人体の不思議展が7月から静岡と松江で興行予定とか 追記:名古屋と熊本,下関でも興行
人体の不思議展については,その標本の出所と取扱い方について様々な人々から疑義が表明されるとともに,違法の疑いが指摘されているところです。
この日記でも「違法状態の人体の不思議展サイト」(2006年10月7日),「人体の不思議展が沖縄県立博物館・美術館の会場を借りて行われる」(2009年1月23日),「沖縄での「人体の不思議展」興行について」(2009年2月5日),「人体の不思議展沖縄展で那覇市・市教委が後援取消」(2009年2月12日)で,いくらか私見を交え紹介してきました。
さて,こんど,静岡市駿河区曲金のツインメッセ静岡で,子どもの夏休み期間をターゲットとして,7月11日から8月31日までという日程で開催されるとのこと。
どこの誰が制作しているのかわからない公式サイト?のwww.jintai.co.jpにはなぜかまだ何も出ていませんが,パンフレットは出回り,ツインメッセ静岡をはじめ,いくつかの情報サイトで宣伝がされています。ただ,いつもどおりのことながら,主催者がはっきりしません。
主催者情報は「人体の不思議展実行委員会」のみ。問い合わせ先は「人体の不思議展静岡事務局」。人体標本の法的管理者は誰なのか,興行収入は誰に入るのか不透明なまま開催されようとしています。
一方,松江市学園南のくにびきメッセにおいても,7月25日から9月27日という日程で開催されるとのこと。こちらは少し分かりやすく,主催者情報は「人体の不思議展実行委員会(山陰中央新報社、エム・ディー・ソフトハウス)」となっています。山陰中央新報社(本社:松江市,代表取締役社長:山根常正)は,鳥取県,広島県にも一部拡がっていますが,島根県域を中心とする新聞社ですね。
株式会社エム・ディー・ソフトハウス(事業所:東京都港区芝4-5-8 池藤ビル8F,代表取締役社長:北村勝美)は,こちらのサイトによると事業内容が
◆「人体の不思議展」の企画・運営(2002年から現在まで、全国各地29ヶ所で開催。延べ600万人を動員しています。)
◆他、医学用コンピュータソウトウェアの開発、医学用標本の企画、製造、販売ならびに輸出入
◆書籍、雑誌および電子出版物の企画、出版、販売ならびに輸出入
◆「人体の不思議展」 URL→http://www.jintai.co.jp/
となっています。
「人体の不思議展」の主催者は不明ですが,これを見ると株式会社エム・ディー・ソフトハウスという法人が企画・運営の主体のように思えます。すなわち人体標本の法的管理者は,(株)エム・ディー・ソフトハウスであり,その代表権を持つ北村勝美氏と考えてよさそうに思えます。
なお,この北村勝美氏は,(株)メディ・イシュ(事業所:東京都港区 3-4-11 芝シティビル4階)の代表取締役社長だった(である?)北村勝美氏と同一人物のようです。また,週刊金曜日の記事によると,この北村勝美氏は株式会社日本アナトミー研究所の代表者であり(であった?),また株式会社インプットビジョンの代表取締役社長でもあるようです。
さらに株式会社ストレージ・ビジョンの代表取締役会長。ストレージ・ビジョンは,株式会社アドテックスから一部の事業を継承することを目的として(株)インプットビジョンが2007年1月に設立した会社ということですね。
なお,(株)アドテックスというのは,けっこうニュースになったこともある会社です。横道にそれますが,(株)アドテックスについて整理してみると次のとおり。
- 1993年7月14日 日本IBM株式会社からハードディスク開発部門の関係者を中心にスピンオフして成立。創業者は長谷川房彦。本社は日本IBM藤沢事業所内。
- 2000年4月 本社を横浜ビジネスパーク(横浜市保土ヶ谷区)に移転。
- 2001年12月20日 ナスダック・ジャパン(現大証ヘラクレス市場)に株式上場
- 2004年4月 本社をJR品川イーストビル(東京都港区)に移転。
- 2005年3月4日 2004年12月期の決算報告で初の赤字決算を発表。
- 2005年3月30日 黒瀬克也が社長に就任。長谷川は会長に退く。監査法人をユニバーサル監査法人に変更。飯塚正博(株式会社ジー・エム・ツー代表取締役)が監査役に就任。※株式会社ジー・エム・ツーの未公開株が2005年から2006年にかけて1株45万円前後で売られていて,詐欺だと憤っている人もいる。
- 2005年7月4日 平成電電株式会社との協業を発表。
- 2005年7月25日 ライブドア証券に対しMSCB(無担保転換社債型新株予約権付社債)を発行。
- 2005年9月21日 株式会社リズデールに対する第三者割り当てによる新株発行を公表。
- 2005年11月24日 創業者の長谷川が代表取締役会長を辞任。
- 2005年12月28日 大阪証券取引所により監理ポストに割り当てられる。
- 2006年3月10日 前田大作(株式会社日本スポーツ出版社代表取締役,株式会社ゆびとま取締役,株式会社NSS取締役)が代表取締役社長に就任
- 2006年3月17日 下村好男(指定暴力団山口組弘道会系暴力団の元組長)が副社長に,菊地大輔が財務経理部長に就任。
- 2006年4月13日 同社は東京地裁に民事再生法の適用申請。申立代理人は弁護士の田邊勝己,福本修也,稲見友之ら。
- 2006年5月14日 上場廃止。
- 2006年9月 同社の下村好男現経営陣らは,代理人(弁護士の田邊勝己,福本修也,稲見友之ら)を通して長谷川元会長ら前経営陣に関して特別背任容疑で告訴状を提出。
- 2006年10月6日 東京地裁は再生手続廃止決定を下し,保全管理命令を発令。民事再生は中止され,破産手続に移行。
- 2007年1月10日 東京地裁から破産宣告を受ける。SCSI-IDE商品事業等を株式会社インプットビジョン(子会社のストレージ・ビジョン,1月9日設立)が継承。
- 2007年2月16日 元副社長の下村好男と元財務経理部長の菊地大輔が民事再生法違反(詐欺再生)の疑いで警視庁に逮捕される。
- 2007年2月19日 元社長の前田大作が民事再生法違反(詐欺再生)の疑いで警視庁に逮捕される。
- 2007年10月25日 下村好男に懲役2年4月の実刑判決。
北村勝美とアドテックスの経営陣は直接,または間接的に繋がったということなんでしょうけれども。
7月25日追記
本日から松江での興行が始まっています。
7月24日の山陰中央新報に,24日に関係者内覧会があったむねの記事が出ています。
人体の不思議展 25日松江で開幕
人体の実物標本を展示する「人体の不思議展=からだ 未知なる小宇宙」(山陰中央新報社など主催)が25日、松江市学園南1丁目のくにびきメッセで開幕する。24日は関係者を対象にした内覧会があり、来場者が最新の技術で作製した160点の人体標本を鑑賞しながら、命の尊さや生命の神秘に触れた。
同展は、2002年からこれまでに全国28カ所で開催。本物の人体に触れられる内容が反響を呼び、来場者は延べ600万人に上る。山陰では初の開催。
標本は、いずれも献体された人体を「プラストミック」と呼ばれる半永久的に保存可能な技術で処理した。全身標本も16体展示しており、神経と血管がどんな形で体内に張り巡らされているかなどが分かる。全身標本に触れたり、人間の脳の重さを体感できるほか、骨密度・脳年齢測定コーナー(有料)などもある。
この日は午後から関係者が、標本1つ1つを鑑賞した。監修した後藤昇・元昭和大教授(解剖学)は「今後の医療は、医師の医療方針に患者自身が参画することが求められている。そのためにも今回の展示を通じて、人体の構造に関心を持ってほしい」と呼び掛けた。
25日〜9月27日まで。会期中無休。入場料は一般当日1500円、中高生同700円、小学生同400円。問い合わせは同展事務局、電話0852(60)0355。
記事によると,これまでに「28か所」で開かれてきたとのこと。確かに,2009年1月23日のエントリー「人体の不思議展が沖縄県立博物館・美術館の会場を借りて行われる」で列挙していますように,2002年に読売テレビ等が主催した大阪・新梅田シティミュージアムを借りての開催から,琉球新報社や沖縄テレビ放送等が主催した沖縄県立博物館・美術館を借りての開催までで28回ですね。場所として見ると,東京国際フォーラムを会場として2回,札幌メディアパーク・スピカを会場として2回開かれていますので,「26か所」の方が正しそうですが。捕捉できなかった興行もあるかもしれませんが。
同エントリーでも書いたように,2005年からは2系統で興行を進めているようですので,新たな資料が追加されたのか,それとも2分割したのか,よくわからないところもありますが。
主催者として,山陰中央新報社が入っていることが記事では明確に記述されています。
初めての情報が,元昭和大学教授の後藤昇氏が監修したということ。後藤昇氏は2005年には人体の不思議展郡山実行委員会名誉会長であり,学校法人こおりやま東都学園郡山健康科学専門学校名誉校長(2005年4月就任)である方ですね。どうもその前から人体の不思議展監修委員になられていたようですが。
なお,2003年時点での監修委員会の構成は次のとおりだったようです。
- 森 亘 日本医学会会長・東京大学名誉教授・学士院会員
- 織田敏次 東京大学名誉教授・日赤医療センター名誉院長、学士院会員
- 委員 井村裕夫 総合科学技術会議議員・京都大学名誉教授・学士院会員
- 高久史麿 自治医科大学学長・東京大学名誉教授
- 矢崎義雄 国立国際医療センター総長・東京大学名誉教授
- 増田寛次郎 日赤医療センター院長
- 佐藤達夫 東京医科歯科大学名誉教授
- 江藤一洋 東京医科歯科大学副学長・歯学部長
- 養老孟司 東京大学名誉教授
- 開原成允 (財)医療情報システム開発センター理事長、東京大学名誉教授
- 仲村英一 (財)結核予防会理事長・元厚生省健康政策局長
- 草原克豪 拓殖大学副学長・元文部省生涯教育局長
- 片山 仁 元順天堂大学学長
- 廣澤一成 東京大学名誉教授
- 山鳥 崇 神戸大学名誉教授
- 後藤 昇 昭和大学教授
- 隈崎達夫 日本医科大学教授
- 南 裕子 日本看護協会会長
また,川崎で開催されていた際に,後藤氏に直接質問したやりとりがhttp://www.geocities.co.jp/Technopolis/9073/zinkotuhp/newspic/news133.htm に掲載されています。
2008年10月30日(木)、人体の不思議展 川崎展を見学した。1995年の「人体の世界」のプラスティネーションに比べ標本は粗悪。一般の方が真剣に勉強するには不適切。以下当日担当の昭和大学の後藤昇先生(2003年東京展の監修委員)からお聞きした。
Q.胎児の標本について
A.中国人は遺体に対する執着はなく、第三者がほしいと言えば「どうぞ」という感じ
Q.もし、遺族から遺体の返還を要求された時は?
A.この標本は南京と大連で作られ、日本は購入している。仮に遺族が返還といっても買い戻すことになるが…監修委員の役割はあくまで啓蒙なので、金銭的なことはよくわからない
Q.展示会が終了した時、この標本はどうなるのか?
A.永久標本なので医学部などに常設展示し、医学生等を対象に見学できるようにする。
10月15日追記
人体の不思議展が,11月10日から,名古屋駅側に新しくオープンした施設の愛知県産業労働センターを借りて,興行予定らしい。
10月21日追記
名古屋で11月14日から開催される人体の不思議展ですが,今回の興行に於いても,これらの人体標本の展示の主催者は「人体の不思議展実行委員会」以上の情報はありません。法人格も持っていないわけですし,無責任体制の興行がまた始まります。ただ,問い合わせ先の電話番号の一番違い(03-5444-2011)の番号は,上にも記した(株)エム・ディー・ソフトハウス(港区芝4-5-8 池藤ビル8F,代表取締役社長:北村 勝美)の番号です。そのため,北村勝美氏が責任者なんじゃないかとは推測しているところです。明示されたものはありませんが。
なお,今回の名古屋興行,開始日については,かなり紆余曲折があったのか,10月31日から始まるだの,11月10日から始まるだの,いくつかの情報が流れていたようです。
関係各位
「人体の不思議展」に関して(声明)2009年10月5日愛知県民主医療機関連合会会長 矢崎 正一時下、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、「人体の不思議展」が2009年10月31日より2010年1月11日まで、愛知県産業労働センター8階にて開催予定であるということを知り、大変驚いています。
この間、全国各地で行われたこの展示会では、模型ではなく本物の人体を樹脂加工した標本が展示されています。その中には人体をプレート状に水平にスライスしたもの、わざわざ弓を持たせポーズをとらせているもの、さらには人体標本に触るコーナーまでありました。
こうしたことは倫理上決して許されることではなく、「人体の不思議展」の開催中止を求めるとともに、十分な説明のないまま協力させられることのないように各方面の関係者の方々に呼びかけるものです。
以下に「人体の不思議展」関しての問題点を整理します。
第一に、「献体は生前の意志にもとづくもの」と紹介されていますが、上記のような扱いを受けることまで納得しているとは到底思えません。
第二に、仮に同意が得られていたとしてもすべての人は死後も人間としての尊厳が守られなければなりません。興味本位、儲けの手段として死体を展示することは許されることではありません。
第三に、法的な問題をさけるためか標本は全て中国人の遺体です。「中国の倫理観では許されている」というのは理由になりません。むしろ人種間差別としてより責任が重いと言わざるを得ません。
以上のように大変問題の多い展示会です。ドイツでは各地で展示禁止が決定されており、わが国でも日本赤十字社、日本医学会、日本医師会、日本看護協会、日本歯科医師会などが後援を取りやめています。
この展示会は倫理的に大きな問題があるだけでなく、知らぬ間に広く県民、市民そして多くの子どもたちが人権侵害に協力させられるということです。
開催にあたっては、各県での開催実行委員会が組織されることになると思いますが、実行委員会への参加、後援、協賛等を行わないようお願い申し上げます。以上
11月3日追記
非理法権天さんが人体の不思議展事務局に電話した様子をブログにアップされています。
電話で対応した人体の不思議展事務局担当者はエモリと名乗ったとのこと。静岡での興行の際に事務局にいた江森清文氏かもしれませんね。静岡放送のサイト(魚拓)に出ています。
なお,求人関係のウェブサイトを見ると,(株)エム・ディー・ソフトハウスにも,百貨店ギャラリー勤務から人体の不思議展のアルバイトを経て,(株)エム・ディー・ソフトハウスに勤務している江森清文さんという方がいらっしゃるようです。
11月4日追記
昨日追記した非理法権天さんのサイトには,「外国人参政権に反対する愛知県民の会」のことも紹介されています。外国人参政権への反対は,一つの政治的主張ですので,それはそれでよろしいのですが(個人的には賛同しませんが),一方,どうも在特会のことも出てくる。
これは,「在日特権を許さない市民の会」の略称らしいのですが,「在日特権」とは何ぞや。在日特権という意味不明の,または架空の概念をもとに繰り返されるヘイトスピーチは,人体の不思議展同様,人間の尊厳を犯すものではないか。
このエントリーは「人権」タグを付けていますので,非理法権天さんのブログにリンクを貼っているところですが,そこだけは一応,当方のスタンスとして記載しておきます。
11月18日追記
非理法権天さんが,名古屋で興行中の人体の不思議展に関し,事務局に質問に訪れています(11月16日の非理法権天さんのブログ)。
展示されている人体標本の出所や正当性,倫理性等について質問されていますが,事務局側の対応者は江森氏,山西氏のお二人だったとのこと。今夏の松江展で,2万人目の来場者に記念品を手渡したのが,事務局の山西美緒氏であることが,松江展の興行主催者の一人の山陰中央新報に紹介されていますので,おそらく同じ方なのでしょう。また,2007年の札幌展に関して,札幌のエフエム・ノースウェーブの「MORNING SCOPE」(5月14日)に,(株)マクローズ(総合運営:企画担当)の山西美緒さんという方が出演されていますが,おそらく同じ方なのでしょう。
(株)マクローズとか,(株)イノバンスとか,(株)エムディーソフトハウスとか,いろいろと名前が出てきて分からなくなります。まあ,エムディーソフトハウスの所在地は港区芝4-5-8 池藤ビル8階で,イノバンスの所在地は港区芝4-5-8 池藤ビル8階であることはぐぐると出てくるのですが。
12月27日追記
熊本県立美術館を会場として人体の不思議展の興行が熊本市で行われるとのこと。
期間は2010年1月23日から3月28日まで。主催は人体の不思議展実行委員会(熊本朝日放送/人体の不思議展事務局)とのこと。
アルバイトについては,株式会社 ワントゥワン(なぜか所在地が新潟県新潟市米山4丁目1-23 堅田ビル6F)が募集しているようです。
2010年1月7日追記
熊本県民主医療機関連合会が,2009年12月8日に,人体の不思議展の主催者である熊本朝日放送に,アポイントをとった上で申し入れ書を渡しにいったということです。渡しに行ったときの状況が「人体の不思議展に疑問を持つ会」のホームページで紹介(PDFファイル)されています。
KABの対応が不適切ではないかと指摘して、申し入れ書に基づき中止申し入れ。
「責任者はいない。(自分は)KAB社員ではなく、外部の企画会社の人間。」「人体展の受け入れ経過は分からない。」「人体展は直接観たことはない。」「申し入れ内容は伝える。」「今年の7月頃から準備している。実行委員会事務局は10人ほどいる。」「実行委員長等は教えられない。」「(自分の)名前もいえない。」
名刺ももらえなかった。
以上、前日からアポを取っているにもかかわらず、非常識な対応であったので、申し入れ文書は後日、KAB社長宛に郵送することにした。
展示の主催者としては,信じられない対応です。こんなことをやっていると,展示への信頼はもちろん,主催者への信頼もいよいよ失われることとなると分かってやっているのでしょうか。>熊本朝日放送様
2010年1月29日追記
人体の不思議展の図録っていうのも追ってみたところです。
http://www.jintai.co.jp/shopping.htmlに,現在の図録(新しく標本の作製法も掲載されたものらしい。2500円)と,CD-ROM(3000円)が,同じ写真の表紙で出ています。同時に「※ 旧バージョンになります」として異なる写真の表紙のCD-ROMが同じく3000円で出ています。
旧バージョンの写真とは,amazonにも掲載されている「図録・人体の不思議」と同じです。
図録・人体の不思議 | |
インサイト 2005-10 おすすめ平均 内容が濃い Amazonで詳しく見る by G-Tools |
実は,さらにその前のバージョンもあるようで,2004年には,加藤征執筆,メディシュ発行で「人体の不思議展/Mysteries of the human body」という本の書誌情報も残っています。同じく「監修:人体の不思議展監修委員会」という記載もあるようです。
また,2003年に,秋田恵一・鹿野俊一執筆,タクトマーケティング発行で「人体の不思議展/Mysteries of the human body」という本の書誌情報も残っています。その本には「主催:人体の不思議展実行委員会、日本アナトミー研究所/監修: 人体の不思議展監修委員会」という記載もあるようです。
遡って2002年には,タクトマーケティング発行の「新・人体の不思議展 : からだ=未知なる小宇宙」という本(「監修: 新・人体の不思議展監修委員会/協力: 南京大学ほか/標本作製: 南京蘇芸生物保存実験工場/写真提供: タクトマーケティング/執筆者: 宇於崎宏,別府文隆」という記載あり)と,日本アナトミー研究所発行の「新・人体の不思議展 : からだ=未知なる小宇宙」という本(「監修: 新・人体の不思議展監修委員会/委員長: 森亘, 織田敏次/後援: 日本赤十字社ほか/協力: 南京大学, 江蘇省教育委員会, 南京蘇芸生物保存実験工場/標本作製: 南京蘇芸生物保存実験工場/写真提供: (株)タクトマーケティング/執筆者: 宇於崎宏, 別府文隆」という記載あり)が出ています。
興行で売れ,何度か刷り直しまたは改訂する中で,情報の変遷が見られます。
さらには,2002年には香港でも興行が行われたようで,Med-issue発行で「Mysteries of the human body = 人体の不思議展/人體奧妙展」というタイトルの本(中には,「この展覧会は中国の大学との提携で開催することができた訳だが、その成果を日本国外では中国の人々に先ず共有していただくという意味で香港開催はとくに喜ばしい」という記載や,「近日來、由我們舉雿的『人體奧妙展』・・・」という記載あり)も出ているようです。
ちなみに,このはてなダイアリーで触れた,いわゆる新・人体の不思議展に対し,1996年から1999年ごろに開催されていた人体の不思議展の図録は,ワイプ発行で「からだ=未知なる小宇宙 : 人体の不思議展」というタイトルで出ていたようです。ちなみに,そちらの方の記載は「監修: 人体の不思議展監修委員会/協力: ハイデルベルク大学/標本作製: グンター・フォン・ハーゲンスほか/写真提供: ハイデルベルク大学付属プラスティネーション研究所/執筆者: アンジェリナ・ホエリー/翻訳者: 吉岡直紀ほか」となっているとのこと。
それにしても,現在行われている人体の不思議展興行で売られている「図録」の書誌情報は国会図書館でもどこでも出てきませんが,どうなんでしょうね。
2010年2月25日追記
2010年4月4日から約1か月,下関市の海峡メッセ下関の見本市会場で,人体の不思議展興行が行われるようです。主催は人体の不思議展実行委員会ということで,結局誰が責任者なのかはわかりません。
ただ,問い合わせ番号(092-711-5505)を見ると,今回は,後に西日本新聞社が隠れているようです。
2010年3月11日追記
石川県保険医協会理事会が,人体の不思議展金沢興行に関し,声明を発表しています。
「人体の不思議展」の開催中止を求める理事会声明
「人体の不思議展」はこれまで、地方の新聞社などマスコミ関係の主催により全国各地で開かれ、8月13日から金沢21世紀美術館での開催が予定されています。
「人体の不思議展」では、プラストミックと呼ばれる技術で防腐処理された人体が、全身の皮膚を剥がれた状態での様々な姿勢で(スポーツのポーズなど)、あるいは各臓器ばらばらに展示されるなどしています。
展示される人体標本は、国内法の適用を受けない中国人のものと言われており、仮に、日本国民が医学教育用に献体の意思を示したとしても、このような標本化と展示は「死体解剖保存法」「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」により実質的に不可能です。
しかも、展示された人体について「すべて生前からの意志に基づく献体によって提供された」と広告されていますが、「献体」された人体が特殊な防腐処理を施され、かつ、上記のような姿で展示されることについて、本当にインフォームド・コンセントされたのかどうかも不明確で、人権上、倫理上、大きな問題を有していると指摘されています。
この展示については、こうした観点から、これまでも多くの団体から疑問視する声が上がっており、各地で県や市、教育委員会、医師会、歯科医師会などが後援団体を降りるという状況も生まれています。日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会等は後援を取りやめています。
遺体であっても、人間としての尊厳が守られ、丁重な扱いを受けるのが当然です。人の遺体を防腐処理した上でコマーシャルベースに乗せるべく展示することなどは、非人間的、反人権的行為と言わざるを得ません。
当協会は、人権と医の倫理を尊重する医師・歯科医師の団体として、このように人権(人道)上、倫理上、多くの問題を有する「人体の不思議展」の中止を求めるものです。
2010年2月16日
石川県保険医協会理事会