地方独立行政法人法施行令の改正

2013年10月17日に,地方独立行政法人法施行令の一部を改正する政令が公布されていました。地方独立行政法人の行う業務の範囲に博物館等を加えるものです(下記アンダーライン部分)。

政令第298号
 地方独立行政法人法施行令の一部を改正する政令
内閣は,地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成25年法律第44号)の一部の施行に伴い,並びに地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第8条第2項ただし書,第21条第5号,第42条の2第7項及び第127条の規定に基づき,この政令を制定する。
 地方独立行政法人法施行令(平成15年政令第486号)の一部を次のように改正する。
 第1条中「第6号第4項」を「第6条第5項」に改める。
 第2条に次の1号を加える。
 三 前2号に掲げるもののほか,総務大臣の指定する事項
 第4条に次の1号を加える。
 三 博物館,美術館,植物園,動物園又は水族館
 第5条に次の5条を加える<以下略>

 附 則
 (施行期日)
1 この政令平成26年4月1日から施行する。ただし,第2条及び第4条の改正規定並びに次項の規定は,交付の日から施行する。<以下略>

最初に検討を始めた大阪市のほか,横浜市の動物園でも地方独法化を検討しているようです。
さて,このことにより引き起こされる一つの問題は,博物館等の設置者が地方公共団体でなく,地方独立行政法人になることから,博物館法でいう登録博物館の要件を失うことになってしまうことです。地方公共団体一般財団法人も設置者として認めているのですから,公益法人の一つの類型として地方独立行政法人を登録博物館の設置者として博物館法第2条に加えることは,その範囲では,なんでもないことです。たぶん。
ただ,問題は,「じゃあ,国の独立行政法人はどうなるんだい」という議論につながること。

博物館関係税制メモ

平成24年度税制大綱から

図書館、博物館及び幼稚園に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置について、対象に特例民法法人から一般社団法人又は一般財団法人に移行した法人(非営利型法人であって、遊休財産額が一定の基準を満たすもののうち、年間収入額5,000万円以下のものに限ります。)が設置する図書館、博物館及び幼稚園を追加します。
図書館、博物館及び幼稚園に係る不動産取得税の非課税措置について、対象に特例民法法人から一般社団法人又は一般財団法人に移行した法人(非営利型法人であって、遊休財産額が一定の基準を満たすもののうち、年間収入額5,000万円以下のものに限ります。)が設置する図書館、博物館及び幼稚園を追加します。

とあるように,公益社団,公益財団にならなかった登録私立博物館でも,従前通り固定資産税,不動産取得税の非課税が認められていたようで,これはほっとしています。 もう2年も前の話ですが,きちんと確認していませんでした。

さて,もう一つ面白いものが。
平成26年度税制改正要望(文部科学省)から

(独)国立美術館、(独)国立文化財機構、(独)日本芸術文化振興会(以下、「文化法人」という。)が行う活動への民間からの寄附について、以下の2点を措置する。
 (1)法人からの寄附に係る指定寄附金化
 (2)個人からの寄附に係る税額控除と所得控除の選択制の導入

税額控除については,独立行政法人の博物館だけではなく,公私立の登録博物館に対しても認めてほしい…。いや,その前に要望して欲しかった…
 まぁ,公立ってのは,そもそも博物館に寄贈はともかく,寄附できるのかもよくわからない。
 国立が先鞭つけてもらうだけでも,けっこう意味はあると思います。


最初の登録博物館の固定資産税の話ですが,条文も確認してみることとします。
固定資産税関係ですが,固定資産税の非課税の範囲について定めた地方税法第三百四十八条第二項九号に

九 …公益社団法人若しくは公益財団法人又は宗教法人がその設置する博物館法第二条第一項 の博物館において直接その用に供する固定資産

とあります。これは公益社団,公益財団になってこその話。それでは,一般財団・一般社団はどうかというと,附則第四十一条第十一項に平成二十五年度までの経過措置は書いてあります。 さらに,同条第十五項が要望に応えて恒久化したものという解釈でよいのかもしれません。(よくわかっていないm(_ _)m )

(旧民法第三十四条の法人から移行した法人等に係る地方税の特例)
第四十一条  一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号。以下この条において「整備法」という。)…
3  整備法第四十条第一項の規定により存続する一般社団法人であつて整備法第百六条第一項の登記をしていないもの(第十一項及び第十三項において「特定一般社団法人」という。)については公益社団法人とみなし、整備法第四十条第一項の規定により存続する一般財団法人であつて整備法第百六条第一項の登記をしていないもの(第十一項及び第十三項において「特定一般財団法人」という。)については公益財団法人とみなして、第七十三条の四第一項第三号、第三号の二及び第七号、第三百四十八条第二項第九号、第九号の二、第十二号及び第二十六号並びに第七項並びに附則第十五条第二十二項の規定を適用する。
11  市町村は、平成二十一年度から平成二十五年度までの各年度分の固定資産税又は都市計画税に限り、移行一般社団法人等に係る次に掲げる固定資産(当該移行一般社団法人等に係る設立登記の日の前日において第三項の規定により特定一般社団法人又は特定一般財団法人公益社団法人又は公益財団法人とみなして適用する第三百四十八条第二項第九号、第九号の二、第十二号又は第二十六号の規定の適用があつたものに限る。)に対しては、第三百四十二条又は第七百二条第一項の規定にかかわらず、固定資産税又は都市計画税を課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合においては、当該固定資産の所有者に課することができる。
四  移行一般社団法人等がその設置する博物館法第二条第一項の博物館において直接その用に供する固定資産
14  道府県は、特定移行一般社団法人等(移行一般社団法人等のうち、非営利型法人に該当することその他政令で定める要件に該当するものをいう。以下この項及び次項において同じ。)が次に掲げる不動産を取得した場合には、第七十三条の二第一項の規定にかかわらず、当該不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
三  当該特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している博物館法第二条第一項の博物館において当該特定移行一般社団法人等が直接その用に供する不動産
15  市町村は、特定移行一般社団法人等に係る次に掲げる固定資産に対しては、第三百四十二条又は第七百二条第一項の規定にかかわらず、固定資産税又は都市計画税を課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合においては、当該固定資産の所有者に課することができる。
三  特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している博物館法第二条第一項の博物館において当該特定移行一般社団法人等が直接その用に供する固定資産

※追記
地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律(平成24年法律第17号(平成24・3・31))に次のような条文がありました。やはり,附則四十一条十五項で読むんですね。

第一条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

 …
附則第四十一条第三項中「附則第十五条第六項」を「附則第十五条第五項」に改め、同条第四項中「。第十一項」の下に「及び第十四項」を加え、同条に次の三項を加える。
14 道府県は、特定移行一般社団法人等(移行一般社団法人等のうち、非営利型法人に該当することその他政令で定める要件に該当するものをいう。以下この項及び次項において同じ。)が次に掲げる不動産を取得した場合には、第七十三条の二第一項の規定にかかわらず、当該不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
一 当該特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している幼稚園において当該特定移行一般社団法人等が直接保育の用に供する不動産
二 当該特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している図書館において当該特定移行一般社団法人等が直接その用に供する不動産
三 当該特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している博物館法第二条第一項の博物館において当該特定移行一般社団法人等が直接その用に供する不動産
15 市町村は、特定移行一般社団法人等に係る次に掲げる固定資産に対しては、第三百四十二条又は第七百二条第一項の規定にかかわらず、固定資産税又は都市計画税を課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合においては、当該固定資産の所有者に課することができる。
一 特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している幼稚園において当該特定移行一般社団法人等が直接保育の用に供する固定資産
二 特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している図書館において当該特定移行一般社団法人等が直接その用に供する固定資産
三 特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している博物館法第二条第一項の博物館において当該特定移行一般社団法人等が直接その用に供する固定資産
16 前項の規定の適用を受ける土地又は家屋に係る第四百十五条第一項の規定の適用については、同項中「第三百四十八条」とあるのは「第三百四十八条又は附則第四十一条第十五項」と、「同条の規定」とあるのは「これらの規定」とする。

ちなみに地方税法施行令の附則第二十三条第九項に

(旧民法第三十四条の法人から移行した法人等に係る地方税の特例)
第二十三条  
9  法附則第四十一条第十四項に規定する政令で定める要件は、次の各号のいずれにも該当することとする。
一  法附則第四十一条第十四項に規定する移行一般社団法人等を公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第二条第三号に規定する公益法人(以下この号において「公益法人」という。)とみなして算定した前事業年度の末日における同法第十六条第二項に規定する遊休財産額が、当該移行一般社団法人等を公益法人とみなして算定した同条第一項の内閣府令で定めるところにより算定した額を超えないこと。
二  前事業年度に係る損益計算書の収益の部に計上した額の合計額が、五千万円に当該前事業年度の月数(当該月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。)を乗じて得た金額を十二で除して得た金額以下であること。

と定められています。

※2023年2月2日追記
登録博物館(特定移行一般社団法人等)に関する不動産所得税及び固定資産税についての地方税法附則の規定は、項の番号が変わっていますが、存続中。

地方税法附則第四十一条
7 道府県は、特定移行一般社団法人等(整備法第四十条第一項の規定により存続する一般社団法人又は一般財団法人であつて整備法第百二十一条第一項において読み替えて準用する整備法第百六条第一項の登記をしたもののうち、非営利型法人に該当することその他政令で定める要件に該当するものをいう。以下この項及び次項において同じ。)が次に掲げる不動産を取得した場合には、第七十三条の二第一項の規定にかかわらず、当該不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
一 当該特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している幼稚園において当該特定移行一般社団法人等が直接保育の用に供する不動産
二 当該特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している図書館において当該特定移行一般社団法人等が直接その用に供する不動産
三 当該特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している博物館法第二条第一項の博物館において当該特定移行一般社団法人等が直接その用に供する不動産
8 市町村は、特定移行一般社団法人等に係る次に掲げる固定資産に対しては、第三百四十二条又は第七百二条第一項の規定にかかわらず、固定資産税又は都市計画税を課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合においては、当該固定資産の所有者に課することができる。
一 特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している幼稚園において当該特定移行一般社団法人等が直接保育の用に供する固定資産
二 特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している図書館において当該特定移行一般社団法人等が直接その用に供する固定資産
三 特定移行一般社団法人等が平成二十年十二月一日前から設置している博物館法第二条第一項の博物館において当該特定移行一般社団法人等が直接その用に供する固定資産
9 前項の規定の適用を受ける土地又は家屋に係る第四百十五条第一項の規定の適用については、同項中「第三百四十八条」とあるのは「第三百四十八条又は附則第四十一条第八項」と、「同条の規定」とあるのは「これらの規定」とする。

FB良品NANTOに関して

8月7日の朝日新聞富山版の記事から

シンガポールで新ブランド 富山・南砺市の海外展開
【八田伸拓】ネット通販「FB良品」による地域活性化に取り組む南砺市は、連携他市とともに9月からシンガポールを拠点に海外向けブランド名で展開しようと、近く登録商品の再登録のための説明会を市内で開く*1。50品目以上に増えていた登録品には、世界の認知度をさらに高められる商品も多いと担当者は期待している。
新ブランド名は「なんとサティスファクション・ギャランティード(NANTO sg)」*2佐賀県武雄市など全国十数自治体の連携で南砺市が展開してきたネット通販システム「FB良品NANTO」を9月3日から全面的に変更する。
同市は昨年12月にFB良品の運営を開始。五箇山和紙の手染め飾り軸や利賀そばのプリン、井波彫刻ギターなど10品目の特産品認定でスタート、現在まで58品目に増やしてきたが、フェイスブックや「無印良品」などとの関連の分かりにくさ*3や海外での知名度不足などから、大手ホームセンターチェーン*4などの協力が得られなかった。
一方で、シンガポールに本社を置く「サティスファクション・ギャランティード社」の日本法人*5との話し合いが進み、自治体による運営協議会との間でブランド名使用の提携が成立。協議会でシンガポールに駐在員を常駐させ、運営費を分担する計画*6という。
同社は東南アジアを中心に人気が高いアパレル会社とされ*7フェイスブックでのアクセス数での知名度顧客の富裕層の厚さなどで知られる*8。同市商工課は「手触りのいい五箇山和紙や城端の絹織物、井波の木彫刻など、外国人観光客から好評の品目も多い。海外向けの新ブランドで、改めて登録してもらい、世界に発信していきたい」と張り切っている。

疑問点,感想などをつらつらと。

  • 1 現FB良品南砺の登録商品について,そのまま新ブランド名に移行するのでなく,再登録の手続きをとるとのこと。出品者に対する説明を十分に行い,合意を得るという点では,確かに望ましい手続きであると思える。 ただ,邪推だとは思うが,登録商品を厳選し,経費を減らそうという意図があるのかもしれない。あくまで邪推ですが。
  • 2 南砺市のwebサイトでは,新名称については

9月3日(火)に「FB良品」から「Japan satisfaction guaranteed」へ、同時に「FB良品NANTO」は「NANTO satisfaction guaranteed(NANTO SG)」に名称変更。

とされていたところ。まぁ,今の名称も「FB良品 南砺」か「FB良品 NANTO」かわからないようなものなので,このぐらいの表記のゆれは,現状維持といったところでしょうか。ブランディング戦略的にはどうかはわかりませんが。

  • 3 フェイスブック無印良品などとの「関連のわかりにくさ」と記事にありますが,この書き方ではまるで関連があるかのようです。
  • 4 大手ホームセンターチェーンがどこかはわかりませんが,まっとうな商感覚だと思います。
  • 5 (株)エスワンオーだの,SATISFACTION GUARANTEED PTE LTDだの,(株)サティスファクションギャランティードジャパンだのと,支配関係にありつつ別法人になっていますが,どうやら「FB良品」側(これは,SG社以上にさらに組織主体がわからないのですが)と交渉していたのは(株)サティスファクションギャランティードジャパンであって,他の会社じゃないようですね。
  • 6 協議会で…運営費を(各自治体で)分担する計画
  • 7 「とされ」という,誰が言っているのかわからない表現はいいとしても,
  • 8 ここは,誤報と言ってもよいかもしれないと,邪推する。


8月8日追記

上記記事の背景等については,金の髭氏によるまとめ「南砺市のFB良品海外進出報道への疑問 #sg問題」もあわせてご確認ください。
また,「佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem」の「04:FB良品 Japan Satisfaction Guaranteed(ジャパン・サティスファクション・ギャランティード)」に,多数の関連資料や関連リンクがありますので,あわせてどうぞ。 公文書開示請求等による関係自治体の文書についてはたけお問題文書館にもたくさんあります。

人吉市議会でのF&B良品の議論

平成24年9月第5回人吉市議会定例会(平成24年9月4日)会議録から

○7番(松岡隼人君)(登壇) 皆さん、こんにちは。7番議員、新・九州相良クラブの松岡隼人です。・・・これまで、つくり出すという観点から質問をしてまいりましたが、つくり出すためのつながりと今度は発信するためのつながりがあります。つまり生産者、創造者と消費者をつなげるということも行政の大事な役割の一つだというふうに思います。・・・以前、私が質問を昨年の12月議会ですね、質問いたしましたF&B良品、これもその一つの例です。あれからこの事業は随分と発展をいたしておりまして、武雄市では2月末現在、50品目が並んでおりまして、月平均50万円ほどの売り上げが上がっているそうです。ちなみに多い月は100万円の売り上げがあったそうです。また、現在、武雄市以外にも参加している自治体が五つございまして、今進行中の自治体も合わせますと年内には10ぐらいの自治体にはなるだろうということです。昨年の12月の答弁では検討するということでしたが、私は成功している自治体に乗っかっていいんじゃないかなと思います。ほかの自治体とつながる、そういうことをやってもいいんじゃないかなというふうに考えます。人吉市だけで、それも例えば職員だけでせずにやはりその道その道にはそういうプロがおりますので、そういう人たちとうまく連携しながらやっていってもいいんではないかというふうに考えております。
 そのつながるためのツールの一つとしてフェイスブックがございますが、その件につきましては、あす同じ会派の新・九州相良クラブの村口議員のほうが詳しく質問をされると思いますが、私も少しだけちょっとF&B良品の前に触れさせていただきたいと思いますが、このフェイスブック等のSNSが発達したことによりまして、うそ、ごまかしがきかない世の中になっている、人の価値観が随分変わってきていると感じます。話はシンプルで共感を得ているかどうか、ここに尽きると思います。我々は往々にして自己満足に浸りがちですが、やはり冷静に判断する必要があります。行政にとりましてもそれが生命線であり、特にそのあたりにもアンテナを張って、声を聞く必要があるのではないでしょうか。果たしてこの事業は市民が必要としているのか、税金の使い方は有益か、それを知るためのツールの一つがフェイスブック、そのように私は思っております。本市でも感動を共有したいとの思いがあれば、ぜひ活用をすべきだと思います。少々、話がずれましたが、フェイスブックを活用し、感動の共有のツールが物になった仕組み、それがF&B良品だと私は理解をしております。つまり人吉球磨の感動を世界中の方に届けたい、感動を共有したいというのが私の思いです。行政でもぜひ取り組むべきだと思いますがいかがでしょうか。こちらは副市長にお尋ねしたいと思います。
○副市長(郄橋 隆君) 皆さん、こんにちは。F&B良品につきまして松岡議員の方から御質問がありましたので、お答えさせていただきます。昨年の12月、そしてことしの3月の議会にも松岡議員から御質問がありました。ちょうど3月議会中でございますけれども、経済部の職員が武雄市に出張いたしまして、F&B良品の販売等について勉強してまいりました。その際、樋渡武雄市長に直々に御説明いただくということでお話をいただいてまいりました。その後、市役所内で調査研究いたしまして、協議検討を進めてまいりました。まず、F&B良品のメリットにつきましては、新たな販売開拓のツールとなり得るということ、それから民間ネット業者との比較として出店者の負担が小さい。それから通常では流通に乗りにくい小規模事業者の商品を発掘、販売可能である、それとさまざまな商品企画を短期間で供給できるという可能性があるなど、といったことがメリットとして挙げられております。一方デメリットといたしましては、商品選定等について市が行うことでの説明責任、それから個人バイヤーに頼る商品選定のあいまいさ、それから批判、苦情に対する責任の所在、バイヤー職員にかかる精神的な負担などが挙げられるようでございます。
人吉の物産等の販売につきましては、既に地元スーパーや個人事業者が行っていること、それから行政が行うことの必要性、それと初期投資、維持、経費などの面で費用対効果など、そういったところを総合的に勘案いたしまして検討した結果、武雄市と連携したF&B良品の販売については参加しないということになったところでございます。以上、お答えいたします。(「議長、7番」と呼ぶ者あり)
○7番(松岡隼人君) 今、副市長から御答弁をいただきました。メリット、デメリットという形で御答弁をいただいたわけですが、やはり何事にもメリットがあれば、必ずデメリットはあるというふうに考えるわけですが、F&B良品だけがその一つの手段ではないということは私も当然理解をしております。現在、F&B良品に関しまして武雄市以外の自治体、参加自治体はコストの面のみからだけ言いますと管理費が必要になってくるわけですが、その管理費以上の売り上げは上がっているということですので、ちなみに商品数がまだ三つか四つですが管理費、市が月々に負担する金額以上の売り上げは実際に上がっているというメリットもあるという話でした。副市長がおっしゃる話もわかるわけですが、・・・何か行政としてやれないか、やるべきじゃないかというところから質問をしておりまして、私の知る限りではこのF&B良品というのが一番身近でといいますか、手っ取り早くといいますか、成功していますし、販売実績もありますし、売り上げが上がる方法じゃないかなというふうに思いまして提案をさせていただいた次第ですが、先ほどから申し上げておりますとおり、一つのこれは手段なんですね。人吉市はもっとすばらしいシステムをつくり上げるぞと、そういうのがあれば、もちろんそういうのを行ってほしいと思います。オリジナルというのは初めは私はまねから、模倣から生まれるというふうに思いますので、乗っかってみたらというふうに提案をした次第ですが、もし人吉市では実はこういうのを考えているんだと、そういうのがありましたらぜひお聞かせいただきたいと思います。
○副市長(郄橋 隆君) お答えいたします。人吉市の農産品とか物産・特産品につきましては、私自身すばらしいものであると、それから観光資源につきましてもすばらしい観光資源がたくさんあるというふうに認識しているところでございまして、物産等の購入、それから人吉を訪問してもらうということは非常に地域の観光、地域おこしにつきましては重要であるというふうに考えているところでございます。そのツールといたしまして、インターネット、特にフェイスブック等の活用は情報発信の有効な手段の一つというふうに考えているところでございます。私自身も情報発信の手段といたしまして、ブログ、ツイッターフェイスブックなどを活用させていただいておりまして、ブログにつきましては、1日300 件から400 件ぐらいのアクセスがございまして、地元の方だけでなく、例えば人吉以外の方から「人吉ってそんなところなんですか」と「行ってみたい」というようなメッセージをいただいたこともございまして、ある程度のPRにはなっているんではないかというふうに非常に思っているところでございます。本市といたしまして、松岡議員指摘のとおりF&B良品とは別のフェイスブックの活用方法につきましては、今後も研究を重ねてまいりたいというふうに考えているところでございます。御理解いただければと思います。以上、お答え申し上げます。(「議長、7番」と呼ぶ者あり)
○7番(松岡隼人君) 今、副市長から御答弁をいただいたわけですが、副市長もおっしゃっていましたようにフェイスブック等を活用していろんな情報を発信しておられます。私もひとよし応援隊 ―― マラソンのクラブなんですけど ―― の一員でありまして、今度がデビュー戦になるんですが、副市長は今おっしゃいましたようにフェイスブック、ブログ、ツイッター等々の活用を積極的に頻繁になされていますので、私たちから見ますと市民とかなり副市長は近いように感じます。副市長のみにかかわらず、市職員の中にも市民と近い方はたくさんいらっしゃるわけですが、この地域には副市長もおっしゃいましたようにすばらしい歴史、伝統、文化がありますが、我々はそれを発信するのが不得意ではないかというふうに思っています。つまり、つながることが苦手だと思います。中央からお越しなった副市長には、ぜひその部分でお力を貸していただきたいと私自身は思っております。
先日、青井さんデジ部主催で武雄市の樋渡市長を講師にお招きし「宇宙に衝撃を与える武雄市の成功例と失敗例」と題して御講演を賜りました。「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」が、この講演会の中で・・・・・
○議長(永山芳宏君) 松岡議員、質問の趣旨が外れているように思います。質問をしてください。
○7番(松岡隼人君) ずれていますか。
○議長(永山芳宏君) はい。
○7番(松岡隼人君) どのあたりがですか。
○議長(永山芳宏君) 項目から随分離れていっているような気がします。
○7番(松岡隼人君) それはF&B良品についての考え方、市の取り組みについてというところから離れているということですか。
○議長(永山芳宏君) 青井神社の講演とかいったものが関連するんでしょうか。
 ここで暫時休憩いたします。
午後2時40分 休憩
 ─────────
 午後2時55分 開議
○議長(永山芳宏君) 休憩前に引き続き再開いたします。
 松岡議員におかれましては、質問を簡潔にお願いいたします。(「議長、7番」と呼ぶ者あり)7番、松岡隼人議員。
○7番(松岡隼人君) まずは議事進行の妨げになりましたことをおわび申し上げたいと思います。そして、一部表現を変更させていただきたいと思います。武雄市長の講演会の件ですが、「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」という部分を削除させていただきたいと思います。申しわけございません。
 この質問に関してですが、なんさまスピード感を持ってともに頑張ってまいりましょうと、そういうことでございます。これでこの件に関しましては、質問を終わらせていただきたいと思います。・・・

ホントに滑稽な様子で、あきれて書き出してしまいました。 信者さんたちは大変だろうなと思います。
管理費と同じくらいにしか売り上げがあがっていなくっていいのかっていうのもそもそもありますが、本当に管理費以上の売り上げが上がっているのか疑うこともないんだろうと思います。
まぁ、人吉市は普通に調査検討し、普通に対応されたようで安心しました。ちなみに、市側で答弁している副市長は、経済産業省からの出向者で、2013年6月にはまた経済産業省に戻る人のようです。

市来一般廃棄物利用エネルギーセンター地裁判決

2008年5月1日のエントリー「いちき串木野市(鹿児島県)ごみ発電問題」,2008年5月26日のエントリー「東京工業大教授の責任」,2008年8月9日のエントリー「東工大吉川教授のごみ発電技術続報」,2008年11月7日のエントリー「市来一般廃棄物利用エネルギーセンター問題続報」で触れてきた市来一般廃棄物利用エネルギーセンターの件。
いちき串木野市は2009年2月16日に,施設を設計・施工した業者らを相手どって,総額9億8000万円あまりの損害賠償請求訴訟を鹿児島地裁に起こしていましたが,昨日2013年4月24日鹿児島地裁での判決が出ました。
その件についての新聞等の報道は次のとおり。
まず,4月25日の朝日新聞の記事から

ごみ発電失敗、業者訴えた市敗訴 鹿児島・いちき串木野
鹿児島県いちき串木野市のごみ処理発電施設が計画通り稼働しなかったのは基本設計や施工に問題があったためだとして、市が設計や施工を請け負った業者らに約10億円の損害賠償を求めていた訴訟の判決で、鹿児島地裁は24日、市の訴えを棄却した。
被告は、発電方式の提唱者である東京工業大学吉川邦夫教授、吉川教授が代表を務めるエコミート・ソリューションズ(EMS、神奈川県)、施工した三井三池製作所(東京都)。
施設は、市に合併する前の旧市来(いちき)町が2004年、国や外郭団体の補助金約3億円を含む約10億円で建設。一般ごみと食肉加工場の肉骨粉を混ぜて蒸し焼きにし、発生したガスで発電する「世界初の施設」とされた。だが、完成直後からほとんど発電できず、ごみ処理量も計画の3分の1程度にとどまった。08年に会計検査院から補助金は不当と指摘されて稼働停止し、現在は市が国に補助金を返還しながら、施設の売却を進めている。
判決は「吉川教授、EMS、市来町が、計画段階から、実用化を目指し実証的性格を持つ施設と認識していた」と指摘。問題が起きたのは不適切なごみの分別などが影響したためで、「必要な調査や検討を十分にしなかったり、設計に欠陥があったりしたとは認められない」とした。三井三池については「性能を保証した契約ではなく、発注仕様書に沿って施工されたもの」とした。

記事を見るに、「吉川教授、EMS、市来町が、計画段階から、実用化を目指し実証的性格を持つ施設と認識していた」「必要な調査や検討を十分にしなかったり、設計に欠陥があったりしたとは認められない」の部分,思いっきり判決は間違えているように個人的には思う(もちろん,裁判で被告がどんな主張を行ったのか知るよしもないが)。
西日本新聞の記事から

ごみ発電訴訟、いちき串木野市敗訴 鹿児島地裁判決
計画通りに稼働しなかったごみ処理発電施設をめぐり、鹿児島県いちき串木野市が、施設を考案した研究者や施工業者など3者に対し約9億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁は24日、市の請求を棄却した。
 判決理由で吉村真幸裁判長は、契約書の記載内容などから「前例のない施設で、完全な実用施設ではなく、試行錯誤を繰り返す実証的なものだと市側は認識していた」と指摘。産業廃棄物が混ざるなど、ごみ分別が適切でなかったことなども施設がうまく稼働しなかった原因と判断した。
3者は、東京工業大大学院の吉川邦夫教授▽吉川教授が役員を務める設計会社エコミート・ソリューションズ(EMS、相模原市)▽ごみ処理部分を施工した三井三池製作所(東京)。
 判決によると、施設は合併前の旧市来町が発注。一般廃棄物肉骨粉を燃やして生じたガスで発電する新技術を活用し、建設費約10億円で2004年に稼働したが、ほとんど発電できず、ごみ処理能力も予定の約3割にとどまり、08年末に運転を停止した。
 田畑誠一市長は「主張が認められず非常に残念。控訴するかは弁護士と相談して検討する」としている。
 3者側は「主張を理解してもらった妥当な判決内容だ」とコメントした。

また,西日本新聞では関連記事も掲載。

10億円の“粗大ごみ” ずさん行政のつけ、市民に
計画通りに稼働しなかったごみ処理発電施設をめぐる損害賠償請求訴訟で、鹿児島県いちき串木野市は施工業者などの責任を主張したが、浮き彫りになったのは、補助金に依存した箱もの行政のずさんぶりだ。
施設をめぐっては、完成検査で発注者の旧市来町が、主燃料である一般廃棄物肉骨粉を燃やして生じるガスを入れずに、補助燃料の軽油のみで発電しただけで「施設は完成した」と国に届け出る一方で、「未完成の施設を責任を持って完成させる」という念書を施工業者側と交わすなどの不透明な対応が既に明らかになっている。
 鹿児島地裁はこうした経緯を踏まえた上で「一般廃棄物肉骨粉を同時に処理することが相当困難であることは市来町も認識していた」などと認定し、市側全面敗訴の判決を言い渡した。
施設には国が約3億円の補助金を交付していたが、予定された機能が発揮されていないことを理由に会計検査院が不当と判断。2009年度から18年度まで毎年度2400万円ずつ返還中だ。
 市は施設を売却しようと「最低価格1万円」などで5回の入札を繰り返したものの、いずれも不調。昨年、施設を分割して公売にかけ、発電施設だけが211万円で落札されたが、ごみ処理施設本体は売却や解体の見込みは立たない。解体費は1億数千万円に上るとみられ、年約10万円の管理費も積み上がっていく。
 裁判による「損害回収」の当ては外れ、増える一方の負担に、田畑誠一市長は「市で解体処理せざるをえない」と話す。
鹿児島オンブズマンの続博治代表は「新技術を検証しないままに導入した行政の責任と、導入を認めた議会が機能していなかったことを総括すべきだ」と指摘した。

KTS鹿児島テレビのニュースでは

いちき串木野市・ごみ処理発電施設訴訟 棄却判決
いちき串木野市が建設したごみ処理発電施設をめぐり、施設が十分に機能しなかったのは設計業者に責任があるとして市がおよそ10億円の損害賠償を求めている裁判で、鹿児島地裁は24日、いちき串木野市の請求を棄却しました。
問題のごみ処理発施設はいちき串木野市が2004年に総額10億円をかけて建設したものですが、システムトラブルが相次ぐなどして予定通りの機能を発揮せず、2008年には施設の稼働を停止しました。
 この施設の建設には国の補助金が充てられていましたが、いちき串木野市会計検査院から「不当な補助金の支出」と指摘され、総額2億4000万円の返還を求められました。
 裁判では原告のいちき串木野市が、施設が機能しなかったのは設計を担当した神奈川県の「エコミート・ソリューションズ」などに責任があるとしておよそ10億円の損害賠償を求めていました。
判決で鹿児島地裁の吉村真幸裁判長は、「施設が完全な実用段階にないことはいちき串木野市サイドも認識していてトラブルが伴うことは当然に予想された」という「エコミート・ソリューションズ」の主張を認め、いちき串木野市の請求を棄却しました。
 判決について「エコミート・ソリューションズ」側は「妥当な判決内容」としている一方、原告のいちき串木野市・田畑誠一市長は「主張が認められず誠に遺憾。今後については、弁護士と相談して決めたい」とコメントしています。