高知県の四万十川学遊館の苦悩

12月12日の朝日新聞高知版の記事から

四万十川学遊館 開館時間を短縮
四万十市具同の四万十川学遊館(愛称・あきついお)が、経費節減のため開館時間を16日から3カ月間、2時間半短縮する。同館とトンボ自然公園、駐車場のある一帯は「トンボ王国」とも呼ばれ、社団法人トンボと自然を考える会(酒井泰一会長)が06年度から市の指定管理者制度による指定を受けて独立採算制で管理運営しているが、年間200万〜300万円の運営費が不足しており、今後の運営をどうするか関係者は頭を抱えている。(菊池均)
同考える会は自然保護を目的に1985年に設立され、全国に約1千人の会員がいる。同館は入館料と売店の収益で運営していて、不足分は会費や寄付金、環境調査の委託金で埋めてきた。一方、市は公衆便所や公園整備などに公的部分委託費として年間約1050万円を支出している。
 入館者はオープンした02年度には年間約4万人を数えたものの減少傾向で、06年度は約2万3千人、07年度は約2万人、今年度は1万8千人に減る見込みで、運営費不足は、諸経費の値上がりもあって500万〜600万円にふくらむと予測されている。
 同館ではこれまでにも経費節減のため、当初7人だった正職員を3人に減らし、3人をアルバイト(1人は半日勤務)にして人件費を圧縮。光熱費の節減にも努めてきた。さらに、16日から3月14日まで、開館時間を午前10時半〜午後4時(現在午前9時〜午後5時)と短縮することにした。この開館時間の変更で、人件費を月10万円、光熱費も同額を減らせると見込んでいる。
 同館の仕事は施設管理や展示用のトンボの標本づくりなどのほか、5・7ヘクタールの公園の除草や約80カ所のトンボ池に生い茂るスイレンなどの刈り取り、四万十川を中心に約300種もいる魚類の世話や餌の確保などがあって省力出来ず、職員1人当たりの仕事量は増えるばかりだ。
 経費節減にも限度があり、トンボ保護のために全国から寄せられた土地購入のための基金「一口オーナー」からの借り入れも検討しているが、返済できるかめどが立たず難しい。このままでは、入館者の減少する冬季の休館など運営形態の変更を強いられると関係者らは懸念している。

合併前は,中村市中村市四万十川学遊館と呼ばれていたところです。所管は教育委員会ではなく,商工観光課。2005年9月議会で条例が改正,12月議会で指定管理者の指定について議決を受け,2006年4月1日から2009年3月31日までの期間で,社団法人トンボと自然を考える会が指定管理者となっています。開館時間等については,「四万十川学遊館の設置及び管理に関する条例施行規則」において

(開館時間)
 第4条 学遊館の開館時間は、次のとおりとする。ただし、指定管理者が特に必要と認めたときは、開館時間を変更することができる。
 (1) 夏季(7月15日から9月15日まで) 午前9時から午後6時まで
 (2) その他の期間 午前9時から午後5時まで
 2 指定管理者が開館時間を変更する場合は、あらかじめ市長と協議し、承認を得なければならない。
(休館日)
 第5条 学遊館の休館日は、次の各号に掲げるとおりとする。ただし、指定管理者が特に必要と認めたときは、これを変更し、又は臨時に休館日を定めることができる。
 (1) 月曜日(月曜日が国民の祝日に当たる場合は、その翌日)
 (2) 12月31日から翌年1月1日まで
 2 指定管理者が休館日を変更し、又は臨時に休館日を定める場合は、あらかじめ市長と協議し、承認を得なければならない。

となっていますので,市と協議のうえ,変更は可能ですね。
それにしても,指定管理料があるのかどうかも,なかなか見えてこないところです。平成18年度予算案の説明(2006年3月6日の市議会)でも,出てこないですし。

追記

2004年3月5日の中村市議会で

四万十川学遊館とトンボ自然公園の管理運営については、来年度からは従来の必要経費を市が負担する委託方式から、管理受託者の自主性がより発揮しやすい利用料金制を基本とする方式に移行することとしました。
・・・
(商工費1項)5目四万十川学遊館運営費でございますが、16年度から委託方式を利用料金制へ移行することに伴いまして、運営委託費は大幅に減額となっております。また、引き続きトンボ自然公園の用地購入に2,466万2,000円をお願いしております。

という方針・予算案が出ていますね。
また,産業建設常任委員長報告として

次に、四万十川学遊館・トンボ自然公園の管理について報告を受けました。トンボ公園の管理については、トンボと自然を考える会に委託をしているが、平成16年度より利用料金制を基本とする管理運営方式に移行するとのことでした。平成15年度の決算見込みの予想としては、総収入が約2,900万円で、トンボ公園全体の管理委託に関わる費用が約4,100万円の見込みであり、差し引き1,200万円くらいの赤字が見込まれるが、平成16年度の赤字については市が負担することでトンボと自然を考える会との話し合いが進んでおり、利用料金方式の管理運営に移行するとのことでした。

となっています。このように,指定管理者制度導入に2年先立つ2004年度から,管理受託者による利用料金方式の管理運営となっているようですね。