ニセモノ師たち
ニセモノ師たち
ニセモノ師たち 中島 誠之助 講談社 2001-10 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
自画自賛的なところもなくはないが,「ニセモノ」の例が具体的で興味深く,かつ軽妙に読める。
第1章「世の中はニセモノあってこそ!」の中,「骨董はお金に換算できないもの」から引用。
以前,鎌倉時代から伝わる,古筆の有名な和歌の色紙を所有している人の家が火事で焼けてしまったことがありました。重要文化財クラスのその色紙を納入した老舗の骨董商が色紙の焼失を大変に残念がると,その火事で焼け出された本人は「あの品には保険がかけてあったから大丈夫ですよ」と答えたのです。
それは言語道断,古美術品を所有する資格がないというものです。近年は,骨董品の輸送や保管に保険がかけてあるから大丈夫といわれる人をよくお見受けしますが,保険がかけてあったからモトは取れるなどという考え方は根本的に間違っています。
命懸けで守らなければいけないのが,骨董品です。
お金で取り返そうなどという発想は大間違いなのです。
行革関係の審議会で,「保険さえかけてあるから大丈夫」という論調で物事を考える人が増えてきているように思います。