公務部門での偽装請負の疑い

この日記の2007年12月3日のエントリー「独立行政法人整理合理化&市場化テスト 偽装請負の疑いは?」で,市場化テスト偽装請負の関係についてわずかに触れたところではありました。
実際,キヤノンその他の企業のみならず,また,市場化テストに限らず,普通にある公務部門でも,偽装請負が広く行われている可能性があります。
以下,某市の日本共産党の市議団ニュースから(一部伏字)

公務労働で偽装請負になっていないか
市役所での非正規雇用は,全職員の46%を占め,年収200万円以下の低賃金で働かされています。
 いま,社会的にも格差社会の広がりの大本に雇用のあり方があるというのが共通の理解であり,「ワーキングプア」の解決は,国民多数のねがいとなっています。
 ところが○○市では,「行政改革大綱」にもとづき,外部委託の推進,適正な定員管理の名のもと,学校用務員の外部委託を進め,小学校9校,中学校では11校すべて外部委託となっています。
 この外部委託は,「仕様書」によれば,明らかに「請負」であると思われ,学校の現場では,請負業者の管理職が用務員に直接,指示を行わなければなりません。ところが用務員は一人ですから,管理職はいません。
 円滑な業務を行うためにいきおい,発注者が請負業者の労働者(用務員)に直接,指揮・命令をすることになるのです。委託契約以外の仕事をさせているという実態も聞いています。
 つまり,形式は請負でも,実質は労働者派遣ということになります。これが偽装請負というもので,届け出なしの労働者派遣として処罰される明白な違法行為となるものです。市は,偽装請負と認識しているのでしょうか。
 労働者派遣法では派遣受け入れ期間は原則1年(労働者の過半数に意見聴取した場合は3年)ですが,これを超える場合は,派遣先は直接雇用の義務を負うことになり,同じ労働者でなくとも,通算で1年を超えればこの義務が発生します。
 市は,「仕様書にもとづき適正に行っている」と答弁していますが,到底納得できるものではありません。
 いまこそ,公務の職場から「ワーキングプア」を生み出さないためにも,市は,法律を順守し,適切に対応すべきではないでしょうか。

「発注者」と「請負者」,そして「労働者」の関係は,個々の事例ごとに見ていく必要があるでしょう。でも,請負であれば,個々の労働者(用務員さん)に,発注者である学校の校長・教頭は,指揮・監督はできないことだけは明らかですが。
それにしても,学校の用務員さんまで「嘱託・非常勤」ならぬ,「派遣」ならぬ,「請負」であったとは,素朴に驚きました。結構,用務員さんって,子どもたちからも身近だったりもしたんですよね。今はどうかは,しりませんが。