群馬ヘリポート

ぐんまフラワーパークの指定管理者問題で大揺れの群馬県でもう一つ,指定管理者がらみのニュース。

群馬ヘリポート 指定管理取り消し

 県は三十日、今年四月から群馬ヘリポート前橋市下阿内町)の指定管理者となっている上毛航空(真島隆社長)の指定を取り消し、十一月一日から県直営で管理すると発表した。同社から事業縮小のため、契約にあたる基本協定解除の申し入れがあったという。県施設の指定管理者取り消しは初めて。
 県交通政策課によると、同社はヘリポートの施設管理と管制を中心とした指定管理業務を担当。ほかに自社業務として資材や人員の運搬などを行っているが、天候不順で今春以降の業績が振るわず、十九日に事業縮小を理由に基本協定解除の申し入れがあった。
 県はヘリポートの公共性が高いと判断し、一日から航空特殊無線技士の資格を持つ非常勤職員四人を雇用、ヘリポートを管理する。
 同社は、草津町でスキー客輸送などの業務に集中するという。
 県は一月に三社の中から同社を指定管理者に選定した。期間は四月から三年間の予定で、年間委託予算は約二千五十万円。
10月31日 上毛新聞

指定管理者の撤退については,http://d.hatena.ne.jp/ironsand/20060526で,奈良県野迫川村「野迫川温泉ホテルハイ・タトラ」の件についても書いたところである。野迫川の件では,指定管理料が0円であり,「違約金」を含めて指定管理者が行政に返納または納付することが無く大変なことだと触れた。
今回の群馬ヘリポートの件ではどうなのか。協定書を見ていないのではっきりしないが,指定管理料の返納(例えば日割り計算で)と,現状復帰が会社側の責務となるのであろう。ただ,協定書に次の条項(第3項)が盛り込んであれば,県は「違約金」を請求することが可能となる。

甲は、乙が次の各号のいずれかに該当する場合は、乙に対し書面により通知した上で、指定管理者の指定(以下、「指定」という。)を取り消し、又は期間を定めて委任業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
(1) 関係法令、条例、規則、基本協定の条項又は年度協定の条項に違反したとき。
(2) 乙の責めに帰すべき事由により温水プールの管理業務を履行しないとき又は履行の見込みがないと認められるとき。
(3) 乙が次条に規定する以外の事由により指定の取消しを甲に申し出たとき。
(4) その他乙が指定管理者としての管理を継続することが適当でないと甲が認めるとき。

2 前項の規定により指定を取り消し、又は期間を定めて委任業務の全部若しくは一部の停止を命じた場合において、乙に損害、損失や費用増加が生じても、甲はその賠償の責めを負わない。

3 第1項の規定により指定を取り消した場合、乙は、甲に対し、甲に生じた損害、損失や増加費用について、賠償することとする。

指定管理者の撤退により,県の損害が出るのであれば,指定管理者に請求すべきものだろうと思う。さもなくば,税金が無駄に投入されることになるのだから(撤退だけでなく,不適切な運営についても同様ですが)。

6月5日追記 新たに群馬ヘリポートの指定管理者を公募

上毛新聞6月5日の記事から

群馬ヘリポート指定管理者募る
事業縮小を理由に指定管理者が撤退した群馬ヘリポート前橋市下阿内町)の管理運営について県は四日、新たな指定管理者の募集を開始した。指定期間は十一月から二〇一一年度末まで。昨年十月の撤退後は県直営で管理していた。
 県交通政策課によると、県は五人の嘱託職員を雇用して管理業務を行っているが、責任体制を明確にするため、再度、指定管理者による管理を決めた。同日から募集要項を配布、七月二日から申請を受け付け、七−八月にかけて選定委員会で選定、県議会九月定例会で正式決定する。
 管理委託期間途中に業者が撤退した経験を踏まえ、同課は「会社の安定性などを重点的に見て選定したい」と話している。

指定期間が数年と短いため,設備投資が困難なのも指定管理者制度の特徴。その前の撤退についても,指定管理者の業務縮小が理由となっているが,収益が見込めたり,将来的な計画が立てられるのであれば,撤退はしなかったと考えられる。
反語的に言えば,将来的な計画が立てられない制度である以上,指定管理者が「絶望」するような指定管理条件(管理料含む)では,「撤退」は幾度でもあり得ることのようにも思える。指定管理者のボランタリーな献身を前提とした仕組みでは(2007年6月5日の日記の例も同様ではないのか),いつか,また破綻してしまうのではないか。
ちょっと心配。

2008年12月26日追記

フォローしておりませんでしたが,2007年11月1日から2011年3月31日まで日本空港コンサルタンツ・大成サービス連合体が指定管理者となって運営されています。