新潟で博物館友の会サミットが開催される

6月2日の産経新聞新潟版の記事から

博物館や美術館のサポーターが“初サミット”
入館者のリピーター確保など博物館や美術館の運営難が叫ばれて久しい。3年前に新潟県内の8つの施設のサポーターでつくられた「博物館等友の会連絡会」が初めて、一堂に会する「友の会サミット」を開いた。「仲間が集まれば何かが起きる」と題したサミットでは、会員を増やす秘訣(ひけつ)や会員独自の「マイコレクション展」の紹介に加え、財政支援の乏しい行政への不満まで飛び出した。サミットは今後も持ち回りで開く。サポーターたちの連携と知恵で、文化施設の魅力がどう高まるか楽しみだ。(原圭介)
阿賀野市保田の「市立吉田東伍記念博物館」で5月23日に開かれたサミットには同館のほか、信濃川大河津資料館(燕市)▽石油の世界館(新潟市秋葉区)▽十日町市博物館(十日町市)▽トミオカホワイト美術館(南魚沼市)▽なじょもん(津南町)▽県立美術館(長岡市の県立近代美術館、新潟市の県立万代島美術館)▽県立歴史博物館(長岡市)−の各友の会から計約70人が参加した。
 サミットでは、石油の世界館と信濃川大河津資料館の友の会が日頃の活動状況を報告。市立吉田東伍記念博物館の渡辺史生館長が「吉田東伍の郷土観と友の会」の題で講演し、友の会関係者3人がパネリストとなったパネルディスカッション、サミット宣言採択で締めくくった。
 活動報告やパネルディスカッションで出てきた友の会の課題は、やはり会員の伸び悩みが最大。会員976人の大所帯を抱える十日町博物館友の会が、会報を地域の幹事が手渡しで配っている“顔の見える活動”で会員を増やしてきた事例が報告された。
 さらに県立歴史博物館の友の会は平成16年から、企画展の合間を縫って、会員や一般人の自慢の収集品をお披露目する「マイ・コレクション展」を開いている活動を発表。「展示している人は、家族や知人を連れてきてくれる」(星野紀子副会長)と会員増加に一役買っている効果を挙げた。
 一方で、「会員を増やすことも大事だが、入場者を増やすことがもっと大事」との意見も相次いだ。石油の世界館友の会の中島哲宏事務局長は「館の魅力を高めるために、展示の更新や企画展示の充実を進めなければならない。そのための財政支援が必要で、行政はもっとしっかりやってほしい」と苦言を呈した。
 宣言には、情報交換して互いのいいところを学び、生活を豊かにすることなどが盛り込まれた。
 吉田東伍記念博物館の渡辺館長は「友の会から自発的にサミットの話があったことは頼もしい」。パネルディスカッションでコーディネーターを務めた同館友の会事務局の田中洋史さん(37)も「今回、会員が顔を合わせたことが大きい。これからいろいろアイデアが出てくると思う」と期待を寄せた。
 次のサミットは長岡市内で予定。県立歴史博物館・交流普及課の山本哲也専門研究員は「今後は施設関係者も出席してもらい、会員たちと意見交換する場を設けたい」と話した。魅力ある文化施設の構築に向けて、双方向の取り組みが始まろうとしている。

マイコレクション展的な活動は,美術館では絵画サークルの発表の機会として以前から行われてきています。
美術系でない博物館でも,岐阜県博物館ではかなり以前から行われてきていたようです。
学芸員が受け入れ資料,展示資料に責任を持つのが博物館の基本ですが,会場または会期を区切った形でこのような企画が行われるのも,住民と博物館の距離を短くする可能性を持っていると思います。
ただ,産経新聞の見出しにあるように「サポーター」としてしまうと,行政サイドはしばしば,労力だけでなく資金面もサポーターに期待をし,公立博物館への支出を絞る言い訳にしてしまいがち。
友の会は,もちろん単なる受益者ではありません。支援者,協働者でもあります。 だからこそ,博物館も,行政も, さらなる努力が求められていることは忘れてはいけないでしょう。