近代化遺産

経済産業省の主催で,10月31日 産業遺産ネットワークシンポジウムが開催されたとのこと。英国からも国際産業遺産保存委員会事務局長 スチュアート・スミス氏らが参加。
近代化遺産という言葉が国内で人の言の葉にのぼり始めたのはもう15年以上前のことであるが,なかなか進まないところである。
富岡製糸場(群馬)や尚古集成館及び反射炉(鹿児島)等,江戸末期から明治初期のもので,現在も残る中規模のものはまだ良かったのかも知れないが,それ以降の「遺跡」や大規模のもの,小規模のものは,保存が困難。
自分としては,鉱山,炭鉱関係の史跡については,いくらか見て回ったこともあるが,実質放置状態であったり,個人の努力に任せられたりで,「保存」されているとは言い難いものも多い。いわき市の「みろく沢炭鉱資料館」などは,いわき市の採炭発祥の地であるが,保存が殆ど行われておらず,わずかに個人の努力でいくらかの機械類や生活用具,写真が保存されている。その個人の努力は偉大なものではあるが。
公害の爪痕を今も色濃く残す足尾の銅山関係の工場や住居跡,長崎県軍艦島など,今きちんと保存しなければ,さらに風化が進む。
とはいえ,保存には費用がかかるもの。そのために税金を投入することについては様々な意見がある。
何をどれだけ保存するのか,どこが責任を持つのか,課題は山積みですね。
文化庁,若しくは国立科学博物館あたりが,責任を持ってくれるのが望ましいんでしょうけれども。

日本博物館協会主催の講演会

上野の東京国立博物館日本博物館協会主催によりイギリス博物館協会理事長マーク・テイラー氏の講演会が開催。
長崎での全国博物館大会でも話を聞いたが,また違う話もあるとのことで,慌てて聞きに行く。話の全体のトーンは同じだが,イギリスでのaccreditationのことなど,新たな話も。
それにしても,イギリス版市場化テストCCT(Compulsory Competitive Tendering)のことをテイラー氏に聞いたところ,「規模の大きな博物館の活動全体を担うことができるものが一体どこにいるんだ?」と。長崎はすでにそうしているが,と聞くと「デザイン会社が担っているんだよな」と言いながら,どことなく「一体全体どういうわけでそんなことになっているのか」というニュアンスが。
長崎の指定管理者のことは,氏のブログにも少し掲載されています。http://thedirectorsblog.blogspot.com/2006/11/blazing-trails-in-nagasaki.html