地図で読む戦争の時代 他
最近,「本」カテゴリー以外の新規エントリーが書けていません。以前のエントリーへの追記はわずかに行っていますが。
何だか余裕がないのかな。
地図で読む戦争の時代
定価:¥ 1,890 出版日:2011-03-26 出版社:白水社 作者:今尾 恵介 | |
by amazon通販最速検索 at 2011/06/05 |
贅沢を言えば,掲載された地図が色刷りであったらと。地図と同じグレードで色刷りというのは困難でしょうが。
あとがきの文章も好きなので。
自戒を込めて強調しておきたいことは,「戦争の時代」というものは,たぶんにイデオロギー的な風味を伴った「記号」としてではなく,もっと大縮尺の地図のような見方に立って捉えなければ本質が見えないということである。
どういうことかといえば,たとえば「東京大空襲で10万人以上が犠牲になった」などという目も鼻もないデータとしての記述ではなく,「いつも買い物をしていた本所区亀沢町の乾物屋さん一家が一人残らず亡くなった」という視点である。・・・
思えば,戦争の近代化は人間の視界を大縮尺から小縮尺へ変化させた。たとえば昔の白兵戦なら戦う相手ひとりひとりを見なければならなかったが,市街地に焼夷弾を落とそうとする爆撃機のパイロットの目には,無数の瓦屋根が連なるグレーの模様にしか見えない。・・・
・・・小縮尺の視界の中にあって大縮尺を思う想像力は,情報の氾濫する今日でも意外なまでに育っていないように思える。たとえば尖閣諸島や北方領土,それに竹島など,隣国との間で未解決な問題があるが,こと領土となると「満蒙は生命線である!」と叫んでいた時代と同様に論調はにわかにヒステリックになってしまう。ほとんど誰も見たことのない場所で行われていることを,たとえばマスコミという縮尺の必ずしも正しくない,あるいは意図的なデフォルメが行なわれた「地図」をもとに判断することの危うさ。
ある種の人たちが「縮尺の歪められた地図」を利用して人々を扇動し,しばしば多いなる愚行を犯すことは歴史が証明している。誰もが「本当の地図の見方」を知り,しかも複数の地図から状況を落ち着いて判断し,行動する世の中。そんな時代ははたして到来するだろうか。
例えば科学リテラシーとして,科学的なものの見方を身につけ,自ら,様々な課題を主体的に判断し,行動する力を養うことの重要性が科学教育の世界で語られています。
あとがきに書かれていることは,そういう意味でいえば,まさに「地図リテラシー」。ぐぐってみると,「map literacy」という言葉は定着している様子。
「科学」が,自然を認識する体系であり手法であるとするならば,「地図」は人類がすむ空間を認識するツール。その体系なりツールを使いこなす意味でのリテラシー,すなわち地図リテラシーというものが存在するだろうと感じました。
樹上のゆりかご
定価:¥ 1,575 レビュー平均:4.4点 (34人がレビュー投稿)
出版日:2002-05 出版社:理論社 作者:荻原 規子 | ||||
by amazon通販最速検索 at 2011/06/05 |
上野千鶴子のミソジニーを読んだ後であって,女性と男性が,女子生徒と男子生徒が対等,もしくは交換可能な記号ではないことを再認識しているところで,本書のテーマの一つも強く考えさせられました。
その他まあ,おすすめの本
定価:¥ 1,260 レビュー平均:4.2点 (6人がレビュー投稿)
出版日:2007-12-06 出版社:マガジンハウス 作者:絲山 秋子 | ||||
by amazon通販最速検索 at 2011/06/05 |
定価:¥ 1,400
出版日:2010-11 出版社:文藝春秋 作者:宮下 奈都 | ||||
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定価:¥ 1,470 レビュー平均:4.6点 (9人がレビュー投稿)
出版日:2008-09 出版社:新潮社 作者:仁木 英之 | ||||
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部落解放へのあゆみ 出版社:ホリゾン企画 三重部落解放研究会 | |