シティグループのCFJ

だいぶん古い話だが,2003年6月12日の毎日新聞の記事にCFJ株式会社のことがとりあげられていた。

消費者金融>CFJ社員が顧客情報売り渡すなど不祥事(毎日新聞

 大手消費者金融会社「CFJ」(東京都品川区)の係長が顧客情報約800件を第三者に売り渡し、約25万円を報酬として受け取っていたことが分かった。長崎県佐世保市の支店では病気の担保提供者に成りすましたり、実印を偽造して不動産担保ローンを組んだりしていたことも判明し、同社はそれぞれ社員らを処分した。
 関係者によると、同社の信販センターの係長が、元社員に依頼されて、住所、名前、貸付額などが記載された顧客情報のパソコン画面をプリントアウトして渡したという。1件あたり300円で約800件を売り渡していたという。同社は今年4月、この係長を懲戒解雇し、上司らに対しても減給などの処分をした。
 佐世保市の支店では、不動産担保のローン契約を結ぶ際に、実印を偽造したり、客の元妻と共謀して担保提供者に成りすましたりしていたという。このケースでは社員や支店長らが諭旨退職処分などになっている。
 同社は今年1月、消費者金融の「ディックファイナンス」、「アイク」、「ユニマットライフ」の3社が合併して「CFJ」となった。同社は「社内規定と法に基づき、厳正な処置をとっている」とコメントしている。(毎日新聞

ユニマットライフについては,2005年5月6日のエントリーでも触れたことがあるが,ユニマットシティバンクグループに売却したもの。
さて,上記記事の内,佐世保の事件はCFJ株式会社に統合される前の2001年1月に起こったもので,「ディックファイナンス株式会社(当時の代表取締役田中彰)」が直接の当事者となる。ディック社員が偽の署名,偽の実印を用い,佐世保市司法書士木下義雄を代理人として不動産の根抵当の登記を行ったものである。融資申込者の近親に不動産所有者がいることを知っての詐欺行為と思われる。
なお,このことについて,CFJが,個人信用情報機関ジャパンデータバンクのデータベースを不当に利用し,顧客の不動産担保情報を営業に使用するとともに,他の貸金業者(クリバース)にそれらの情報とともに債権を売却していたとの報道も昨年冬なされているところである。

2008年5月11日追記 シティグループが非中核事業の縮小へ。

5月11日の毎日新聞の記事から

シティグループ:資産41兆円売却へ サブプライム損響く
【ワシントン斉藤信宏】米金融大手シティグループは9日、ニューヨーク市内で投資家向けの説明会を開き、今後2〜3年で非採算部門を中心に約4000億ドル(約41兆円)の資産を売却する方針を明らかにした。個人向け金融事業や投資銀行部門など中核業務を除く不採算部門が売却対象になる。
 シティによると、売却対象となる非中核部門の資産は総額5000億ドルで、このうち4000億ドル超を売却し、1000億ドル弱まで圧縮する。低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に絡み損失の膨らんでいる住宅ローン担保証券などの証券化商品のほか、採算の悪化していたリース事業、一部の消費者金融事業など、事業の一部が売却対象となる。日本やメキシコなどの事業も含まれるという。
 3月末時点のシティの総資産は約2兆2000億ドルで、売却する資産はその約2割。不動産担保融資や消費者金融の貸出残高を大幅に圧縮するほか、事業そのものからの撤退も視野に入れる。多角化路線を転換し、事業の絞り込みとスリム化で生き残りを図る。
 シティはサブプライム問題に絡み、欧米金融機関では最大規模の438億ドル(約4兆4700億円)の累積損失を計上。2四半期連続で最終赤字に転落し、株主から抜本改革を求められていた。
 シティグループは子会社を通じ日本で消費者金融「ディック」を展開しているが、昨年1月に大幅なリストラを表明した。今回の資産圧縮の対象となる可能性がある。

シティの現CEOは,昨年12月に就任したビクラム・パンディット氏。拡大路線からの転換という見方をしている米アナリストもいるとのこと。
ただ,パンディット氏の説明は,株価に反映せず,結局,当日のシティの株価は3%安で終わっている。大規模な資産売却がさらに業績を低迷させる可能性もあり,特に,サブプライム関係の不良不動産資産は売却により損失が表面化する可能性もあり,冷ややかに見守るアナリストや投資家が多いということらしい。
日本国内で悪名高い消費者金融CFJ(ディック,アイク,ユニマットライフなどを展開)についても,非中核事業であり,しかも今後業績の改善が見込まれないと言うことで,売却の方向だとのこと。ただ,CFJの債権の中に,違法性が高いものがある程度含まれていることも考えられ,債権を含めた売却は,まだ,先行き不明であろう。