千葉の「無医地区」に新たに診療所開設

とりあえずメモだけです。
12月5日の朝日新聞千葉版の記事から

女医、無医地区に開業
南房総市千倉町大川のお花畑に囲まれた病院跡地に真新しい診療所が誕生した。開業するのは、勤務医から転身した田中かつらさん(49)。高齢化が進み、無医状態に置かれた同地区で「嫁に来たつもりで、この土地にとけ込みたい」と話す。(福島五夫)
開設した「七浦診療所」は旧七浦村(現在の千倉町白間津、大川、千田、平磯)のほぼ中心に位置する。7日の内覧会を経て、10日から診察を始める。内科と老年内科、神経内科の看板を掲げるが、近所に医療施設がないので「何でも診る」という。
 1952(昭和27)年、この診療所とほぼ同じ場所に国保七浦病院が開院し、一時は医師が3人が勤務し、病床35床を有していた。同病院が閉鎖された後、今道医院(今道隆院長)が開設され、37年間続いたが、3年前、今道院長が亡くなって閉鎖された。
 その後、同地区は医師不在の状態が続いていた。
 田中さんは、東京都八王子市の病院で医長をしていた3年前、パーカッション奏者で作曲家の夫倫明さん(48)とともに、大好きな海の見える自然環境にひかれて同町平磯にセカンドハウスを建て、週末を過ごすようになった。
 倫明さんが地元の小学校で演奏を披露したり、地区の神社に奉納する「三番叟」の保存会に加わったりしているうちに、地元にとけ込んだ。田中さんは「優しくて親切な人たちに囲まれた暮らしがとても居心地が良くて、定住したくなった」。
 当初は近隣の病院で勤務することを考えたが、地元の人たちから「近くに気軽にかかれる医者が居なくて困っている」と、診療所の開業を熱心に勧められた。地域医療に貢献した今道院長の一人娘、馬場美土さんとの出会いが開業の決意を固めさせた。
 新しい診療所では、「診察の必要がなくても、地域の人たちが気軽に立ち寄ってもらえるように」と、待合室を工夫した。ソファのほか、訪れた人が横になれるように畳敷きの小上がりを設けた。
 老年精神(認知症)疾患が専門なので、高齢化が進む同地区で高齢者をどう支えていくか、地元の人たちと一緒に考えていきたいという。住み慣れた土地で家族や友人などに囲まれて暮らすことが一番の認知症の予防になる。都会では、認知症の人が徘徊しても誰も気にも留めないが、同地区なら住民みんなで見守るので安全だ、という。
 田中さんは「この辺りでは嫁のことを、『ねえさん』と呼ぶんです。そう呼ばれるようになりたい」と笑った。