文化創造館(宝塚音楽学校旧校舎)の運営はいかに

5月23日の神戸新聞の記事から

管理者選定めぐり迷走 宝塚音楽学校旧校舎の活用
・・・宝塚音楽学校旧校舎(宝塚市武庫川町)を、宝塚の新たな文化発信基地「文化創造館」とする計画が停滞している。民間業者を指定管理者とする議案を市が3月議会に提案したが否決されたためだ。予定していた11月のオープンは絶望的になった。財政状況の厳しい市が、指定管理料の安さを重視し、業者を選んだことが裏目に出た。低迷を続ける「観光のまち」の切り札が、スタート目前に迷走している。(切貫滋巨)
文化創造館について、市が描いた運営方法は次のようなものだった。一階にはカフェを設け、ミュージカルや演劇、ジャズなど舞台芸術の発表の場とする。二階は宝塚歌劇の歴史などを紹介する展示スペース。三階はバレエなどの教室や講座など学びの場にする。こうした内容を募集要項に明記し、指定管理者を公募した。
「指定管理者候補としてふさわしい業者、団体は無い」。一月に開かれた第二回指定管理者選定委員会は終盤紛糾した。市民や有識者らでつくる委員会メンバーの一人が「該当なし」として退席したのだ。
 七人による採点の結果、応募した四業者・団体から選ばれたのは、堺市に本社を置くホテル・旅館業者だった。同社は「経費は収益で賄う」とし、市への指定管理料要求額はゼロ。市は公募の際、指定管理料を「光熱水費程度」とし、内々に年五百万円と設定していた。「タカラヅカに対するこだわりが感じられない」。「文化的なコンセプトが置き去りだ」。数々の指摘を受けながらも、「要求額ゼロ」が決定打となった。
 ただ週末にカフェを貸し切って「宴会」を入れるという同社の提案は、選定委でも議会でも物議を醸した。収益の源泉となる部分だが、ある市議は「文化発信という当初の趣旨とはかけ離れた内容」とあきれる。
 残る三団体・業者は、指定管理料として、それぞれ四百八十万円▽千九百万円▽四千八百万円を要求。最高の四千八百万円を求めた団体は、著名な作家や映画監督、声楽家らを講師として招くことなどを提案し「文化発信、育成に本気で取り組むなら、四千八百万円でも足りないくらい」と語ったという。
旧校舎の工事は五月から始まる予定だったが、凍結されたままだ。議会での否決を受け、市が軌道修正する選択肢は三つ。条件を変えて民間から再度公募する▽ 外郭団体の市文化振興財団に担わせる▽市民による運営団体の発足を促す。・・・
指定管理者制度に詳しい帝塚山大学の中川幾郎教授(地方自治)は「(市が設定した指定管理料の)年五百万円はあまりに安いと言わざるを得ない。市側は予算枠ありきでなく、都市戦略における施設の位置付けを再確認した上で、適正な指定管理料を決定すべきだ」と指摘している。
・・・

宝筭市では,2005年度に宝塚音楽学校旧校舎等利活用検討委員会を設置し,また,まとめた計画案についてパブリックコメントも実施して,最終的に2006年度初め「宝塚音楽学校旧校舎等利活用計画」を策定したところでした。
当該計画の中から引用します。

旧校舎は宝筭市の公の施設として位置づけられることになる。利用者や訪れる人にとって利便性が高く魅力ある施設とするためには、従来の公共施設とは異なり、柔軟な施設管理が求められる。また運営の効率性を高める努力をしていく必要がある。
これらの課題に対しては、市は民間と連携し、そのノウハウを活かしながら取り組んでいく。民間は創意工夫をもって文化創造活動を展開するだけでなく、施設管理にも一定の権限及び責任を持つことが望ましいため、連携の手法として指定管理者制度の導入について検討する。
協働で事業運営に参画する民間には、営利を追求する企業と、非営利のNPOなどがある。
前者の場合は収益事業であることが前提となるが、旧校舎が担う事業内容の公共性及びその施設規模等からみて採算性を確保するのは難しい。むしろNPOなどのような非営利の組織を事業運営の核に置き、この組織を基盤として、市民が主体的に事業に参画できる仕組みをつくっていく。

旧校舎の利活用に向けては「ここでできること」ではなく「ここでしかできないこと」を考え、議論した上で設定した目標が「宝塚歌劇を礎とした新たな宝筭文化の創造」である。ここで創造される文化が、いずれは宝塚歌劇のように都市のイメージを形成する存在になることをめざしている。
それを実現するためには事業運営の体制が重要となるが、ここでは「市民主体の新たな事業運営組織」と「専門家によるプロデュース」を体制の核に置いている。持続性のある活動を展開するには市民の参画が不可欠である。またそこから「宝筭ブランド」を形成するためには市民の力を高めるための仕組みが必要になる。市民の活動に良い刺激を与える協働者としての専門家の関わりは重要である。
今後の取り組みにおける最大の課題は、将来の事業運営体制の母体となる準備組織を整備することである。そのためにはまず核となる人材または組織を決定する必要がある。計画段階から事業運営者との協働体制をつくり、事業計画および施設整備計画を詰めていく。またオープンまでに市内外に向けて情報発信を積極的に展開し、運営を盛り上げるような支援体制を築いていく。そうして事業を支える人のネットワークができる。
旧校舎等の利活用は多くの人の思いが詰まった大切な事業である。宝筭市の都市再生がより一層盛り上がるためにも、今後実現に向けた数々の取り組みが着実に推進されなければならない。

計画では,市民が主体的にこの公の施設の運営に参画し,継続的な活動を確保し,さらに市民による価値形成を図る観点から,NPOが指定管理者となった運営がベストとしているところです。
行政主導でNPOを立ち上げることの是非はありますが,ケースケースによっては,それが最も望ましいことも多いと思います。しかし,市民が主体的に取り組む環境になっているか,主体的に取り組む意思があるのか,様々な困難も想定されるところです。その結果,今回の宝塚の場合,結局,準備組織の立ち上げ,そして運営組織になりうるNPOの構築には未だ至っていないというわけです。
主として財政的な理由で「公の施設」の見直しが,大阪府でも群馬県をはじめ,各地の地方公共団体で進んでいる中,少なくても,「宝筭ブランド」形成の一つの要素として音楽学校旧校舎を保存する途を付けた宝筭市の努力は十分評価に値します。ですから,何とか,市民に支えられる運営が可能となり,価値が高まっていく方向に向けて,更なる検討を期待したいところです。
場所はここでしょうか。

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6月3日追記 しょうもないことですが。

宝筭市,市の正式な表記では「塚」ではなく,点が付いた「筭」なんです。JIS:937C,シフトJIS:FA9C,区点:11592,Unicode:U+FA10
常用漢字表に入るときに点が取れたようです。一方,宝塚歌劇は点のない「塚」を使っている。
レファレンス協同データベースから

『現行国語表記の基準 第6次改訂』(国語研究会 ぎょうせい 2001)の常用漢字表には「塚」が記載され〈、〉の入っている字体は丸括弧に入れられている。「常用漢字表」の「表の見方使い方」によると、見出しの字体は「便宜上、明朝体活字のうちの一種を用いて現代の通用字体を示した」と説明され、括弧入りの字体は「明治以来行われてきた活字の字体とのつながりを示すために添えた」「いわゆる康煕字典体の活字」だと説明されている。

それにしても,レファレンス協同データベース自体,非常に興味深い。司書は偉大だ。

6月15日

6月15日の毎日新聞兵庫版の記事から

宝塚文化創造館:オープン、管理者未定で来春に延期
宝塚市が進める宝塚音楽学校旧校舎(同市武庫川町)の整備計画が遅れ、今秋予定していた文化施設「宝塚文化創造館」のオープンが来春ごろにずれ込むことが分かった。施設を運営する指定管理者が未定で、改修工事も遅れているため。市は「できるだけ早期に開館できるよう努める」と話している。
・・・
市は今年1月、公募で堺市のホテル業者を指定管理者に選出。しかし、3月議会に承認を求める議案を提出したところ、「ホテル業者は文化事業の担い手としての実績がない」といった批判があり否決された。市は、条件を見直して指定管理者を再度公募することや、市民主体の運営組織を発足させることなどを検討している。【山田奈緒

市行政が指定管理者公募にあたって考えた「宝塚文化創造館」の在り方が市議会に否定されたということです。「条件を見直して」ということですので,きちんと見ていく必要があると思います。

12月6日追記 来年春は仮オープンのみ。

12月5日の神戸新聞の記事から

宝塚の文化創造館、開業2年延期 旧音楽学校校舎 
大勢のタカラジェンヌが巣立った宝塚音楽学校旧校舎(宝塚市武庫川町)を、新たな文化発信の拠点「宝塚文化創造館」として再生する計画について、宝塚市は四日、来春に予定していた本格オープンを見送り、貸しホールなど暫定的なオープンにとどめる方針を明らかにした。市の財政悪化が背景にあり、本格稼働は早くても二〇一一年春になる。(切貫滋巨)
 市会本会議の一般質問で、阪上善秀市長が明らかにした。
 当初の計画では、指定管理者制度を採用し、民間業者に運営を委託。三階建ての旧校舎を改修し、一階には舞台を備えた二百人収容のカフェ、二階には宝塚歌劇の展示コーナーを設け、三階は教室や講座など学びの場として活用する予定だった。
 だが、市が十月に作成した財政見通しでは、一〇年度までの三年間で約四十一億円の財源不足が生じると判明。事業の見直しを検討してきた。
 しかし、旧校舎の改修工事は九月に開始。国交省などの補助金を受けているため開館の延期はできず、一部だけの暫定的なオープンになったという。「貸しホールなど、できるだけ費用のかからない事業のみ行う予定」(市都市再生課)で、詳細は来年一月末ごろに決めるという。
 市は今年三月、堺市に本社を置くホテル・旅館業者を指定管理者とする議案を提案したが、「事業内容が同館の趣旨に合わない」として市会が否決。来春の暫定オープン時は市が直接運営する。
 市都市再生課は「財政状況を見ながら、当初の計画を実現できるよう検討していきたい」としている。

財政状況もあり先送り。2006年の宝塚音楽学校旧校舎等利活用計画の骨格も,同様の理由でぐずぐずになりそうな予感。

メモのための議会会議録

2008年2月29日定例会での市長の答弁

市立宝塚文化創造館(宝塚旧音楽学校校舎)の指定管理者の候補者の選定に当たりましては、市の広報などを通じて広く公募を行い、公募のありました4団体について、市民公募委員、企業経営者、NPO法人の代表者など外部委員から成る指定管理者選定委員会の場で公正な審査を行いましたところ、株式会社コンセルジュが最も高い評価を受けましたので、その審査結果を尊重し、同社を候補者に選定いたしました。同社は、平成10年に設立された資本金1,000万円の株式会社で、大阪府堺市などで3軒のホテルや旅館を経営し、鹿児島県などで2軒のホテルのコンサルタント業務を行っています。
 同社を指定管理者の候補者に選定した主な理由といたしましては、施設の維持管理に関する実績とノウハウを持っていること、会社の財務的基盤が他の3団体に比べて比較的安定しており、継続的に施設の管理運営をゆだねることができること、文化創造、芸術、文化面の人材育成等に対するノウハウや実績は未知数ではあるが、市の指導、監督のもと、事業を推進していける可能性を持っていることの3点であります。選定委員会から市長への報告の中では、事業の推進に当たって、文化創造等について市当局による指定管理者に対する積極的な関与、指導、監督、監視が不可欠であり、さらには市当局は事業実施状況を常に把握することに努め、みずからが設置する第三者機関からの助言と提言を参考にしながら、指定管理者が協定内容を履行しているかどうかを監視、評価し、場合によっては改善勧告を行うこととの意見がついております。選定委員会からいただきましたこれらの意見を踏まえ、同社との間で事業計画の策定など、準備業務の実施に関しての仮協定書を締結し、宝塚歌劇文化を礎とした新たな宝塚文化の創造という事業テーマに基づき、舞台芸術を中心とした文化活動の場の提供や人材育成などを行うことで、市民ニーズにこたえ、また文化交流ホールでのコンサートなどの集客事業や市立手塚治虫記念館などの周辺施設と連携することで街のにぎわいをつくってまいりたいと考えております。

2008年3月3日定例会での市長の答弁

宝塚文化創造館の経済効果についてでありますが、本事業は、国及び県の支援をいただきながら進めており、施設の整備に要する経費としての総額約15億8,000万円のうち、国費、県費を除く約4億4,000万円を市が負担することとしております。なお、市の負担額の一部につきましては、中央競馬会からの環境整備費を充てる予定であります。
 本施設の管理運営に関しては、民間のノウハウを生かし、効率的に行うため、指定管理者制度を導入することとし、本年1月末に候補者を選定いたしました。
 本施設を含む中心市街地活性化の取り組みがもたらす経済効果としては、現在国に認定申請中の中心市街地活性化基本計画の中で、本市の地域資源である自然、歴史、文化・芸術等を活用した新たな都市の魅力づくりによる集客増が図られ、観光業、商業、サービス業が活性化し、消費と投資の増大による経済効果と税増収が見込まれるとしております。これらを図る手法の一つに集客数がありますが、平成23年度の目標数値といたしまして、本施設の集客数を年間15万人に設定しております。
 この目標数値を達成するために、本施設では市民の意見を施設の運営に反映させる民・産・学・公連携の具体的な組織づくりを行うこととしており、また「宝塚歌劇文化を礎とした新たな宝塚文化の創造」という事業テーマに基づき、舞台芸術を中心とした文化活動の場の提供や人材育成などを行うとともに、文化交流ホールでコンサート等を実施いたします。さらには、市立手塚治虫館などの周辺施設と連携することで、まちのにぎわいや商業等への波及効果を創ってまいりたいと考えております。

2008年3月3日定例会での副市長の答弁

文化創造館につきましては、御承知のとおり、宝塚音楽学校の旧校舎を保存することも大きな理由といいますか、目的の一つでございまして、宝塚歌劇の舞台に上がる方たちの厳しい教育訓練の場であったという事跡的価値を大切に後世に伝えていくということも基本的な考え方としております。
 逼迫しました財政状況の中で費用対効果が上がるよう、現在、管理運営に当たりましては、指定管理者制度というものを導入いたしまして、なるべく効率的あるいは効果的あるいはコストのかからない形での文化発信をしていきたいというふうな形で考えております。現在、オープンに向けまして準備を行っているところでございます。
 この文化創造館が新たな地域資源として加わることによりまして、まちの活性化への波及効果も期待しておりますので、御理解いただきたいと思います。

2008年3月25日定例会での産業建設常任委員会委員長報告

議案第34号公の施設の指定管理者の指定についてです。
 本件は、宝塚市立文化創造館(宝塚音楽学校旧校舎)の指定管理者に、株式会社コンセルジュを指定するものです。
 まず、阪急電鉄株式会社のかかわり方についてただしたところ、指定管理者選定委員として、同社取締役からさまざまな意見をいただくとともに、文化創造館の展示事業について協力を求めている。具体的には、過去の宝塚歌劇の公演のVTR100本寄贈の提案をいただいており、それらの活用を図ることとによって同館のPRに生かしていきたいとのことです。
 次に、阪急電鉄が手放そうとしていた建物であり、活用が図れるのかをただしたところ、建物そのものに文化的価値は余りないが、宝塚歌劇のスターたちが研さんを積んだ歴史を持つ事跡的な価値がある建物を残すことによって、観光の目玉となる可能性があることから保存活動が起こったと理解している。阪急電鉄にとっては、経済性が企業の論理であるかもしれないが、行政としては採算性だけではなく、文化の蓄積を残すために保存するものであるとのことです。
 次に、阪急電鉄の関連会社から指定管理者の応募があったのかをただしたところ、関連企業からの応募はなかったとのことです。
 次に、コンセルジュと阪急電鉄とのつながりについてただしたところ、両社につながりはないが、今後、市が間に入り、指定管理者として阪急電鉄と関係を深めていくことになるとのことです。
 次に、選定委員会の附帯意見として、コンセルジュには、文化面での人材育成のノウハウや文化活動に関する理解など、本事業を進めていく上で大切なところが欠如している。文化・芸術の発信の部分を市が担うことで、本事業の目的を達成できるのかをただしたところ、市が直接行うのではなく、文化事業を委託することを考えている。市は、コンセルジュにプロデューサーの配置を求めており、その際の助言や文化事業の委託に際し、支援を行っていきたいとのことです。
 次に、業者選定の採点基準はどのようにして策定されたのかをただしたところ、事務局である市が原案を示し、選定委員会で修正を加えたとのことです。
 次に、原案策定時から指定管理者の選定には経営面を重視した方向であったのかをただしたところ、経営基盤の安定性を一番に求めており、文化面がいかにひいでたとしても、経営が立ち行かないことには問題があるとのことです。
 それに対し、これまでの過程を無視し、経営重視の業者を優先し、文化面での市民との協働を選択しなかったことは、非常に残念な結果であるとの指摘がありました。
 次に、指定管理料を光熱費相当額とする募集方法で、宝塚文化の創造ができるのかをただしたところ、同条例案を提案するに当たり、文化発信や文化事業は行政が行うこととし、指定管理料は、施設の維持管理ができる最低限の額とする旨の説明を行い、了解いただいたと理解しているとのことです。
 それに対し、論点が指定管理料を抑えることに移り、文化に対する意識がなくなっているとただしたところ、文化面が弱くなっていることは承知しており、それを補うために附帯意見をいただいている。指定管理者にはやらせる、市としてはやり切るという思いでいるとのことです。
 次に、事業計画に関する合意が得られなければ、協定締結は行わないのかをただしたところ、重要な部分で相違があれば協定は結ばないとのことです。
 次に、宝塚文化を継承し創造していくという考えは維持しているのかをただしたところ、当初から宝塚歌劇文化だけではなく、宝塚歌劇を礎とした宝塚文化の創造を掲げている。投入できる予算を考え、工夫をして進めていきたいとのことです。
・・・
議案第34号については、賛成多数により可決しました。

委員長報告に対する質問

議案第34号の公の施設の指定管理者の指定につきまして、委員長報告に対しまして1点だけ質疑をさせていただきたいと思います。
 私は、代表質問の中で、市立文化創造館の指定管理者の問題につきまして質問をいたしました答弁におきまして、市立文化創造館の指定管理者の選定につきましては、選定委員会の審査結果を尊重し、株式会社コンセルジュを選定したという答弁でございました。
 それで、審査結果とともに、この附帯意見がつけられておりまして、委員会でも資料が出ておりました。そこで、この附帯意見についてなんですが、今回の選定、いわゆる審査結果のことにつきましては、次のような管理プロセスを実施させることが、そういうことが前提したものだと、それが選定委員会の総意だという趣旨で書かれていると思うわけです。
 附帯意見の、この管理者指定プロセスについてどういうふうに書かれていたか、ちょっと読み上げさせていただきたいんですが、
 (1)候補者は宝塚音楽学校旧校舎等利活用計画及びこれまでの検討の経緯を踏まえ、宝塚文化創造館(宝塚音楽学校旧校舎)が公の施設であることと、その設置目的を深く理解した上で、宝塚歌劇が生み出した文化を礎とする舞台芸術を中心とした、新たな文化活動の振興に向けた具体的な事業計画(文化活動に関する公演の開催、人材の育成等)を早期に提出し、市当局と折衝すること。
 (2)事業計画の策定に当たっては次の諸点を反映させること。
 1、本施設の設置目的を達成するため、運営に当たって、市民の意見を反映させる民・産・学・公連携の具体的な組織づくりを行うこと。
 2、宝塚歌劇宝塚音楽学校が持つブランドや運営方針に抵触しないよう、十分配慮すること。
 3、1階のレストラン営業及び内装工事の内容を本施設の設置目的に適合させること。
 4、2階の展示などを通じて、宝塚歌劇が生み出した文化及び宝塚音楽学校の歴史に関する情報の提供を行うこと。
 5、3階の施設特性(バレエ・舞踊などの練習場)を生かした事業を企画・実施すること。
 こういう指定管理者指定の過程について、こういう附帯意見がつけられたんですが、この事業計画については説明もしくは資料の提供などありましたでしょうか。

委員長回答

ただいまお尋ねのあった指定管理者プロセスについて、具体的な事業計画の議論はあったかどうかということですが、具体的な議論はありませんでした。
 具体的には、現時点で明らかにはされていなかったんですが、理事者からは指定管理者の議決を経た後、指定管理者に早期に事業計画の提出を求めていきたいという説明はありました。

反対討論

私は、5つの問題点を指摘したいと思っております。
 まず、第1に、先ほど質疑で明らかにいたしましたように、選定委員会の附帯意見の扱いであります。
 先ほど申し上げましたように、選定委員会の総意として、そして記載された、先ほど読み上げました行為を前提としたものであるということで附帯意見がつけられております。しかし、先ほど明らかになりましたように、そのことは、実行されておりません。そういった点で、やはりこの点で附帯意見は尊重もされていないということが、まずやはり大きな問題として指摘したいと思います。
 次に、指定管理料の問題です。1つは、指定管理料、光熱水費相当額500万円というのは、既に決まっていたのであります。11月26日に公表されました実施計画、平成20年度から22年度の概要というものが配られておりますけれども、この中で、宝塚旧音楽学校利活用計画のランニングコストの要求額が2,831万4,000円で出ておりました。ところが、実際に査定を受けた額は、1,243万円に減らされておりまして、その内訳は指定管理料が513万円、文化人材育成事業委託料が500万円、その他230万円でございました。
 そして、指定管理者の公募が行われまして、質疑応答が行われました。その質疑の回答書なんですが、11月27日に回答を行っています。その回答書を読み上げたいんですが、まず質問の事項は、平成20年度の指定管理料積算について、光熱費等の参考にするため、平成20年度の予算の積算モデルを示してほしいということで応募者から質問がありました。回答が書かれてありまして、指定管理料としましては、施設維持管理に係る経費、光熱水費相当を予算の範囲内でお支払いする予定です。その金額は市の他の公の施設での事例を参考に試算しているところですということで、既に予算の査定も終わっていることをあえて隠しました。そういう問題があります。
 2つ目の問題は、審査基準についてです。指定管理料を明らかにしない中で、審査基準を非常にちょっとわけのわからないやり方がされました。それは指定管理料を500万円以下でつけた団体には自動的に1人50点、8人で400点のボーナス点がつくような審査基準がつくられました。それで、その他文化創造館の目的や文化面の配点は、最高で10点、5点、3点が多いのに対しまして、収支予算書の収支については30点とか、財務経営状況の項目は30点とか、収支差への対応20点とか、事務局がこの議事録の中で言っておりましたのは、審査基準も300点満点で170対130としており、内容よりは経営面を重視したものにしていると、こういう仕組みをつくったと、第1回目の選定委員会で宝塚市は発言をしております。
 ちなみに、男女共同参画センターの審査基準を調べましたが、これは40項目すべて5点で、200点満点で5段階評価という形でやっておりました。これに比べますと非常に何か恣意的な感じを受けます。
 次の問題は、この選定委員会の権限についてであります。募集要項で、該当者なしという問題について書かれているところがあるんです。募集要項の中で、選定方法というのが書かれてありまして、宝塚市立宝塚文化創造館(宝塚音楽学校旧校舎)指定管理者選定委員会(以下選定委員会という)における書類審査及びプレゼンテーションにより選定しますと。だから、この選定委員会で選定しますということを書いて、ただし応募された法人等の中から必ず選定されるとは限りませんという募集要項を出したんです。
 その後に注意事項という文章が配られておりまして、先ほど読み上げた募集要項の13の(1)選定方法について、ここに下線を引かれてあるんですけど、目立つように。下線部の意味するところは次のとおり補足しますと。選定委員会における審査において、選定委員会の審査ですよ、宝塚市の審査じゃありません。選定委員会の審査において、応募いただいた団体の中に本施設指定管理者としてふさわしい団体がいないと判断された場合は、今回の募集においては候補者の特定を見合わせることがあるという意味で、今回の募集とは別に選考を行っているという意味ではありません。つまり、ふさわしい団体がいないと判断されることもあるということをこの募集の段階では言っておりました。ところが、これは選定委員会になりますと、このことが変わりました。つまり、どういうふうに変わったかといいますと、この委員会は宝塚市が発言してるんですけども、この委員会は、選定委員会ですね、外部委員会であることからも、該当者なしという判断までは求められないと考えていると。外部委員会というだけで該当者なしという判断までは求められないということで変わりました。不十分なら不十分なりに、順位づけをしていただくと、順位だけつけてくださいということを言ってるんです。ただし、第1候補者である場合でも、附帯意見をつけていただくことになるということで、附帯意見がつきました。
 それを受けて、設置目的が果たせるかどうか、第1候補者と実際やっていけるのかを含めて市が協議をする中で、最終的に不調に終わる場合もあり得ると、それを決定するのは市であるということで、募集要項の段階では、選定委員会が該当者なしというか、ふさわしい団体がないということが決定されますよと言っておきながら、選定委員会になると、それは市がやるんだと。要するに、選定委員会は順位をつけていただくだけだという形に変えました。
 最後に、第1回目の選定委員会の委員長の発言がありまして、これが本当に象徴する言葉だと思うんですが、その前に事務局が審査基準について300点満点の中で170対130としており、内容面は経営面を重視したものにしているという言葉があって、それを受けて、委員長が採算が合わないところに対しては、50点を加算されない。その部分がかなり効いてきて、合計点では採算重視の結果が恐らく出てくることになろうと。
 一方では、理念的な部分も反映されているので、一度採点いただき、総合的に議論いただく中で、附帯意見をいただくこともあるかもしれない。
 我々の役目としては、応募団体に順位をつけてそれを市長に答申することであるということで、つまり募集の段階では、ふさわしい団体が選考されますよということを言っておきながら、選定委員会でがらっと変えまして、それをだめ押しする形で委員長が1回目の委員会でだめを押したという問題があります。
 最後に、予算の後づけについてです。先ほど申し上げましたように、予算要求の中で、実施計画の要求書には、文化人材育成委託料という名目はありませんでした。指定管理料だけでした。指定管理料を減額査定するかわりに出てきたのが、文化人材育成委託料500万円です。11月26日の実施計画公表時点では、既に予算として査定されておりました。ところが、文化人材育成委託料は、指定管理者の公募では明らかにされませんでした。そして、選定委員会の次の発言において、文化人材育成委託料がコンセルジュに用意されたものであったということが読み取れる内容があるんです。
 2回目の選定委員会の中で、事務局はこう言っております。指定管理料以外に、委託料として、文化育成事業に充てる費用を予算措置すると言い切っています。これについては、ここでは議事録ではAですけども、これはコンセルジュを指します。コンセルジュに対して支払って、市が行おうとする文化の育成事業を行わせることは可能であると、ほかの団体のことには、このことは一つも触れておりません。
 コンセルジュに対して可能であると、どういう根拠でそう言ったかわかりませんが、この委託料の件については、すべての団体に伝えていない。指定管理者の最良で自由に行わせるものではないと言ってますけども、特名での委託になると。コンセルジュについても、最低でも500万円分の文化事業をやってもらうことになると言ってるんです。
 実は、文化創造館の設置目的の中に、文化の人材育成も目的の1つにしてるわけですね。500万円の委託料は、私から見れば、指定管理料に500万円加算していることと同じじゃないいかなと。それだったら、そういうことも公開して募集をすべきではないかなというふうに思っています。
 最後に、本質的な問題として私感じてますのは、指定管理者制度について、こういうとらえ方をされてる部分もあるんですね、企業にとって公共施設の管理ビジネスは設備投資が不要でリスクが小さく、安定収入が得られるから、これほどうまい話はないというふうに言われている問題なんです。
 地方自治法改正のときの総務省の担当者の方が、「指定管理者のすべて」という本の中で次のように述べてる部分があるんです。指定管理制度は運用いかんによってはデメリットも生じると、中略で、誤って法人等が指定されると、公の施設は食い物にされ、施設の公共性そのものが損なわれることになる。そのためには、指定に際し、第三者による公正・透明な選定手続と厳格な審査が、長にも議会にも求められるという部分がありました。
 そういうことを含めまして、私はこの経過からいたしまして、やはりた一たん白紙に戻して、やはり文化と協働ということを機軸にするのか、経営っていうことを、採算ということを機軸にするのか、やはりきちんと予算組んでいるなら、きちっとそれを公表して、そうした上で、やはり議会でもきちんと議論を尽くして選定をされるべきではないかなというふうに思っています。
 そういった意味で、今回のこの選定の経過につきましては、非常に大きな疑義を持ちますので、反対の討論といたします。

賛成討論

議案第34号公の施設の指定管理者の指定についてに賛成討論をさせていただきます。
 本議案は、昨年の9月議会において可決された宝塚市立宝塚文化創造館(宝塚音楽学校旧校舎)条例に基づき、指定管理者を公募し、学識経験者公募による市民の方、また阪急電鉄株式会社の方など、8人の委員において指定管理者選定委員会を12月、また1月と2回行い、指定管理者を選定し、提出されたものであります。
 1点目に、この宝塚文化創造館の設置目的が歴史的建造物として保存し、宝塚歌劇が生み出した文化を礎とする舞台芸術を中心とした新たな文化活動の振興並びに新たな魅力づくりによる集客及び交流を図るためとあり、宝塚文化の今後に宝塚歌劇文化の保存が大事であり、失われようとした宝塚歌劇文化を行政が守ったものと評価し、運営上、前回の設置条例時の賛成討論で、阪急電鉄株式会社からの協力を取りつけることを条件に賛成させていただきました。
 今回、阪急電鉄株式会社においてはそういった保存の取り組みを理解していただき、選定委員会にも入り、また数々の映像フィルムなどをいただくなど、より積極的な協力をしていただいております。
 2点目に、指定管理者選定委員会における経過について報告を受け、選定における選定委員長名での報告を尊重し、また附帯意見にありました今後指定管理者による事業を推進するに当たっては、文化創造等について、市当局による指定管理者に対する積極的な関与、指導、監督、監視が不可欠であり、今回の選定は、これらの行為を前提としたものであるというのが選定委員会の総意であるという意見を重視させていただき、本議案について賛成とさせていただきます。ありがとうございます。

反対討論

議案第34号公の施設の指定管理者の指定についてに対して反対を表明して、討論をさせていただきます。
 まず、草野議員の方から、いろいろと反対の意見をいただきまして、私はその評価点、指定管理者の選定委員会がつけた評価点の数字に対して、ちょっと反対の意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、選定委員の中、8名おられますけども、コンセルジュを実際に1位に挙げた方の総合の得点がずば抜けて高くなっております。これ例えば、各委員が4団体につけた平均の得点、平均点から最高点を引きますと、各委員のつけた、大体得点のバランスがわかるんですけども、特にコンセルジュを1位にした方が4名おられます。その中の3名の方が平均点からコンセルジュだけがずば抜けて高い得点になっております。これ、先ほど言われたように、選定委員会の委員長が経営面を重視している、そちらの方向に得点が付加されているという結果が、この数字から出てきております。
 だから、この4団体の中から経営面を重視した団体を選ぶという発想でこの得点をつけていけば、おのずとコンセルジュ自体が高得点になるという仕組みがもうここでできております。
 選定委員会からの附帯意見としまして、総評が挙げられております。これはコンセルジュと残りの3団体、どこが違うかと申しますと、やはり会社の財政面が安定している、設備のハード面、維持管理面のノウハウがあると。ただし、コンセルジュの場合は文化面のノウハウや実績が不明確、また文化活動に関する理解が不十分である。残りの3団体は逆発で、会社としての存在がない、ないけども、文化に関する発想とかはすごく評価ができるということで、もう2極に分かれております。その中で、コンセルジュを選んだ委員の方がコンセルジュに対する特定が高得点になるということは、ほとんどもうこの得点のつけ方が経営面だけで得点につけられるということをあらわしている大きな理由になっております。
 逆に、コンセルジュ自体、この財政面、安定しているという評価を得ておりますが、コンセルジュの実際の経営の評価を見てみますと、この中で会社の安全面を見る自己資本比率というものがあります。この自己資本比率は、コンセルジュ自体は2%しかありません。大体、株とか、民間企業におられた方はわかると思うんですけども、ほとんど会社が持ってる資産があります。それは自己資本と他人から借りた他人の資本で成り立っております。会社を経営しているお金の中で2%が自分のお金しかないんですね。これがどんだけ経営基盤が安定していないか。例えば、建物の価値、土地の価値がちょっとでも下がれば、もう自己資本食いつぶしてしまいます。そしたら、たちまち資金繰りが苦しくなって、この会社は黒字であっても債務超過に陥る可能性は高いということが言えます。
 また、去年からの1年間の当期純利益ではなく、損失としてマイナス2,300万円赤字が出ております。この会社の自己資本金は2,500万円、いえば、次の年また同じような赤字を出せば、自己資本を食いつぶしてしまうというような会社の経営状態が果たして財政的に安定していると言えるのかどうか、疑問であります。
 先ほど草野議員が言われたように、箱物の維持管理だけをやってくれれば、よいというのであれば、そういう公募条件で再度やり直すべきだと思います。
 もともとこの文化創造館の利活用を考える上で参考にしたのが、岡山県の旧日本銀行の建物の利活用に成功しておりますルネスホールいう建物があります。今回の文化創造館の指定管理者の選定委員にもこのルネスホールを管理しているNPO法人の理事長にも入って、選考していただいております。
 このルネスホールのホームページを見てみますと、スケジュールが載ってました。土・日はビアノとかバイオリンのコンサートをやられております。その他、平日でも音楽活動がメジロ押しになっております。これ、宝塚の音楽学校、文化創造館に当てはめてみますと、例えば、観光で2階に宝塚歌劇のVTR100本おさめてある資料を見に来られた方がいるとします。その方が、たまたま1階でそういうピアノのコンサートをやっていたということで、音楽学校の資料を見に来たんだけども、たまたまピアノのコンサートやってる、見ようかということが思える、その一体感が生まれると思うんですね。コンセルジュはその下で宴会をやると。レストランウエディングをするということを考えると、レストランウエディングで本当に公共の施設としての一体感が生まれるだろうか。それはないと思います。
 例えば、観光の方がそういうことで音楽学校に行ってきたよと。1階ではピアノのコンサートをやってたということをまた自分の地域に帰って宝塚の宣伝をしてもらうことによって、また宝塚のブランドのイメージ強化、文化芸術、宝塚はやっぱりすぐれているなということに、こういうことは本当に利活用できると思います。そういう活用方法が実際、この建物に15億8,000万円の税金をかけて、残した建物の利活用だと思います。
 以上で反対討論を終わります。

採決結果

起立少数です。
 したがって、本件は否決することに決定しました。



ついでに,予算特別委員会委員長報告

宝塚文化創造館の指定管理者には、新しい宝塚文化の創造を担う事業者が選定される方針であったが、公募条件である指定管理料に事業費が含まれていない。採算性を重視した選定の結果、レストラン事業を中心とした、ホテル再建業者が選定されている。
 宝塚文化の創造の面で問題があると指摘したところ、文化面で弱いのは否めないが、経営面で安定している点が評価された結果となっている。文化事業は、指定管理者が市の受託事業として実施するが、プロデューサーの選考や文化事業の運営に際し、指導や支援を行いたいとのことです。
 それに対し、当初から施設の管理運営を目的とした指定管理者の公募であれば、今回選定された事業者以上に、経営的に安定した事業者を選定することや市内の同業者の参画も十分に可能であった。改めて公募をやり直すべきではないかとの指摘がありました。
・・・
採決の結果、議案第1号平成20年度一般会計予算については、プラスチック類選別等処理業務委託料の一部を減額するため、款4衛生費、項2清掃費のうち、7,209万9,000円を減額する修正案が提出され、修正案及び修正部分を除く原案の双方とも、賛成多数で可決されました。

反対討論から関連する部分

案第1号平成20年度宝塚市一般会計予算につきましては、修正案に賛成、そして残る原案部分については反対という態度で討論を行います。・・・
 時間を短くしてやりますので、理由は1つは、宝塚音楽学校の旧校舎利活用事業予算2億670万円は、先ほど条例案のところで討論いたしましたように、指定管理者選定につきまして、不明朗な経緯が絡んだ予算編成でありまして、改めて指定管理者の選考をやり直した上で予算計上すべきと。場合によっては、私は11月開催にこだわらず、きちんと議論を尽くして、今年度実施できなくてもいいというふうに思っております。きちっと、やはりどういう考えでやるかということをきちっとすべきであると。
 2点目は、同じく宝塚文化創造館管管理運営事業624万円です。これも同じく指定管理者選定の不明朗な経緯が絡んだ予算編成となっておりますので、同じ理由です。
 今、賛成しておったんではないかという意見がございましたが、指定管理者として設置をするということには賛成をいたしましたが、先ほど条例のところで述べましたように、指定管理者の選定そのものにつきましては、不明朗な経緯が絡んでおりますので、また宝塚市がきちんとした考え方を持たない中でやっておりますので、この点については、予算面におきましても、やはり一たん削除をして、そうしたきちんとした議論と、やり方をやった上で予算計上すべきだいう点で当初予算からの削減を求めたいと思っております。

賛成討論から関連する部分

宝塚文化創造館がこの秋オープンされます。市外から文化交流を通じて多くの方が訪れてもらえるように、しっかりとした経営をやっていただかなければならないと思っておりますが、本日、管理者制度につきましては否決となりましたが、4,000万も5,000万も一般会計から出さないけないというようなことのないように、しっかりとした経営をやっていただきますように、産・官・学・民の一体的な支援がされるように要望いたします。

採決結果

起立多数であります。
 したがって、修正可決した部分を除くその他の部分は、原案のとおり可決することに決定しました。

2008年6月6日定例会での市長答弁

宝塚文化創造館の今後の取り組み推進についてのうち、観光集客につきましては、本事業はそのテーマを宝塚歌劇文化を礎とした新たな宝塚文化の創造とし、文化育成と観光集客の2つの事業を展開していこうと考えております。
 具体的には、旧校舎の1階はカフェを併設した文化交流ホールとし、2階は宝塚市の歴史や文化、宝塚音楽学校宝塚歌劇の歴史などに関する展示を行う空間として、3階はダンスやミュージカルなどのレッスンルームとして活用していく予定であります。
 また、宝塚ファミリーランドが閉園してから、中心市街地を訪れる観光客が激減している現実を踏まえ、宝塚文化創造館が清荒神中山寺といった中心市街地以外の観光地を訪れる観光客を中心市街地に呼び込む拠点の1つとなるよう、市立手塚治虫記念館や宝塚大劇場などと連携し、今以上のにぎわいを創造してまいりたいと考えております。
 次に、推進委員会のあり方につきましては、平成18年度に宝塚音楽学校旧校舎等利活用計画をより具体的にしていくため、建築や文化の専門家などで構成する宝塚音楽学校旧校舎等利活用事業推進委員会を設置し、旧校舎の改修設計や事業運営方法などについて御意見をいただいてまいりました。
 今後は、この施設で実施されるさまざまな事業プログラムが宝塚音楽学校旧校舎等利活用計画にうたわれております基本的な理念に即しているか、評価を行い、またさまざまな専門的立場から御意見をいただくことも必要であると考えております。
 次に、指定管理者についてでありますが、3月議会で指定に係る議案が可決いただけなかったということから、この事業の基本となります宝塚音楽学校旧校舎等利活用計画を尊重し、市民主体の運営組織による事業運営をいかにすれば実現できるのか、さらには市のかかわり方について検討を行っているところであります。
 現在、国からの補助金の交付決定のおくれ等もあり、オープン時期が当初予定の11月よりおくれる見込みでありますが、市民の皆さんの期待におこたえできる施設として、できるだけ早期にオープンできるよう努めてまいります。
 また、この施設は、そこが宝塚歌劇団へ数々のスターを排出してきた学舎であったことに着目し、音楽やダンスなど、舞台芸術を中心とした文化創造に取り組む場として活用してまいりたいと考えております。
 このような活動を支えていくためには、専門のプロデューサーや優秀な講師の存在が不可欠でございますので、関係方面に御協力が得られますよう働きかけてまいりたいと考えております。

2010年12月11日追記

2010年12月11日の朝日新聞兵庫版の記事から

大地真央も学んだ…宝塚音楽学校旧校舎、文化発信拠点に
多くのタカラジェンヌの卵たちが学んだ宝塚音楽学校旧校舎(宝塚市武庫川町)が来春、市立宝塚文化創造館として本格オープンする見通しになった。市議会の委員会が10日、市文化振興財団を指定管理者とする議案を可決。17日の本会議でも可決される見込みで、一時は老朽化で取り壊し案も浮上した学舎がようやく「第二の人生」を歩み始める。
目玉は2階の展示室。約250平方メートルのスペースに宝塚音楽学校の制服のレプリカや卒業証書の複製、時間割りなどを展示するほか、授業風景や文化祭、卒業式などの様子を6カ所の液晶ディスプレーで紹介する。また、52インチの大型モニターで歌劇の魅力を映像で伝えるという。入場料金は数百円を予定している。
1階は文化交流ホール、3階はレッスン室として活用する。館長には、同財団の理事で歌劇団演出家の岡田敬二氏が内定している。
同館はもともと2008年11月にオープンする予定で、07年11月に指定管理者を公募。4団体の中から堺市のホテル業者を選んだが、08年3月の市議会本会議で「文化的理念に乏しい」などとして否決されていた。
ただ、05年から改修工事などに国から5カ年で計約2億円の補助金を受けており、09年度中に何らかの成果をあげるため、同年4月に市が暫定的に開館。春と秋の休日のみ利用できる貸館となっていた。
今回、市は指定管理者を選ぶにあたって公募をせず、「文化施設運営の実績がある」として同財団1団体のみを選び、選定委員会の審査にかけた。指定管理期間は2011年度から3年間で、市が支出する維持運営費は計6900万円と見込んでいる。
今後は、「文化の発信」と「集客」を二本柱とする新たな宝塚文化の発信拠点を目指すという。全国の歌劇ファンが集い、憩う場としての活用も期待されている。(谷辺晃子)
◇〈宝塚音楽学校旧校舎〉 1935年、宝塚公会堂として建てられた。延べ1270平方メートルの鉄筋コンクリート3階建て。37年から98年まで、戦中戦後の一時期をのぞいて本校舎に使われ、大地真央黒木瞳ら約2400人が学んだ。98年、新校舎の完成とともに閉鎖。老朽化が目立ち、取り壊されることになったが、市民や卒業生から保存を求める声があがり、市が土地を買収。建物は阪急電鉄から寄付された。

公募の際には,市側の指定管理料の見積もりは年間500万円程度であったとのこと。賛否含め,いろいろな意見はあると思いますが,記事によれば,今回の指定管理者制度の導入では,年間の指定管理料は2300万円ほど。しかも文化芸術の拠点たる文化施設の運営の実績があるところを指定で選定しているということで,市側の"文化創造"への積極的な姿勢がかいま見られる結果となりました。
よかったと思いますが,一方,この宝塚市の施設については,市民のニーズに応えつつ,実質的にはいわゆる「ヅカ」を期待する全国の潜在的利用者の集客も考えることが,少なくても方便としてはあり得る話ですので,文化振興財団が自立的に,いろんなところとの連携を深め,連携事業を構築していくような活動ができればと思います。
なお,この間の阪急電鉄の動きについてはよくわかりませんので,暴言かもしれませんが,はっきり言ってが「っかりしています」と言いたい。地域の価値が高まることは,地域市民にとってのステークホルダーである(株)阪急電鉄にとってもプラスとなるはずだと思います。