大学の学芸員養成課程の充実

6月25日の共同通信ニュースから

学芸員養成、履修増加へ 博物館機能強化で文科省
博物館の機能を充実させるため、文部科学省は25日までに、学芸員資格の取得に必要な大学の養成課程の履修科目を増やすなど、教育内容の見直しを進める方針を固めた。2010年度からの新課程導入を目指す。
 11日に成立した改正博物館法は展示を柱とした従来の役割に加え、住民による研究発表の支援や、教育機会を提供する機能の強化を明記。文科省は「対応するには、学芸員の質を高めることが必要」としている。
 学芸員の資格を得るには原則、全国約320校の大学や短大が設置している養成課程で、文科省が規定する「博物館情報論」や「博物館資料論」など8科目12単位以上の履修が必要だ。
 しかし、履修内容に対し「多様化する実際の業務に役立っていない」との問題点も指摘されている。文科省は今後、収集した資料と調査研究の成果を活用する経営能力や、地域や学校と連携を深めるコミュニケーション能力の育成が重要と分析。

いや,確かに教員,司書等に比べて,大学で,学芸員となる資格を取るのは簡単な状況にはあります。しかし,「多様化する実際の業務に役立っていない」というのはどうでしょうか。
学芸員学芸員たる一つの所以は,価値創造の主体でありコーディネイターでありえること。そのためには,まずは,歴史なり生物なりの分野の専門的探求(研究)能力があってこそだと思うのですが。
変に,「博物館○○論」みたいなものを増やしてしまうと,逆に,大学院レベルで歴史,生物を研究し,地域でそれを生かそうとしている学生を排除する結果となるのではという危惧も感じてしまいます。結果として「学芸員の質」を下げてしまうのではと危惧してしまいます。
まあ,脊髄反射的な危惧に過ぎないかとは思いますけれども。。。

# 結局,いまの「学芸員となる資格」と,現場の解離が,問題となって現れているんでしょう(学士=大学卒では,一人前の研究能力があると認められない状況がもともとにはあります)。かといって,学芸員という資格を廃止することや,学芸員資格のレベル分けを行うのもどうかと思う自分もありますし,難しいところですね。