ボンバルディア機による事故(アメリカ・サウスカロライナ:2008年9月,アメリカ・ニューヨーク2009年2月 など)

この日記の9月15日のエントリー「ボンバルディア機と高知新聞」で,ボンバルディア機の事故の件を簡単に触れています。全日空のボンバル機が機体トラブルのため高知空港胴体着陸した件(2007年3月13日)ですね(それ以後のトラブルについて追記しています。概略部分にアンダーラインを引きました)。
高知新聞のサイトでは,今年の9月15日以降でも,佐賀発大阪行きの全日空のボンバル機に警告灯が点灯し緊急着陸した件(9月19日)大阪発仙台行きアイベックスエアラインズのボンバル機に失速警報ランプが点灯し大阪空港に引き返した件(9月21日)福岡発鹿児島行きの日本エアコミューターのボンバル機に前輪格納時に異常があった件(10月17日)屋久島発鹿児島行きの日本エアコミューターのボンバル機に警告灯が点灯した件(10月17日)が紹介されています。
また,これらの他に,福岡発大阪行きの日本エアコミューターのボンバル機で翼の防氷装置に空気を送るバルブに不具合が出て異常を示すランプが点灯した(9月28日)という事件もあったようです。
そして,これらはインシデントレベルですが,海外では死者も出る事故が起きています。


一つは,2008年9月19日に,アメリカ合衆国サウスカロライナ州コロンビアのコロンビア・ メトロポリタン空港で,ボンバルディアグループ機のリアジェット60が離陸中にタイヤがバーストし,滑走路外に激突。パイロットを含め6人の搭乗者中,4人が死亡するという事故です。
10月23日のサウスカロライナの新聞"The State"に,事故調査の経過についての記事(魚拓)が出ています。
それによると,8600フィートの滑走路のうち,2300フィートのマークのあたりに,最初のタイヤのゴムの破片が見つかっていることや,タイヤの破損に気づいたパイロットが減速しようとしても,ボンバル機のコンピュータシステムがすでに離陸したと認識し,減速を妨げた可能性があるとのこと。また,ボンバルディア社のリアジェット60は2001年1月14日にもアラバマ州トロイ空港で類似の事故を起こしており,航空関係弁護士たちの「同様の事故が2度も起きたこと,リアジェットに対策が取られていなかったことが信じられない」という発言も紹介しています。
なお,この事故で助かった2人はミュージシャンのトラヴィスバーカーと,DJのDJ AMです。ハリウッド・セレブ・ニュース「DJ AMとトラヴィス・バーカーが飛行機事故で重症、他4人が死亡」に詳しく紹介されています。
もう一つは,2008年10月8日にはネパール東部ルクラのテンジン・ヒラリー空港で,Yeti Airlinesのボンバルディアグループ(ハビランド・カナダ)機DHC-6 Twin Otterが着陸時に墜落,乗客16人全員が死亡,クルー2名も死亡し,唯一パイロットだけが生き残ったという事故です。


実は,私自身,今年夏休みに旅行した際に,ボンバルディア機の故障による欠航に巻き込まれました。8月12日のこの件ですね。それまで,ボンバルディア機のことは,人ごとだったのですが,急に身近な話題になってきたというわけです。
道を歩いていても,飛行機に乗っていても,ある程度は事故に遭遇する可能性はあるものですが,やはり,少しでもその可能性は減らしたいところ。
そのためには,機種によって,搭乗を避けるというのも一つの方法だろうなと,思い始めています。ただ,果たしてボンバルディア機のインシデントやアクシデントは,他の航空機メーカーの機体よりも,割合的に多いのかどうかという情報もありませんので,判断は難しいところですが。

11月11日追記

ボンバルディア機のその後ですが,国内のインシデントが2件,上記の高知新聞のサイトに掲載されています。
一つは,日本エアコミューターの大阪発出雲行きのボンバルディアDHC8-Q400で,左主脚を格納するドアの表示灯の異常が発生し,大阪空港に引き返したというものです(10月28日)
 もう一つは,日本エアコミューターの松本発札幌行きのボンバルディアDHC8-400で,離陸前点検中にエンジンの凍結防止システムに機長が異常を発見し,欠航したというものです(11月3日)
海外ではまた死亡事故が起きています。
11月4日に,メキシコ市中心部の道路にボンバルディア社のリアジェット45が墜落炎上し,メキシコ内務相を含む搭乗者9人全員に加え,地上では車約30台が巻き添えに会い炎上,5人が死亡し,40人以上が負傷したという事故がありました。原因はまだ調査中ですが,テロではないだろうということのようです。他の大型機の気流の乱れに巻き込まれたのではないかという説やスポイラーの不具合という説もささやかれているようです。

11月17日追記

9月19日のコロンビア・ メトロポリタン空港でのリアジェット60の事故に関する国家運輸安全委員会の予備報告
ついでに運輸安全委員会による2007年3月13日の高知空港でのボンバルディア胴体着陸事故調査報告書

11月20日追記

高知新聞の記事から

ボンバル機また胴体着陸 米の空港で前輪下りず けが人なし
カナダ・ボンバルディア社から同社のDHC8―300型機を運航する国内航空各社に十九日までに入った連絡によると、米国のフィラデルフィア空港で十六日午前(現地時間)、同型機の前輪が下りず、胴体着陸するトラブルがあった。乗客乗員三十八人にけがはなく、火災の発生などもなかったという。
 同社は、前輪が下りなかったのは、運航する米航空会社が航空機をけん引する際などに定められたかじの角度を守らなかったのが原因とみて、同型機を運航する各社に規定順守を呼び掛けた。
 国内では、日本航空グループの琉球エアコミューター(RAC)が一機、全日空グループのエアーニッポンネットワーク(A―net)が五機運航。A―netは関係部品を点検したが、異常はなかったといい、RACも二十日朝までに点検を行う。
80年代から十数件
同型機は、昨年三月に高知龍馬空港で前輪が下りずに胴体着陸したDHC8―Q400型機と同じシリーズ。ただ、前輪部分のメーカーや設計などは異なるという。
 ボンバル社が昨年三月に行った説明によると、DHC8シリーズが一九八〇年代以降に起こした胴体着陸事故は、高知龍馬空港での事故を含めて少なくとも八件(機種は100型五件、300型二件、400型一件)。
 その後も昨年九―十月、デンマークやドイツなどで主脚が折れたり前脚が出なくなったりして胴体着陸する事故が四件(いずれも400型)起きている。

11月26日追記

高知新聞のサイトで,11月12日以降の国内でのインシデントも報告されています。
日本エアコミューターの大阪発出雲行きのボンバルディア機(DHC8-400)で,左主脚を格納する扉が閉じられていないことを示す表示が点灯したため,大阪空港に引き返した件(11月21日)。10月28日に同じトラブルを起こした機体とのことです。
また,全日空の大阪発大館能代行きのボンバルディア機(DHC8-400)で,離陸直後,白い煙のようなものとともに客室に焦げ臭い拡がったと乗客から訴えがあり,大阪空港に引き返した件(11月25日)。原因はエンジンの潤滑油がダクトから客室内に入ったためとのことです。
なお海外では,11月23日に,カナダ・モントリオールのミラベル空港を飛び立ったボンバルディア社のCRJ-900機が,モントリオールの73カイリ北西で,前面コックピット機器内から突然大音響がした後,ワイパーの突然の作動,EICAS(アイキャス)への車輪やブレーキに関する警告の表示,その他の故障の表示が出たことから緊急着陸をしたという件もありました。けが人はありません。この件では,さらに着陸後すぐに,種々の電気回路のブレーカーが破裂したとのこと。原因は前部圧力隔壁内の配線接続部分でがショートし燃焼したということのようです。

2009年1月30日追記

死者が出るような重大事故は海外でも,前回の追記以来は起きていないようです。
国内では,インシデントレベルが何件か。
日本エアコミューターの福岡発松本行きのボンバルディア機(DHC8-400)で,右エンジンから取り入れた空気の圧力の異常を示すライトが点灯したため,途中の大阪空港へ行き先を変更し着陸した件(2008年12月16日)
 全日空の大阪発石見行きのボンバルディア機(DHC8-402)で,右プロペラの回転数が急に上がったため,右側のエンジンを停止し,左側のエンジンのみで大阪空港に引き返した件(2008年12月23日)
 日本エアコミューターの大阪発出雲行きのボンバルディア機(DHC8-400)で,エンジン系統の不具合を示す警告表示が点灯したため欠航した件(2008年12月23日)
 全日空の高知発伊丹行きのボンバルディア機(DHC8-400)で,地上滑走中にエンジンの圧縮空気の異常高温を知らせる警告灯が点灯したため欠航した件(2008年12月29日)
 日本エアコミューターの出雲発大阪行きのボンバルディア機(DHC8-400)で,左側エンジンが始動しないため,すでに乗機していた乗客を降ろして欠航した件(2009年1月15日)
 全日空の大阪発大館能代行きのボンバルディア機(DHC8-402)で,大館能代空港上空で待機中に,機体の方向などを示す計器に不具合が起きたため、雪の降り続く大館能代空港への着陸を取り止め,大阪空港に引き返した件(2009年1月15日)

2009年2月13日追記 14日微修正

現地時間2月12日22時20分,ニューヨーク州ニュアーク・リバティ国際空港からバッファロー・ナイアガラ国際空港に向かっていたコンチネンタル航空便(Colgan航空が運航)のボンバルディア機DHC-8-400 Dash 8が着陸直前に住宅地へ墜落・炎上し,50人(45人の乗客,4人のクルーと,墜落で巻き添えにあった1人)の死者が出ています。

2009年2月14日追記

バッファロー空港近くで起きた墜落事故は,強風にみぞれの混じる状況で,主翼に付着した雪氷が原因だったという説を紹介している記事が出てきています。朝日新聞の記事から一部を。

日本航空全日空の整備関係者によると、主翼の前部に多くの氷がつくと、前方から受ける空気の流れが悪くなり、機体に揺れが生じることがある。ひどい場合はバランスを崩し、揚力を失って、墜落する可能性があるという。このため航空機の主翼の前部には除氷装置が取り付けられている。寒冷地を飛行する場合、操縦士や整備士は天候情報に十分な注意を払い、除氷装置も入念に整備するという。
ジェット機の除氷装置は、暖かい空気を吹き付けて氷を溶かすが、今回のようなプロペラ機の場合は、主翼の前部に取り付けてあるゴム製のチューブを空気で膨らませ、氷を割って落とす仕組みがほとんど。整備関係者は、これが正しく作動したかがポイントだと指摘する。

地元紙の『The Buffalo News』の記事「Continental Flight 3407 reported 'significant icing' before crash that killed 50」でも触れられています。

The NTSB's preliminary analysis of the plane's so-called "black box" and flight crew conversations also noted that the Bombardier Dash-8's anti-icing system had been activated. However, at this time there is no indication as to whether the system was functioning properly.

2009年2月22日追記

American Eagle社とComair社は,バッファロー・ナイアガラ空港のそばで起きたボンバルディア機墜落・炎上事故を考慮し,着氷の予想される同様の天候の際にはターボプロップ機の運航を中止するとのことです。
Two carriers stopped flights of prop planes in cold weather(TradingMarkets.comの記事)

2009年2月26日追記

2009年1月16日以降の国内でのインシデントをメモ。
日本エアコミューター大阪発新潟行きのボンバルディア機(DHC8-400)が,上空でプロペラの回転速度や角度を変えるシステムの計器が異常を示しため,大阪空港に引き返した件(2月13日)

2009年3月5日追記

オリエンタルエアブリッジの長崎発壱岐行きのボンバルディア機(DHC8-201)が壱岐空港に到着後,エンジンの燃料フィルターの異常を示すランプが点灯したため,同機のその後の運航3便を中止した件(3月2日)

2009年3月23日追記

日本エアコミューターの大阪発隠岐行きのボンバルディア機(DHC8-Q400)が,出発前に左エンジンが始動しないトラブルがあり,部品を交換しても始動しなかったため欠航した件(3月21日)

2009年3月26日追記

3月25日,日本エアコミューター種子島発鹿児島行きのボンバルディア機(DHC8-400)が飛行中,左エンジンのプロペラの回転数などを制御するシステムの異常とエンジンオイル圧の異常を示すランプが点灯。同機は,左エンジンを停止し,右側のエンジンのみで飛行を続けた。鹿児島空港では滑走路を閉鎖して他機の離着陸を停止し,同機を緊急着陸させた。なお,着陸後の調査で,エンジンの動力をプロペラに伝えるギアボックス内のシャフトが破断しているのが見つかっている。なお,後日の調査では,左側のエンジンではパイプ状のシャフトが2カ所で切れ落ち、ギヤボックスを突き破って穴を2つ開けたほか、タービンブレードも破損していたことがわかった(3月25日)

2009年4月3日追記

3月26日,オリエンタルエアブリッジの宮崎発長崎行きのボンバルディア機(DHC8-201)が,飛行中,指示灯に不具合が発生した。長崎空港到着後調査を行うため,同機の同日及び翌日の運航を取り止めた件(3月26日)
4月1日,日本エアコミューター与論島発鹿児島行きのボンバルディア機(DHC8-400)が,駐機場を出ようとした際に,左エンジンが始動しなかったため,欠航となった件。同機は,1週間前の3月25日に同じ左エンジンが故障し緊急着陸した機。前々日に修理,点検を終えたばかりであった(4月1日)

2009年4月27日追記

4月25日,日本エアコミューターの伊丹発松山行きのボンバルディア機(DHC8-Q400)が,離陸直後にエンジンやプロペラに不具合を示すランプが表示して,大阪空港に引き返し,欠航となった件。原因は飛行高度の情報を処理するコンピュータの故障(4月25日)

2009年5月13日追記

5月11日,日本エアコミューターの大阪・伊丹発種子島行きのボンバルディア機(DHC-8-402)が兵庫県西宮市の上空を飛行中、エンジン関係の不具合を示す警告が操縦席に表示されたため,途中の鹿児島空港に着陸し,以後の運航を取り止めた。エンジンを制御するコンピューターのエラーによるもの(5月11日)

2009年5月22日追記

5月14日,全日空の大阪・伊丹発高知行きのボンバルディア機(DHC8-Q400)が,離陸のために滑走路に向かっていたところ,主翼のフラップの異常を示す警告灯が点灯,引き戻して点検したが異常が確認されなかったため,そのまま1時間遅れで再出発したもの(5月14日)
現地時間5月13日,米国ニュージャージー州・ニュアーク空港発ニューヨーク州バッファローナイアガラ空港行きのColgan社のボンバルディア機DHC-8-400が着陸時に,右主脚から車輪が脱落するという事故が起きている。73人の乗客・乗員は無事(5月13日)

2009年6月2日追記

5月23日,全日空中部国際空港発福岡行きのボンバルディア機(DHC8-Q402)が高度2700mを飛行中,荷物室ドアの異常を示すランプが点灯したため,注具国際空港に引き返し,同便は欠航となった。調査の結果,開閉センサーに不具合が発見された。(5月23日)

2009年6月15日追記

この一週間,いっぱいニュースになっています。
6月9日,日本エアコミューターの大阪・伊丹発宮崎行きのボンバルディア機(DHC8-402)が神戸市上空を離陸上昇中,右翼エンジンの潤滑油の温度が異常高温となる表示を示した。同便は大阪空港に引き返し,欠航となったオイルを冷却するため空気を取り込むドア装置に不具合があったとのこと。(6月9日)
6月9日,日本エアコミューターの大阪・伊丹発松山行きのボンバルディア機(DHC8-402)が離陸上昇中,車輪を機体に格納しようとしたところ、前輪,主輪とも格納できなかった。同機はしばらく上空を旋回した後、大阪空港に引き返した。(6月9日)
6月11日,日本エアコミューターの宮崎発大阪行きのボンバルディア機(DHC8-400)が駐機場から滑走路に向かおうとしたところで,前輪が左右に動かない不具合があり,同便は欠航した。(6月11日)
6月12日,日本航空の大阪・伊丹発山形行きのボンバルディア機(CRJ200型)が離陸直後,両翼タンクの燃料量に差があるという警告表示が出た。同機は大阪空港に引き返し,欠航となった。燃料タンクから左右のエンジンに燃料を供給するポンプにトラブルが起き,右側のエンジンへの燃料供給量が低下。左右両翼のタンクに残る燃料量の差で機体のバランスを失う恐れが生じたとのこと(6月12日)
6月13日,IBEXエアラインズ全日空の共同運航便の大阪・伊丹発福島行きのボンバルディア機(CRJ200型)が離陸直前,予備速度計の異常を示すメッセージが表示したため欠航した件。(6月13日)

2009年6月19日追記

なんか,ボンバルディア機に関する国内ニュースが続いています。
6月15日,日本エアコミューターの大阪・伊丹発松山行きのボンバルディア機(DHC8-402)が,松山空港に着陸する直前に,前輪の向きを変える装置の不具合を示すランプが点灯。着陸後,同機は前輪の向きを変えられなかったため,滑走路上から駐機場まで車で牽引された(25分間滑走路が閉鎖され,JAL機1便が20分上空で待機した)。修理のため,同機による翌日の運航便は欠航。(6月15日)
6月16日,日本エアコミューターの与論発鹿児島行きのボンバルディア機(DHC8-Q400)が,出発前点検で、右エンジンの消火装置の一部に不具合(火災時に油の流れを止めるバルブが作動しないことを知らせるランプが点灯)が見つかった。当日の同機の運航便は欠航。(6月16日)
6月18日,日本エアコミューターの鹿児島発与論行きのボンバルディア機(DHC8-Q400)が,飛行中に,エンジンやプロペラに不具合を示す表示が点灯したため,鹿児島空港に引き返した。ランプ点灯の原因は,左エンジンに供給される燃料の量を制御する装置の不具合であった。当日の同機の運航便は欠航(6月18日)