フランスの移民史記念館オープン

国立移民史記念館がパリ市内にオープン。
http://www.histoire-immigration.fr/ (フランス語のみ)
博物館が社会的存在ということは自明のこと。
同時に,博物館は調査研究やコレクションの構築を通して価値創造を行うとともに,展示等でその価値を発信していくという性格のために,政治性を持つことも浮き彫りにした例。
10月12日の朝日新聞の記事から。

パリの移民史記念館、ひっそり開館 工事遅れで政権交代

2007年10月11日23時01分

 フランスの歴史の中で移民が果たした役割を顕彰する国立移民史記念館が10日、パリ市内に開館した。工事が遅れ、建設を指揮したシラク前大統領の任期中に間に合わず、移民に厳しいサルコジ大統領の就任後に完成がずれ込み、寂しいオープンとなった。
 10日朝、記念館は一般に無料開放されたが、国立博物館開館につきもののセレモニーは全くなく、閣僚の姿もゼロ。人権団体のメンバーやパリのドラノエ市長ら野党社会党の幹部らが「市民による開館式」と称する集まりを開き、政府の移民政策を批判した。
 記念館造りは89年、パリ郊外の街の移民2世の市議の発想から生まれた。02年の大統領選で、移民排斥を叫ぶ右翼のルペン氏を相手にシラク氏が勝利を収めたことをきっかけに具体化。移民に関する展示のほか、歴史調査や教育活動に取り組むことになった。
 今年5月にサルコジ大統領が就任。その直前に移民管理を目指す移民相設置を表明したことから、「蔑視(べっし)だ」と抗議する記念館の学術評議会委員が一斉に辞任した。以後、政権と記念館との対立が解けないまま開館に至った。フランスでは4人に1人が、親か祖父母のいずれかに外国出身者がいるといわれる。