もろもろ

安倍首相とたたら製鉄

12月3日,安倍首相が科学技術館へ。小学生が「たたら製鉄」を体験するイベントを視察とのこと。

ものづくりの担い手育む 鉄連が「たたら製鉄」体験学習会
 ものづくりの重要性とおもしろさを理解してもらおうと、日本鉄鋼連盟日本科学技術振興財団は3日、東京都千代田区科学技術館・屋外特設会場に、小学生の親子17組34人を招き、日本古来の鉄づくりである「たたら製鉄」の体験学習会を開いた。参加した親子は初冬の一日を、小型炉づくりや砂鉄、木炭の運搬、最高で1500度にも達する火と熱との格闘で過ごした。
 この日は、安倍晋三首相が視察に訪れるサプライズもあり、首相は子供たちと握手をしたり、記念撮影するなど労をねぎらった。かつて神戸製鋼所に勤務した経験を持つ首相は「子供たちにとっても、鉄ができるまでが分かったんじゃないかな。ものづくりの喜びを感じたのではないでしょうか」と視察の感想を述べた。
 また、会場には鉄鋼業界の首脳も顔をみせた。世界的な需要増で好況に沸く同業界だが、新日本製鉄の三村明夫社長は「鉄のことは一般にあまり知られていない。業界は危機意識を持っている」と話し、日新製鋼の小野俊彦会長も「今は好況だが、鉄冷えなどといわれる不況の時代が長かったせいか、産業として人気がない。関心を持ってもらえるようにしなければ」と、絶好のPR機会となる体験学習会の重要性をアピールしていた。

【用語解説】たたら製鉄
 日本古来の製鉄法。現代の製鉄所での高炉法が2000度以上の高温で行われるのに対し、最高1500度程度の熱で製鉄する。木炭と砂鉄を炉に交互に投入して火入れをし、炉内に送風することで高温環境をつくる。産み出された鉄は不純物が極めて少ない。熱処理後に研磨作業などを経て作り出される日本刀の美しさは、この製鉄法ならではとされる。
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 12月4日9時15分更新

安倍さんはともかく,首相がものづくり技術の伝承,特に個人的に関心のある「たたら製鉄」に関心を持つのは,とりあえず,良かった。

日本教育技術学会?

日本教育技術学会」の会長はあのTOSSの向山氏。TOSSについては,本ブログでもhttp://d.hatena.ne.jp/ironsand/20040621#p1で触れたところ。
その「学会」の事務局長が千葉大の教育社会学の明石要一教育学部長だそうな。
日本教育技術学会」についてはapjさんのところの「TOSSウォッチング」でも話題http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/bbs02/showthread.php?mid=274&form=tree になっています。

TOSSの推進していた「水からの伝言

TOSS(教育技術法則化運動)では,小学校の道徳の教材として「水からの伝言」を活用した実践が,TOSSを信奉する様々な教員から報告されていた。この「水からの伝言」を活用した実践とは,例えばhttp://www5f.biglobe.ne.jp/~kyouzai/ronbun/a50.htmにも出ていますが,「水の結晶」の写真を児童に見せて,例えば「『ありがとう』と言う言葉を貼っておいておくときれいな結晶ができる」「『むかつく』という言葉を貼っておいておくと汚い結晶ができる」「人間の体は、60%が水からできています。水は、きれいな曲や言葉にいい反応を示します。つまり、日頃からいい曲を聞いたり、いい言葉を出したりしていると、私たちの体の結晶がすばらしいものとなるでしょう。ということは、すばらしい人になれるということですね」と締め括る道徳の授業のことです。
科学的にデタラメも良いところです。
もちろん,「いい言葉」は社会の潤滑油として大事なものではありますし,言葉や行動は,ある程度,人の内面を映し出し,また内面を形作ることもあるでしょう。しかし,デタラメを積み重ねてたどり着いた結論自体はデタラメでしかありません。
さすがに,様々な批判が出て,「水からの伝言」を活用した実践を紹介したwebページはどんどん無くなっていきました。学校での実践も減っていることを期待しているところです。
参考リンク 
http://doralin.blog17.fc2.com/ (水は答えを知りません−学校に抗議したそうです)
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/fs/ (「水からの伝言」を信じないでください−学習院大学の物理学者田崎さんのページ,おすすめです)

近未来通信

詐欺としか言いようがない事件ですね。
被害額も400億円とか言われています。
近未来通信のビジネスモデルがおかしいとは,かなり前から言われていましたが,大きな広告を出し続けた新聞社も,謝罪の一つなり,広告基準の見直しなりに踏み込むべきかとも思います。
エム・アール・エス広告調査株式会社のサイトを見ると,会社ごとの新聞広告の実績が出ています。
http://www.mrs-ads.com/mrsrep/rep05lat.html
2005年の近未来通信の新聞広告への支出は,何と約51億円。
新聞社の懐事情も大変ですし,被害者も「不労利益」を考えた小金持ちが多いことを考えると,「賠償すべし」とまでは思わないんですが,生活に困窮する被害者向けに基金を設立するなどはやってもいいんじゃないかと,素人考えながら思います。

ちなみに,本ブログで取り上げたことのある東京書芸館の2005年の新聞広告支出は約41億円。
数十万円のものが限定○個という広告が多いのですが,本当にその通りなら,広告料金とそこでの商品だけを考えると明らかに赤字になると思うんですが。
これも,どういうビジネスモデルなんでしょうね。

潰瘍性大腸炎と難病

潰瘍性大腸炎パーキンソン病など45の病気については,難病として,厚生労働省に於いて特定疾患治療研究事業として,治療方法の研究と医療費の一部公費負担が行われています。
以下は難病情報センターのページhttp://www.nanbyou.or.jp/what/nan_kenkyu_45.htmから

特定疾患治療研究事業は、「原因不明、治療方法未確立であり、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病」として調査研究を進めている疾患のうち、診断基準が一応確立し、かつ難治度、重症度が高く患者数が比較的少ないため、公費負担の方法をとらないと原因の究明、治療方法の開発等に困難をきたすおそれのある疾患を対象としています。具体的には、厚生労働省健康局長の私的諮問機関である特定疾患対策懇談会の意見をもとに決定されます。

治療研究期間は1年間。具体的には特定疾患医療受給者証交付申請書,臨床調査個人票(医師の診断書)等を保健所に提出し,医師等が構成員となっている特定疾患医療審査会による審査の上,特定疾患医療受給者証が患者に交付されます。
 患者はその受給者証を健康保険と併用しながら,治療を受けることとなります。
 重症患者の場合は,いわゆる保険診療の自己負担(3割)分の全額が公費負担となります。
 重症に当てはまらない場合は,公費負担額は患者の収入によって異なってきます。
さて,私の場合は,ときどき症状が出てきますが,日常生活は十分送れている状態ですので,重症には当てはまりません。また,定職に就いてから発症したため,普通に給料をもらっていますので,診療においては,公費負担はほとんどありません(普通の保険診療の自己負担分3割を自己負担しています。ただ,内視鏡検査を行った場合だけは,特定疾患制度の自己負担限度額を超える部分の公費負担をもらっています)。一方,薬は手放すことができません。幸いに今の制度では,「調剤薬局による薬剤費については自己負担はない」となっていますので,月3〜4千円程度の自己負担を免れていることとなります。

しかし,実は,この部分の予算(6〜7割程度が国負担,3〜4割程度が都道府県負担)の抑制のために,今,潰瘍性大腸炎パーキンソン病について,特定疾患の認定の見直し作業が行われています。これは,例えば潰瘍性大腸炎については,20代の若年層を中心に年間5千人も新たな患者が認定されているからです。患者の伸びに予算が堪えられないということです。
http://www.google.co.jp/search?hl=jal&q=%E9%9B%A3%E7%97%85%E3%80%80%E5%85%AC%E8%B2%BB%E8%B2%A0%E6%8B%85%E3%80%80%E8%A6%8B%E7%9B%B4%E3%81%97
発症機序,治癒法がわかっていないこれらの病気,当事者の勝手と言われるかもしれませんが,当面,見直しが行われないことを期待します。
例えば,潰瘍性大腸炎として取り扱われている病気について,遺伝的要因もあるとは言われていますが,病態も大きく二種類に分けられるのではないかという説も出てきています。軽症者も含め,治療研究を継続することで,病気の正体をつかむことが,患者の増えている病気だからこそ必要だと思うからです。
若いうちに潰瘍性大腸炎を発症すると,つらいものです。就職が困難になることもあります。普通の生命保険には入ることはできません。また,住宅ローンを組むことも困難になります。
薬剤費についても収入に応じた自己負担を導入するなどの方策で,予算を抑制し,認定基準はぜひ,現状を維持してほしいと思います。