中谷宇吉郎をテーマとした演劇

4月5日から12日まで下北沢スズナリで,風琴工房による「砂漠の音階」(作・演出:詩森ろば)という演劇が開かれるとのこと。
中谷宇吉郎は人工雪結晶を造った科学者。「雪は天から送られた手紙である」という彼の言葉は有名である。
劇は1936年3月12日,中谷が人工雪結晶を造ったまさにその日を舞台化したもの。

中谷宇吉郎は助手の関戸弥一郎にこう言った
「研究のためだけならば半分の結晶でじゅうぶんです。」

けれどね。
とひと息ついて中谷は続ける。
「でもそれではつまらないねえ。」

そして,まっすぐに関戸の目を見つめ,
「せっかくだもの。自然とおんなじ六花の雪を降らせたいとは思わないか。」
ふしぎに透明な笑顔できっぱりとそう告げたのだ。

(劇のパンフレットに掲載された詩森ろばさんの文章から一部を引用)
中谷のような物理学者でも,また,生物学者でも自然を見つめる目には共通のものがあるし,また,個人的にはあってほしいと思う。いろんな物事があって,それが好きで,深く知りたくなる。
劇の詳細は知らないが,そんな思いが伝わってくるような演劇だったらいいなと思う。
砂漠の音階のホームページはhttp://www.windyharp.org/desert/
今は無き岩波映画も,中谷がつくったものであるが,これも様々な科学現象の不思議さ,美しさを伝えたいという思いによるものではないか。http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/0002/0222a.html
石川県加賀市片山津には中谷宇吉郎雪の科学館という,彼を顕彰した科学館があります。http://www.city.kaga.ishikawa.jp/yuki/
チンダル像を実際に見せたりという体験型の展示もあれば,中谷の人となりを紹介する歴史的展示もあるところです。機会がありましたら,こちらにもぜひ。