国連人種差別撤廃委員会関連など

昨年3月,人種差別撤廃委員会から日本政府の第3〜6回報告書の審査をふまえた勧告が出されました。このなかでは,部落問題が,この条約の第1条に規定された「世系(decent)」にもとづく差別に含まれることを認めることが再度勧告されるとともに,あらためて当事者を含めた論議をするなかで,政府として部落民に関する定義をおこなうこと,部落問題を解決していくための機関を設置することなどが盛り込まれました。また,差別禁止法を制定することや差別的な利用を防ぐための戸籍法改正の必要が指摘されました。これらの勧告の誠実な履行が求められています。

昨年3月に出された「人種差別撤廃委員会の日本政府への勧告」にたいする具体化の要請行動や「職業と世系にもとづく差別の撤廃に向けた原則と指針」を国連の公式文書にしていくとりくみ,さらには国際人権諸条約の「個人通報制度」の批准運動などを多くの人権NGO団体と協働して積極的に推進していきます。
また,「人権教育のための世界プログラム」第2段階の推進計画の具体化を政府に求めるとともに,国連人権高等弁務官事務所ユネスコと連携してとりくみをすすめていきます。さらに,国際人権諸条約にかかわって,政府報告書や国連勧告を審議し具体化していく場を行政府や立法府に求めていきます。

武力では,平和も人権も守れないという平和憲法の精神を活かし,世界人権宣言と「人間の安全保障」を具体化するとりくみをすすめます。そして,政府が軍事費を減らし,国連が提唱する「人権・環境・開発」での国際協力に力を入れ,平和と共生の国際社会を創造するよう求めていきます。
人権と平和を表裏一体とした平和運動を地域から活性化させるため,市民グループ,反差別・人権にとりくむ人たち,労働組合などと連帯共闘のネットワークを構築し,地域から学習や行動を強化します。また,自治体での平和宣言・非核条例などを発展させ,平和教育や啓発をはじめ平和行政の充実・推進を求めていきます。
近隣諸国との相互理解と有効を深め,北東アジアの非核化や軍縮の実現,経済協力の強化を求めていきます。。また,NGOなどを通じた国際交流・協力をすすめます。
侵略戦争と植民地支配,沖縄戦などの反省と教訓をふまえた歴史教育平和教育の推進を求めます。また,改悪された「教育基本法」をテコとした「愛国心」押しつけに反対します。
君が代・日の丸・元号¥の強制に端的にあらわれる偏狭な民族排外的な愛国主義や国権主義に反対します。そして「貴族あれば賤族あり」の立場を堅持し,天皇制強化と政治利用の動きに反対し,民主主義の徹底を求める多くの人たちとの共闘をすすめます。
憲法改悪や空洞化を許さず,憲法の平和主義・人権主義・民主主義の3原則を堅持し,具体化するとりくみを強化します。また,米国の戦争に在日米軍基地と自衛隊を利用しようとする日米軍事一体化・米軍再編に反対し,沖縄をはじめ国内の米軍基地の縮小・撤廃を求めます。
核兵器廃絶を求める原水爆禁止運動を推進し,「武器輸出禁止原則」の遵守,「非核3原則」の法制化をめざします。

もうちょっと沖縄の基地問題については踏み込んでほしい。

日本軍性奴隷の被害にたいする国家の謝罪と補償を求める運動に連帯するとともに,在日韓国・朝鮮人基本的人権の保障を求める運動に連帯します。また,「強制動員朝鮮人遺骨調査」のとりくみなどにも協力・参画し,民間レベルでの反差別国際交流をすすめていきます。
人種差別撤廃委員会の「世系にもとづく差別に関する一般的勧告29」の普及,宣伝と具体化にとりくみます。また,人権小委員会の「職業と世系にもとづく差別を撤廃するための原則と指針(最終報告)の普及・宣伝ならびに活用と国連人権理事会のもとでのとりくみ継続を求めていきます。さらに,「人種差別撤廃条約」第3〜6回政府報告書の審査をふまえ,人種差別撤廃委員会からの勧告の実施に向けたとりくみに積極的に参加します。また,このとりくみを通じて,諸人権条約委員会への政府報告書や勧告などについて,これを審議していく行政府や立法府の機構整備を求めていきます。
ドゥドゥ・ディエン人種主義・人種差別等に関する国連特別報告者による日本訪問報告書を活用した「人種差別撤廃NGOネットワーク」などのとりくみに積極的に参加します。
国連人権理事会による日本の人権状況の審査や「自由権規約」第5回政府報告書にたいする自由権規約委員会の最終見解,第6回政府報告書にたいする女性差別撤廃委員会の最終見解のフォローアップにとりくみ,政府にたいして勧告の速やかな履行を求めます。
個人や団体からの通報を認めた「自由権規約」第1選択議定書,「人種差別撤廃条約」第14条,「女性差別撤廃条約」選択議定書などの批准・商人と各条約の留保事項の撤回と早期締結を求めます。
アジア太平洋国内人権機関フォーラム(APF)との連携や自由権規約委員会,人種差別撤廃委員会,子どもの権利委員会や女性差別撤廃委員会などが出した一連の見解や勧告を活用し,パリ原則にもとづく国内人権機関の早期創設にとりくみます。
半人種主義・差別撤廃世界会議(01年)と同NGOフォーラムで採択された「宣言」と「行動計画」の普及,宣伝と具体化にとりくみます。また,反グローバル化の立場から,インド,ネパールのダリットやアフリカ地域各国で職業と世系にもとづく差別撤廃にとりくむ人びとをはじめ,門地差別の当事者との連帯を深めます。
反人種主義・差別撤廃世界会議をふまえ,ユネスコが推進し,08年6月に結成された「反人種主義・差別撤廃都市連合」のとりくみに協力していきます。とくに06年8月に結成された「アジア・太平洋地域都市連合」に日本の自治体が参加するよう働きかけていきます。

「障害者権利条約」などの福祉や生活に関連した先進的な条約や法律に学びつつ,生活・福祉関係の共闘運動にとりくみます。また,「心神喪失医療観察法」に断固反対するとともに,真に障害者の自立支援につながる施策の確立を求めるとりくみをすすめます。

政府にたいして,人種,皮膚の色,性別,言語,宗教,政治上その他の意見,国民的・社会的出身,経済条件または出生により,教育上の平等な取り扱いを害するような区分,除外,制約,優先を「差別」として禁止し,教育の平等の促進を求める「ユネスコ・教育における差別を禁止する条約」への加入を求めます。

(いずれも2011年度一般運動方針第一次草案よりメモ)