シマヌジュウリ

シマヌジュウリ

新版 シマヌジュウリ―奄美の食べものと料理法新版 シマヌジュウリ―奄美の食べものと料理法
藤井 つゆ

南方新社 1999-07

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奄美の料理を通して,奄美の生活・文化が紹介されています。定価が税抜き4800円と高い。そう売れる本ではないかもしれない。
 実は,今売られているのは「新版」。もともとは1980年に出た本で,そのときは2400円でした。
 私が持っているのも古い版で,出版社は道の島社というところでした。本の著者藤井つゆさんの息子さん(これはこれでもっと有名な方だが)が中心となった出版社です。
 いわゆるゴーヤチャンプルーや,豚料理はもちろん,塩豚の作り方,鶏飯,玄米粉を発酵させたミキという飲み物。様々な料理がカラーで紹介されていて,その料理が生まれた風土,そこでの人の,共同体の暮らし,親子関係,そんなものが凝縮されています。今でこそ,日本各地,アジアの料理を通しての文化の紹介本,アメリカ南部のケイジャン料理の紹介本,そういう本が増えてきましたが,それらの先駆けとなった本だろうと思います。
 そういう,この本を作った人の思いが伝わってくる一つの象徴が,奥付にありました。「無断引用・転載を許可します」と奥付に書いてあるんですね(もちろん商業出版は除く)。
 息子さんは東京に出て,またいろいろな出来事があり,田舎に帰った人です。これは想像ですが,自分の,自分たちの立つ場所・文化を再発見することの大事さ,人がいるその文化を守ることの大事さを考える人だろうと。そして,その人を中心にこの本が作られ,奄美という地域でもっと多くの人,子どもたちにどんどん内容が伝わっていけばいい,奄美だけでなく日本全国に人を育んだ文化と風土があることが伝わっていけばいい。そんな思いで「無断転載許可」というこの本が生まれたんだろうと思います。
 残念ながら,旧版は絶版。現在,南方新社から出ている新版については,無断転載を禁ずと書いてありますが。
実は昨日,ひょんなことから,この本を作った人々の一人に会うことができました(前から会ってはいたのですが,この本の関係者だとは知らなかった)。そんなことで初読から二十年以上経っていますが,ちょっと紹介。
#私の家では,台所の中の本棚に入れてあります。
#私は無断引用可の旧版を持っているので,機会があれば,その中味をブログに転載してもいいんですかね。良くわかりません。