博物館の登録に関する規則@市教育委員会<権限委譲>

花巻市(平成20年3月24日,平成20年4月1日から施行)
遠野市(平成20年3月21日,平成20年4月1日から施行)
なぜ? と思って調べてみました。


まず見つかったのが稚内市のページ

北海道からの事務・権限委譲により、平成19年4月1日から、これまで北海道教育委員会が行なっていた以下の事務について、稚内市内の事務は稚内市教育部教育総務課で取り扱うことになります。
 詳しくは稚内市教育部教育総務課へお問い合わせください。
1 委譲事務について
 (1)博物館の登録に関する規則に基づく事務
 博物館の登録に関する規則に基づく事務のうち、登録用件の審査の可否の通知、登録の公示を行います。

北海道庁のサイトにあがっているpdfファイルを見てみると,要望があり,条件整備ができている市町村に,北海道教育委員会は,博物館の登録等に関する事務を委譲しているようですね。少なくても,5市6町に委譲済みと。
 委譲した場合の事務処理フローを見てみると,博物館の登録(相当施設の指定を含む)に関しては市町村教委が申請を受け付け,市町村教委で審査し登録(指定)するということになります。もちろん,必要に応じて市町村教委は道の教育局に相談をするし,登録(指定)した場合には北海道教育委員会に通知するという形になっているようです。
 委譲にあたり増加する市町村教委のコストについては,権限移譲事務交付金で手当をするとのこと。


さて,岩手県に戻ると,奥州市(平成20年3月28日,平成20年4月1日から施行)も見つかりました。ようやくそこで手がかりが。
岩手県の事務を市町村が処理することとする事務処理の特例に関する条例の別表第2に次のような記述があります(相当施設は35の3)。

7 博物館法(昭和26年法律第285号。以下この項において「法」という。)に基づく次に掲げる事務。ただし、第9号に掲げる事務にあっては、県教育委員会が自ら行うことを妨げない。
(1) 法第10条の博物館(県立の機関を除く。以下この項において同じ。)の博物館登録原簿への登録
(2) 法第12条の博物館の登録要件の審査及び博物館登録原簿に登録した旨又は登録しない旨の通知
(3) 法第13条第1項の博物館の登録事項等の変更の届出の受理
(4) 法第13条第2項の博物館の登録事項の変更登録
(5) 法第14条第1項の博物館の登録の取消し
(6) 法第14条第2項の博物館の登録の取消しの通知
(7) 法第15条第1項の博物館の廃止の届出の受理
(8) 法第15条第2項の博物館の登録の抹消
(9) 法第27条第1項の私立博物館に対する報告の徴収
(10) 法第27条第2項(法第29条において準用する場合を含む。)の専門的又は技術的な指導又は助言
(11) 法第29条の博物館に相当する施設の指定(県立の施設に係るものを除く。)

つまり,博物館法に定められた上記の教育委員会の権限に属する事務を,花巻市遠野市奥州市,金ケ崎町及び大槌町に関わるもの(県立の機関を除く)については市町村が処理することとなったとのことですね。
ただ,おおもとの岩手県博物館の登録に関する規則はもちろんそのままです。そのため,例えば,岩手市内のある博物館が申請した場合,今までどおり県教委が審査し,そのうえで岩手県教育委員会の博物館登録原簿に記載するということになります。ところが花巻市内のある博物館が申請した場合,花巻市教育委員会あての申請書を用いて,市教委が審査し,そのうえで花巻市教育委員会の博物館登録原簿に記載するということになります。
 おそらく,花巻市教委が登録した場合は,県教委に通知もしくは報告する形になるんでしょうけれども,もう岩手県教育委員会の博物館登録原簿には載らないことになります。
ちなみに,文部省社会教育局長通達「博物館の登録審査基準要項について」(昭和27年5月23日 文社施第191号)では「今後,貴都道府県教育委員会で登録した博物館及び変更登録並びに廃止については関係各方面との連絡もあり下記の書類(博物館登録原簿記載写,登録申請書の添付書類)を添え遅滞なく当局に御報告下さい。」となっていますから,前記例では,花巻市教委→岩手県教委→文部科学省という形で通知もしくは報告が行われることになると思います(権限委譲ですから,花巻市教育委員会の博物館登録原簿に記載された時点で,登録は有効になります)。

追記

博物館の登録に関する規則に基づく事務に関し,北海道での委譲市町村数は,もう16市町になっているとのことです。(函館市北見市留萌市稚内市滝川市登別市恵庭市北斗市、八雲町、黒松内町、上湧別町白老町幕別町厚岸町弟子屈町及び標津町。さらに,今年4月1日からは共和町が加わる)

1月30日追記

「権限委譲」でなく,「権限移譲」という用語に改めた自治体もあります。これは,県と市町村とが対等・協力の関係にあることを考慮したことによるものです。なお,権限委譲(移譲)については,首長部局の事務については地方自治法第252条の17の2教育委員会の事務については地方教育行政の組織及び運営に関する法律第55条に規定されています。また,委譲にともなう財源措置については地方財政法第28条に規定されています。