も困惑しているところでしょうね。

追記

沖縄県民主医療機関連合会が「人体の不思議展」主催者に中止の申し入れを行っています。→こちら

2月11日追記

那覇市のトップページからもリンクがありますが,那覇市福祉お知らせ掲示板那覇市及び那覇市教育委員会が「人体の不思議展」の後援を取り消したことが掲載されています。

人体の不思議展の後援取消について
      健康推進課 - 09/2/10(火) 13:24 -
平成21年3月20日から沖縄県立博物館にて開催される「人体の不思議展」について、掲示されているポスターや配布用のチラシ、それにすでに販売されているチケットには後援団体として那覇市那覇市教育委員会の名義が使用されております。同展につきましては、那覇市は平成21年1月28日付け、那覇市教育委員会は平成21年2月4日付けで、後援の取消をしましたことをお知らせいたします。
市民・県民ならびに関係者の皆様に対しましては、ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

                   平成21年2月10日
                   那覇市長 翁長 雄志
                   那覇市教育委員会 教育長 桃原 致上

追記終わり

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