指定管理者が水商売を推進

朝日新聞6月23日(千葉版)の記事から

「がん細胞消滅の水」プレゼント 流山市教委が後援
 市施設で催し,市議ただす

 流山市生涯学習センターで開かれた市教委後援のイベントで,「がん細胞消滅の水」と称するプレゼントがうたわれていたことが,市議会で取り上げられた。主催は同センターの指定管理者と市内の任意団体。センター内では,骨折から花粉症にまで効果がある,とうたった健康機器の無料体験も行われていた。市議会から「市の施設で行い,後援するものとして適当でない」という批判が出ている。
 菅沼樹夫市議(社民党)が,一般質問でただした。菅沼市議や市教委によると5月26日に同センターで開かれたイベントは,高齢者介護をテーマにした映画と,この映画の監督や鈴木昭夫教育長らが出席したフォーラム。参加者に対し,協賛会社が「世界特許のがん細胞消滅の水」を抽選でプレゼントする,とポスターでうたい,ペットボトルの水を展示していた。
 このイベントは,センターの指定管理者であるアクティオ(本社・東京)と流山市内の任意団体が主催,市教委が後援していた。
 また,センターのロビーでは,アクティオと任意団体の主催で「肩こり,筋ジストロフィー,骨折,花粉症,シワなどに振動刺激効果を発揮する」という健康機器の無料体験コーナーや,他の健康機器の有料体験コーナーも設けられていた。
 「がん細胞消滅の水」はイベント後もセンター内で展示,試飲も行われていたが,連絡を受けた市教委が「1社の商品の宣伝となり,好ましくない」と中止させた。
 菅沼市議は「センターでこのような商品を紹介し,さらに市教委が後援したり,教育長がイベントに参加したりするのは問題だ」と指摘する。
 これに対し市教委の石井泰一・生涯学習部長は「後援依頼書には,アクティオの名前しかなく,プレゼントがあることなどは,知らされていなかった。アクティオから詳しい事情を聴いている」という。
 またアクティオは「担当者から状況を聞いている段階」といい,任意団体の代表は「医学的,科学的根拠に基づいた品物を紹介しただけ」としている。

アクティオは施設の指定管理請負業者としては大手。会社としてはパブリックな施設の管理の最低ラインは押さえるマニュアルは存在していることが予想される。
 しかし,結局,社員にそれが伝わっていないということだろう。
アクティオは,指定管理を受けている他の施設についても,公平・公正な運営を行っているか,内部統制体制はどうなっているのか,チェックすべきだと思う。


なお,記事中の映画のタイトルは『母のいる場所』。監督は槙坪多鶴子氏。この映画自体は,ちゃんとちゃんとの映画です。
流山市教育委員会教育長らが出席したフォーラムの開催日は記事に若干の舌足らずがあり,実際は5月27日のようです。


そういえば,
 流山市生涯学習センターでは,「健康と医学・医療に関する市民フォーラム企画実行委員会(下采柾彦委員長)」等の主催による難病支援コンサートが昨年12月16日に開催されています。「エーラス・ダンロス症候群」「マルファン症候群」等の難病について,もっと人々に知っていただきたいという趣旨で開催されたもので,収益金も難病支援に役立てられるものです。

この際のコンサート主催者の下采柾彦さんは,株式会社スーパーライトウォーター(臼井雅明社長)(www.slwater.com)のDDW([http://atom11.phys.ocha.ac.jp/bbs01/showthread.php?mid=14469&form=tree:title=重水素減少水])を愛飲されているようですし,重水素減少水の普及活動をされているようです。!

重水素減少水について,(株)スーパーライトウォーターのWebサイトには「世界には奇跡の水と言われる水が各所に存在し、多くの人が病気の改善のためにその水を求めてその地を訪れています。その水の共通点として注目されているのが、『重水素濃度が150ppm以下であると言うこと』。私たちが日頃摂取している水の重水素濃度が 150ppmであり、わずかであっても重水素濃度の差によって、健康に大きな影響があることが判明しています。特に重水素濃度を90ppmから 110ppmの状態にすると、ガン細胞が死滅するということを科学的に証明したのが、ハンガリー国立ガン研究所です。」という自己賛美の記載がなされています。まるで医薬品のような記載ですね。ただの水に。
このような,水を,かなり怪しげな効能で普及・販売する商売を,「水商売」といいます。
水商売については,水商売ウォッチングを参照ください。(そこでは,水商売を「水に付加価値をつけて売る商売」としています)。

市議会で,さらに,明らかにしていただきたい所ですが,民主党にも霊感商法で有名な[http://www1k.mesh.ne.jp/reikan/indexj.htm:title=統一協会]関係の議員!がいたりするので,そのあたりで,スーパーライトウォーター疑惑への追及が弱まりそうな気も。

2008年3月19日追記

市議会での議事録から
6月20日定例会での質問。

・・・
ギャラリーでは医療用とも健康増進用ともつかない器具が展示され、その有料体験コーナーや無料体験コーナーが同じく26日、27日の2日間開かれました。その後、引き続いておよそ1週間の予定で痛みを取るという器械のデジバイオとがん細胞が消滅するという水、重水素減少水、スーパーライトウオーターが展示され、それぞれ無料体験と試飲が行われていました。また、ロビーでは振動によるシェイプアップ効果をうたい文句にしたバイオジェネレーターというエクササイズマシンが4台稼働していました。
・・・
肩凝りや関節炎に効き、歯の痛みや花粉症にも効果を発揮し、頭に当てれば増毛、おなかに当てれば体脂肪の減少、顔に当てれば小顔になるという魔法の器械デジバイオ、飲めばいぼが取れ、腰痛、がん、糖尿病が改善し、肌が20歳若返り、老人斑が減り、老眼鏡が不要になるという奇跡の水、がん細胞が消える水、スーパーライトウオーターのそれぞれのふれ込みは薬事法に抵触するのではないかと思われます
・・・
流山市生涯学習センターの指定管理者アクティオ株式会社と任意団体いいものとの出会いが行った生涯学習センターオープン1周年記念の一連の特別企画は、根拠のない効能を並べ立てた物品を展示し、体験、試飲させ、あわよくば販売しようとしたものであり、いわゆる公の秩序と善良なる風俗を乱すもので、流山市生涯学習センターの設置及び管理に関する条例第10条にいう設置目的に違反していると考えるが
・・・
また、昨年12月下旬から本年1月下旬まで約1カ月間にわたり開かれたアクティオ株式会社といいものとの出会いが共催した俳優、原田大二郎氏と流山市教育委員会の鈴木昭夫教育長のお二人の展覧会、二人展のギャラリーの長期使用期間について許可申請はあったのかどうか。なければ条例違反と思われるが、どうか
・・・

生涯学習部長の答弁は

・・・
議員御指摘の生涯学習センターオープン1周年記念フェスタにおける健康器具の有料体験あるいは重水素減少水の試飲、さらには二人展など、これらは条例に定める手続を踏まえずに行われておりまして非常に遺憾に感じているところでございます。このことは、指定管理者であるアクティオ株式会社のみならず、これを管理監督をしている本市教育委員会といたしましても反省をすべきであるというふうに十分に考えております。重水素減少水の展示につきましても、一つの製品に偏っての展示では誤解を招くことから、教育委員会として気がついた段階で指導したところでございます。指定管理者が許可をするに当たっては、十分な審査が必要であることは当然でありまして、アクティオ株式会社に対しましては事のてんまつをまとめ、事業のあり方についての基本的な考え方やどのように改善していくのかを取りまとめた報告書を提出するよう指導をいたしました。
・・・
教育委員会といたしましては、条例、規則の遵守は当然のことでありますので、アクティオ株式会社に対して条例、規則に基づき許可を受けなければならない事項については、きちんと許可を受けてから行うよう指導したところでございます。
・・・
御指摘の二人展についてですけれども、当初は12月13日から12月16日まで4日間の開催でございました。会期を超えての許可ということは出しておりません。その後、アクティオからの申し入れにより、非常に好評だったことから、1カ月以上にわたっての開催、ちょうどこの時期はこの会場があいていたという時期でありますので、そこでやらせてほしいという届け出をいただいております。いずれにいたしましても、公の施設の利用につきましては、ほかから疑念を持たれることのないように改めるべきはきちんと改め、また指定管理者の連携を密にしながら指導の徹底を図ってまいりたい、このように考えております。
・・・

再質問

・・・
教育長にお伺いいたします。取り上げた生涯学習センター設置条例違反の疑い、これは先ほどからも確かに条例違反ということも認められたと思いますけれども、これは教育委員会後援の事業とリンクして全部行われているわけですね。そういう教育委員会後援の場には教育長も参加されていると、教育長の関係していることもある、そういうところでこの生涯学習センターを所管し、指定管理者の運営管理を監督しなければならない立場にある教育委員会の最高責任者として、余りにも軽率ではなかったのか
・・・

教育長の答弁

・・・
議員申されるとおり疑念を持たれるような、そういった部分があった点についてはやはり反省したいと思います。
・・・

再々質問

・・・
今の教育長の答弁をお聞きになられて、それと今日私の質問の生涯学習センターの一連の出来事について、条例違反が確かに行われていたということにつきまして、市長のお考えといいますか、見解をまず1点お伺いいたします。
・・・
先ほど申し上げた団体のいいものとの出会いの代表者は流山市のヘルシーアドバイザーという言葉を標榜している。流山市のヘルシーアドバイザーを標榜しているのです、この人は。こういう巧妙な手口を使っているのです。こういうことは、流山市が新たな事業を起こす、例えばグリーンチェーン戦略とか、新しいような政策を打ち出したときに、それにひっかけるような手口はこれからも出てくると思うのですけれども、こういうことに対して市長はこれからどのように対処していくのか、2点お答えください。

市長答弁

第1点目につきましては、認識については部長がお答えしたとおりです。そして、今後の対応については教育長が答えたとおりでございます。それから、第2点目につきましては、今初めて伺いましたので、事実を確認し、問題が生じないように対応したいと思います。

9月定例会での生涯学習部長の答弁

こういう事業が実施されること、これについては教育委員会としても十分承知をしておりました。
・・・
教育委員会として十分承知をしておりましたので、条例違反ではないというふうに考えておりますし、細かい手続を踏まえなかったということで考えております。

条例違反から,軽微なミスへ,答弁が修正されたようですね。

2008年3月19日追記

流山市議会の議事録を見ていたら,ついでに,不思議なものも発見。
2007年12月定例会で,沖縄戦集団自決に関する教科書検定意見の撤回を求める意見書が議員から発議として出されていたのですが,民主党に属する市議のみが反対討論を行っているんですね。

堀勇一議員
発議第32号「沖縄戦「集団自決」への軍関与を否定する教科書検定意見の撤回を求める意見書について」、民主・市民クラブを代表して、反対の立場で討論いたします。
教科書検定問題は、沖縄県民だけの問題ではない。流山市民を初め、全国民の問題である。平和を希求し、悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにも沖縄戦の実相を正しく伝えることは重要であるということには異議がありません。
しかし、文部科学省沖縄戦の集団自決について、日本軍による強制または命令は断定できないとの検定意見をつけた背景には、次の根拠があると理解しています。①、命令を出したとされる将校らが軍命令の事実を否定した。②、軍命令の資料がいまだ確認されていない。それに対して、本意見書は別の見解を述べていますが、流山市議会は沖縄戦の実相を正しく知る立場にはありません。
したがって、沖縄戦の実相を正しく伝えるために、流山市議会は特定の意見を表明すべきではないと考え、本意見書に反対いたします。

民主党だから反対したのか,堀議員だから反対したのか。
まあ,民主党ですら反対していますから,起立少数でこの意見書は否決されています。
流山の「民主・市民クラブを代表して」の討論と言うことですから,流山の民主党の人は沖縄での住民「自決」について「命令を出したとされる将校らが軍命令の事実を否定した」。軍が命令した「資料がいまだ確認されていない」から,沖縄の住民「自決」は必ずしも日本軍に命令されたものではないというお考えなんですね。。。。寂しいなあ。。。。悲しいなあ。。。。

2008年11月14日追記 堀勇一議員(民主党)の発言メモ

平成20年6月定例会

要望としましては、さんづけについてなのですが、男の子がとても嫌がると聞いております。帰宅して何でさんづけで呼ばれるのか、僕は嫌だと泣いて嫌がる子がいると聞いております。これは、本能に根差したものだと思います。特に10歳までに大脳の形成が行われます。このときまでに男の子が男らしく育たないと脳が女性化し、性同一障害が生まれるとも言われております。男らしさ、女らしさは人間の美しさであり、魅力です。男は男らしく、女は女らしく、生まれながらの特性を生かして幸せに生きることができるように学校現場での指導をお願いしたいと思います。