北秋田市鷹巣の「ケアタウンたかのす」

JANJANに,「秋田県鷹巣の『福祉で街づくり』が崩壊の危機に」という記事が8月31日に出ています。副市長を委員長とする選定委員会による指定管理者の選定に,現市長が政治的に関与しているのかもしれません。
すでに3年前に,上野千鶴子により「政変で挫折した『福祉の町』」という記事が書かれています。
福祉の町だった鷹巣町については,ここをはじめ,様々なページで紹介されてきました。また,映画「あの鷹巣町のその後」&続編が,制作され,上映されています。キネマ旬報で文化映画部門でベストワンに選ばれた映画です。概略はこちら。
福祉崩壊の過程を見ることができるかもしれません。

2007年11月24日追記

秋田魁新聞の11月23日の記事から

福祉公社が市を提訴 ケアタウンたかのす管理者問題

 北秋田市の在宅複合型施設「ケアタウンたかのす」などの来年度以降の指定管理者に市社会福祉協議会(高坂祐司会長)が指定されたのは条例違反に当たるとして、現在同施設を管理する財団法人・たかのす福祉公社(松橋雅子理事長)は22日までに、同市に指定の取り消しを求める訴訟を秋田地裁に起こした。
 訴えによると、社福協はケアタウンと生活支援施設「サポートハウスたかのす」の指定管理者に応募する際、スタッフに福祉公社職員を再雇用する方針を明記。応募時に「管理を安定して行う人員資産その他の能力を有していること」と定めた市条例に違反したという。

社協が,応募時に「人員資産その他の能力を有していること」という条項に違反していたことは少なくとも明白ですね。
ただ,社会福祉協議会が問題な訳ではないのです。そのような状況にありながら,社協を選考した選定委員会及び市長・市行政が問われているのです。
福祉崩壊を目論む市行政に対し,今回の提訴が,少しでも市民の福祉と誇りを守ることにつながればと願います。

2007年12月14日追記

読売新聞の12月14日の記事でも同じものがあります。

選定取り消し求め提訴
 北秋田市相手に 福祉施設の指定管理者で

 北秋田市の介護老人保健施設「ケアタウンたかのす」と老人福祉施設「サポートハウスたかのす」の指定管理者の選定を巡り、両施設を運営する財団法人たかのす福祉公社が、同市を相手取り、2008年度からの指定管理者を市社会福祉協議会とした選定の取り消しを求める訴訟を秋田地裁に起こした。公社側は「明白な条例違反が存在し、行政裁量を逸脱した違法がある」と主張している。
 訴状などによると、公社は1999年度からケアタウン、02年度からサポートハウスを運営。市は来年度から10年間の指定管理者を公募し、公社と市社協が申し込み、9月に市社協が選ばれた。市条例では、選定は業務計画書に沿った管理を安定して行う能力があることを求めており、公社側は「市社協に医師や薬剤師がおらず、要件を満たしていない。これまで老人介護活動を運営したことが全くなく、能力に問題がある」と強調している。
 また、選定委員会のメンバー8人のうち1人が市社協評議員だったことについて、「強い利害関係を有する者が委員となることは許されない」と指摘。審査過程で十分な議論がなかったとし、「結論は極めて拙速と言わざるを得ない」と主張している。

首長による恣意的な行政運営ではないかという疑念が強いところです。

2008年5月21日追記

秋田魁新報の4月1日の記事から

ケアタウン指定管理者 きょうから市社福協に
北秋田市脇神の在宅複合型施設「ケアタウンたかのす」などの指定管理者引き継ぎ式が31日、同所で行われ、財団法人たかのす福祉公社から市社会福祉協議会に協定書が手渡された。きょう1日から運営は市社福協に切り替わる。
 福祉公社の松橋雅子理事長は「利用者の安全安心に配慮し、満足いく生活ができるよう支えてほしい。今後は外から応援し、これまでと変わらないスタンスで協力していく」と話し、市社福協の高坂祐司会長は「皆さんが培ってきたケアの質の素晴らしさは身に染みている。質を落とさないよう努力し、より良い福祉を行っていきたい」と述べた。
 市社福協はケアタウンのほか、生活支援施設「サポートハウスたかのす」と「補助器具センターたかのす」も運営する。
 ケアタウンについて、市は昨年7月に本年度以降10年間の指定管理者の募集を開始。応募した福祉公社と市社福協のうち市社福協が選定され、九月定例議会で議決された。
 福祉公社は、市社福協が指定管理者に応募する際に「管理を安定して行う人員、資産その他の能力を有していること」と定めた市条例に違反したとして昨年11月、市に指定取り消しを求める訴訟を秋田地裁に起こし、現在係争中。

2009年3月17日追記

毎日新聞秋田版の3月17日の記事から

たかのす指定管理者訴訟:公社側の訴え棄却−−地裁
北秋田市が在宅複合型福祉施設「ケアタウンたかのす」の指定管理者に市社会福祉協議会を選定したのは市条例に違反するとして、昨年3月まで施設を運営していた財団法人たかのす福祉公社(松橋雅子理事長)が市を相手取り指定取り消しを求めた訴訟の判決言い渡しが16日、秋田地裁であった。鈴木陽一裁判長は公社側の訴えを全面的に棄却した。
 判決は公社が施設の管理能力がないと主張した市社協について「能力を欠いていたとはいえない」などとしている。【野原寛史】

北秋田市公の施設に係る指定管理者の指定の手続等に関する条例から

第4条 市長等は、前条の規定による申請があったときは、当該団体(申請資格を有するものに限る。以下「申請者」という。)について、次に掲げる選定の基準に照らして総合的に審査し、最も適当と認める団体を指定管理者の候補者として選定するものとする。
(1) 正当な理由がない限り住民が施設を利用することを拒まないものであること及び住民が施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしないものであること。
(2) 業務計画書の内容が、施設の効用を最大限に発揮させるものであること。
(3) 業務計画書に沿った管理を安定して行う人員、資産その他の能力を有していること。
(4) 収支計画書の内容が、施設の管理経費の縮減が図られるものであること。
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長等が施設の性質又は目的に応じて定める基準

「市長等」というのは,市長及び教育委員会。第3号の「管理を安定して行う人員、資産その他の能力を有していること」という選定基準をどう読むかということでしょうけれども,なかなか悩ましいところ。