博物館法及び博物館法施行規則等の動き

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)が本日,2008年12月1日から施行されます。あわせて,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)と一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第50号)(三つ合わせて,いわゆる公益法人制度改革3法ですね)が本日から本格施行されます。これ自体,私立博物館を運営する財団法人・社団法人,または公立博物館を運営する自治体出資財団には,極めて大きな出来事です。


ここでは,小ネタを。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の第267条は次のようになっています。

第二百六十七条 博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)の一部を次のように改正する。
 第二条第一項中「民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人」を「一般社団法人若しくは一般財団法人」に改める。
 第二条第二項中「民法第三十四条の法人」を「一般社団法人若しくは一般財団法人」に改める。
 第十一条第二項中「左に」を「次に」に改める。
 第十一条第二項中「添附しなければ」を「添付しなければ」に改める。
 第十一条第二項第一号中「写」を「写し」に改める。
 第十一条第二項第一号中「見積」を「見積り」に改める。
 第十一条第二項第二号中「若しくは寄附行為」を削る。
 第十一条第二項第二号中「写」を「写し」に改める。
 第十一条第二項第二号中「見積」を「見積り」に改める。

そして,附則に施行日が定めてあります。

1  この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。

この結果,本日から,博物館法の一部改正が施行されていますのでご注意を。まず,博物館法第2条については次のように改正されました。

第二条  この法律において「博物館」とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(育成を含む。以下同じ。)し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関(社会教育法 による公民館及び図書館法 (昭和二十五年法律第百十八号)による図書館を除く。)のうち、地方公共団体民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三十四条 の法人一般社団法人若しくは一般財団法人宗教法人又は政令で定めるその他の法人(独立行政法人独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人をいう。第二十九条において同じ。)を除く。)が設置するもので次章の規定による登録を受けたものをいう。
2  この法律において、「公立博物館」とは、地方公共団体の設置する博物館をいい、「私立博物館」とは、民法第三十四条 の法人一般社団法人若しくは一般財団法人宗教法人又は前項の政令で定める法人の設置する博物館をいう。
3  この法律において「博物館資料」とは、博物館が収集し、保管し、又は展示する資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。)をいう。

博物館法第11条については寄附行為の写し以外は細かな改正ですが次のようになっています。

第十一条  前条の規定による登録を受けようとする者は、設置しようとする博物館について、左に掲げる事項を記載した登録申請書を都道府県の教育委員会に提出しなければならない。
 一  設置者の名称及び私立博物館にあつては設置者の住所
 二  名称
 三  所在地
2  前項の登録申請書には、左に次に掲げる書類を添しなければならない。
 一  公立博物館にあつては、設置条例の写、館則の写、直接博物館の用に供する建物及び土地の面積を記載した書面及びその図面、当該年度における事業計画書及び予算の歳出の見積に関する書類、博物館資料の目録並びに館長及び学芸員の氏名を記載した書面
 二  私立博物館にあつては、当該法人の定款若しくは寄附行為の写又は当該宗教法人の規則の写、館則の写、直接博物館の用に供する建物及び土地の面積を記載した書面及びその図面、当該年度における事業計画書及び収支の見積に関する書類、博物館資料の目録並びに館長及び学芸員の氏名を記載した書面

まだ,e-govも直っていないようですので,博物館法を正確に引用する際にはご注意ください。


別件ですが,博物館法施行規則改正に係る情報がtakibataさんのミュージアムの小径「全国博物館大会(日博協)(1)にあがっています。
文部科学省の栗原さんの行政報告によると,博物館法施行規則第1条の博物館に関する科目の単位を増やす方向で省令改正を,今年度末を目標に行う(施行に際しては3年程度の準備期間を設ける)とのこと。
現行は次のようになっています。

科目 単位数
生涯学習概論
博物館概論
博物館経営論
博物館資料論
博物館情報論
博物館実習
視聴覚教育メディア論
教育学概論

改正の方向性はわかりませんが,takibataさんの推測も含めると次のような感じになるようです。

科目(仮定) 単位数(仮定)
生涯学習概論
博物館概論
博物館経営論
博物館資料論
博物館資料保存論
博物館展示論
博物館情報メディア論
博物館教育論
博物館実習

都合8科目12単位から9科目19単位へと。
大学の負担が結構大変なようにも思います。学生の負担もそれなりに増えます。もし,このことで,考古や歴史,生物の専攻を持つ学生が学芸員課程を選択しなくなってしまっては,逆効果ということもあり得ますが,それを心配するほどのものではないようにも思います。
とはいえ,博物館情報メディア論なんて2単位分も内容があるんだろうかとか,博物館資料論,博物館資料保存論,博物館展示論がどう切り分けられるのか,どれほど,多様なコレクションの特性に応じてなされるのかなど,不明な点もたくさんあります。文部科学省これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議(のWG)で検討中ということで,そのうち,各科目の想定している内容や留意点なども示されるのかもしれませんが。
#それにしても,「 学芸員の養成に関するワーキンググループ」と「学芸員資格認定の見直しに関するワーキンググループ」では大分メンバーが替わっていますね。

2009年1月14日追記

博物館法施行規則について,現行で「博物館教育メディア論」と誤記していたものを「視聴覚教育メディア論」と修正しました。
博物館法については,e-govもいつの時点か,直っていますね(ファイルの更新日は12月22日となっていますが)。
地方税法第三百四十八条第二項第九号に関するメモ。

第三百四十八条第二項
 学校法人又は私立学校法第六十四条第四項の法人(以下この号において「学校法人等」という。)がその設置する学校において直接保育又は教育の用に供する固定資産、学校法人等がその設置する寄宿舎で学校教育法第一条 の学校又は同法第百二十四条 の専修学校に係るものにおいて直接その用に供する固定資産、公益社団法人若しくは公益財団法人、宗教法人又は社会福祉法人がその設置する幼稚園において直接保育の用に供する固定資産及び公益社団法人若しくは公益財団法人、医療法第三十一条の公的医療機関の開設者又は政令で定める医療法人がその設置する看護師、准看護師、歯科衛生士その他政令で定める医療関係者の養成所において直接教育の用に供する固定資産並びに公益社団法人又は公益財団法人がその設置する図書館において直接その用に供する固定資産及び公益社団法人若しくは公益財団法人又は宗教法人がその設置する博物館法第二条第一項の博物館において直接その用に供する固定資産


附則
第四十一条第三項
整備法(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)第四十条第一項の規定により存続する一般社団法人であつて整備法第百六条第一項の登記をしていないもの(第十一項において「特定一般社団法人」という。)については公益社団法人とみなし、整備法第四十条第一項の規定により存続する一般財団法人であつて整備法第百六条第一項の登記をしていないもの(第十一項において「特定一般財団法人」という。)については公益財団法人とみなして、第七十三条の四第一項第三号及び第七号、第七十三条の二十七の八、第三百四十八条第二項第九号、第十二号及び第二十六号並びに第七項、附則第十一条第三十二項、附則第十五条第十三項並びに前条第一項の規定を適用する。


第四十一条第十一項
11  市町村は、平成二十一年度から平成二十五年度までの各年度分の固定資産税又は都市計画税に限り、移行一般社団法人等(整備法第四十条第一項の規定により存続する一般社団法人又は一般財団法人であつて整備法第百二十一条第一項において読み替えて準用する整備法第百六条第一項の登記(以下この項において「設立登記」という。)をしたものをいう。以下この項において同じ。)に係る次に掲げる固定資産(当該移行一般社団法人等に係る設立登記の日の前日において第三項の規定により特定一般社団法人又は特定一般財団法人公益社団法人又は公益財団法人とみなして適用する第三百四十八条第二項第九号、第十二号又は第二十六号の規定の適用があつたものに限る。)に対しては、第三百四十二条又は第七百二条第一項の規定にかかわらず、固定資産税又は都市計画税を課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合においては、当該固定資産の所有者に課することができる。
 移行一般社団法人等がその設置する博物館法第二条第一項の博物館において直接その用に供する固定資産


附則(平成二〇年四月三〇日法律第二一号)
第一条  この法律は、平成二十年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 第一条中地方税法第十一条の二の改正規定、同法第二十四条第五項の改正規定(「第二百六十条の二第一項の認可を受けた地縁による団体」を「第二百六十条の二第七項に規定する認可地縁団体、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律(平成六年法律第百六号)第七条の二第一項に規定する法人である政党等」に改める部分に限る。)、同法第二十五条第一項第二号の改正規定(「国民健康保険団体連合会」の下に「、全国健康保険協会」を加える部分を除く。)、同法第二十五条の二第二項、第七十二条の二第一項第一号ロ及び第七十二条の四第一項第二号の改正規定、同項第五号を削る改正規定、同法第七十二条の五第一項の改正規定(同項第二号の改正規定(「日本赤十字社」の下に「、医療法人(医療法第四十二条の二第一項に規定する社会医療法人に限る。)」を加える部分に限る。)並びに同項第五号及び第十二号の改正規定を除く。)、同法第七十三条の四第一項第三号及び第七号の改正規定、同法第七十三条の二十七の八の改正規定(同条第二項の改正規定(「当該民法第三十四条の法人」を「当該不動産取得税の納税義務者」に改める部分に限る。)を除く。)、同法第二百九十四条第七項の改正規定(「第二百六十条の二第一項の認可を受けた地縁による団体」を「第二百六十条の二第七項に規定する認可地縁団体、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律第七条の二第一項に規定する法人である政党等」に改める部分に限る。)、同法第二百九十六条第一項第二号の改正規定(「国民健康保険団体連合会」の下に「、全国健康保険協会」を加える部分を除く。)、同法第三百四十八条第二項第九号、第十二号及び第二十六号の改正規定、同条第四項の改正規定(「、国家公務員法(裁判所職員臨時措置法において準用する場合を含む。)による法人である国家公務員の団体、地方公務員法による法人である地方公務員の団体」を削る部分に限る。)、同条第七項の改正規定並びに同法第七百一条の三十四第二項の改正規定並びに同法附則第十一条に六項を加える改正規定(同条第三十四項に係る部分に限る。)、同法附則第十五条第十四項の改正規定(「民法第三十四条の財団法人」を「公益財団法人」に改める部分に限る。)、同条に八項を加える改正規定(同条第六十一項に係る部分に限る。)、同法附則第四十条第一項の改正規定及び同法附則に一条を加える改正規定並びに次条並びに附則第四条第三項、第五条第二項及び第三項、第六条第四項、第九条第三項、第十条第二項並びに第十六条第三項の規定 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)の施行の日(平成二十年十二月一日)
第十条  別段の定めがあるものを除き、新法の規定(新法第三百九十四条の規定を除く。)中固定資産税に関する部分は、平成二十年度以後の年度分の固定資産税について適用し、平成十九年度分までの固定資産税については、なお従前の例による。
 新法第三百四十八条第二項第九号、第十二号及び第二十六号並びに第七項並びに附則第十五条第十三項の規定は、平成二十一年度以後の年度分の固定資産税について適用し、旧民法第三十四条の法人に係る固定資産に対して課する平成二十年度分までの固定資産税については、なお従前の例による。