刑事裁判での検察側証拠開示

市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)

第14条3項(b)
「すべての者は,その刑事上の罪の決定について十分平等に」「防御の準備のために十分な時間及び便益を与えられ並びに自ら選任する弁護人と連絡する」権利を保障している。
この「便益」には刑事裁判の準備のため検察官手持証拠を含め必要な書類その他の証拠を利用することも包含されている。

国際人権自由権規約委員会勧告

1998年11月の最終見解において「法律と実務において弁護側が関連するあらゆる証拠にアクセスすることができるようにして,防御権が阻害されないよう確保すること」と日本政府に勧告。
この委員会においてクレッツマー委員は「日本政府の報告書の15条によると裁判所が個々に開示命令を出すことができるとされています。しかし,この情報が存在するという知識があって初めて弁護人は裁判所から命令をとりつけることができるわけです。弁護人はほとんどの場合その存在さえ知らないわけですから,これはもう完全に規約第14条3項(b)違反です」と発言。
エヴァット委員は「警察記録へのアクセスが認められていないという点について懸念を共有するものです」と発言。
ヤルデン委員は「(狭山事件では)弁護人はすべての必要な証拠にはアクセスできなかった,とされています。当委員会においてかつて取り上げられたことがありますが,ここに再度問題提起します」と提起し,その結果日本政府に勧告を出すこととしたものである。
そもそも国際人権規約の解釈については,各国で国による人権侵害が起きていることから,各国が解釈を行うのではなく,規約によって設置された国際人権(自由権)規約委員会が解釈を行うものとされている。
このことから日本政府はすでに国際人権規約に違反しており,かつ違反し続けていることが指摘されているのである。