大東市の眼鏡店での差別事件

http://d.hatena.ne.jp/ironsand/20051231#p4で触れたスティーブ・マクガワンSteve McGowanさんが大阪府大東市野崎の眼鏡店(G .スタイル http://gs-gstyle.jp/)で「黒人」という人種ゆえに人種差別発言を浴びせかけられ,入店拒否された件。マクガワンさんを原告,眼鏡店経営者の成田隆志さんを被告(訴訟代理人藤田増夫)とする民事裁判の判決が1月30日に大阪地方裁判所で行われた。
裁判官の佐賀義史による判決は原告敗訴。判決文はまだ不明だが,報道によると,入店拒否が行われたことは認定されたようである。しかし,人種差別発言があったとの原告の証言は信用できず,よって,たとえ外国人であるがゆえの成田被告の行動があったとしても,人種差別によって入店拒否が行われたとも認定できないとのこと。
一種,門前払いのような気もしたが,被告側としても,ここにしか逃げ道がなく,一生懸命逃げ切ったというところだろう。
人種差別発言は,許容されるものではないのだ。被告は発言したことを認めることはできなかったのである。

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060130-00000021-maip-sociより

「黒人は嫌いだ」などと差別的発言で入店を拒否され、人格を傷つけられたとして、米国人デザイナーの男性(41)=京都府精華町=が大阪府内の眼鏡店の経営者を相手取り、150万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(佐賀義史裁判官)は30日、「黒人差別の発言の事実が認められない」と原告の請求を棄却した。
 判決によると、原告は04年9月、知人と眼鏡店前でポスターなどを見ながら話していたところ、経営者が店から離れるよう求めた。翌日、原告と一緒に店を訪ねた日本人の妻が「昨日、何があったのか」と尋ねた。経営者は「店の前に変な人がいて入店できないと、客から電話があり、店から離れてもらった。若いころドイツにいたことがあって、黒人から嫌な思いを受けた」などと説明。妻と言い合いになった。
 訴訟で原告側は「経営者から『黒人は嫌いだ』などと言われて入店を拒否された」などと主張した。しかし、判決は「意思に反して店舗前から離れさせられたというべき。原告の日本語能力には相当な疑問があり、差別発言があったという証言は信用できない。経営者のドイツ時代の話から、原告らが黒人差別を推測したと認められる」と退けた。判決後、会見したマクガワンさんは「人間以下の扱いを受けた気分。数世紀前の米国南部にいるようで悲しい」と涙をぬぐった。原告代理人の丹羽雅雄弁護士は「差別はなかったとしながら、被告がなぜ入店を拒否したかを明らかにしていない。著しく不当な判決だ」と批判した。

http://japanfocus.org/article.asp?id=517
On the Road to Apartheid? Japan and the Steve McGowan Case(By Eric Johnston)
http://www.debito.org/mcgowanhanketsu.html
「黒人嫌い」マクガワン大阪地裁敗訴報告

阪高裁で慰謝料認定 10月19日追記

阪高裁で行われていた控訴審(田中壮太裁判長)において,2006年10月18日,一審の地裁判決を変更し,店の経営者に35万円の支払いを命ずる判決が出た。
判決では,経営者が退去を要求したと認定。人種差別と認めるには不十分だが,社会通念を逸脱した一方的で理不尽な行為があったとして,慰謝料を認めたもの。
判決文はまだ読んでいないが,なぜGスタイルの経営者が退去を要求したかということについて,検討がきちんと行われたのか疑問にも思われるが,実際の行為としての人権侵害は認められた点では評価できる判決だろう。