東金市で脳内出血で心肺停止状態で見つかった人が亡くなる

タイトルそのまま。
昨日の朝日新聞,小さな記事でしたがこのことが載っていました。半年前の事例に,わざわざ病院の「受け入れ拒否14回、男性死亡」と悪意のあるタイトルを付けて。
書いた記者の名前は分かりませんが,房総の救急医療からの医師と病院の逃散を促し,救急医療体制を破壊しようとする悪質な記事ですね。
 ニュースにするほどのことか。脳内出血で心肺停止状態の患者を診る専門医がどれほど,どこに余裕があるのか。専門でなくて診療して亡くなったときに悪意を持って報道しているのは誰か。そもそも救急体制を医師や病院の善意に頼らなければならない制度にしたのは誰か,またそのことを支持しているのは誰か。言いたいことはたくさんある。
詳しくは天漢日乗さんの「首都圏救急医療崩壊 脳内出血で心肺停止ならほぼ絶望なのに『搬送受け入れ拒否』と昨年8月の事例を書き立てる朝日新聞 とうとう『東京大空襲』開始かマスコミ各社」を。

2月10日の朝日新聞の「ちば(首都圏)版」の記事

2月10日の朝日新聞の「ちば(首都圏)版」にも,記事が出ていました。内容は薄いですが。
論調としては「受入れを断られる回数の増加の背景には,県内の多くの自治体が抱える深刻な医師不足がある」とのみ。基本的に「受け入れ拒否」が死亡の要因となったとしたまま。医師不足についても基本的には「偏在」論ですね。それから,ドクターヘリに断られた理由も,きちんと説明しないといけないのでは?
医師偏在or不足の背景は新臨床研修制度のみで,救急医療制度,公立病院を核とした地域医療と財政問題,そんなことには何も触れず,ただ,文章を書き流しているのみです。ああ,無署名です。 (あは,私も無署名ですね )

受け入れ拒否14回,東金の男性死亡−救急崩壊の危機
東金市で昨年8月,自宅で心肺停止状態になった男性(当時56)が,のべ14回,搬送受け入れを断られて死亡した。途中で,ドクターヘリにも一度,要請を断られているため,交渉回数は最終的に16回になる。その背景には,県内の多くの自治体が抱える深刻な医師不足がある。
山武地域-輪番制に空白
搬送受け入れ拒否が起きた山武地域では,夜間の重症患者を受け入れる2次救急が98年4月から,輪番制で始まった。県立東金,国保成東,国保大網の3病院を中心に365日体制で患者を受け入れていた。
 04年に始まった新医師臨床研修制度により,都市部や高い技術が習得できる民間病院に人気が集まった。そのため,県内各地に医師を派遣していた千葉大学医学部の医局でも医師が足りなくなり,派遣していた医師を大学に戻し始めた。
 あおりを受けた県立東金病院が,まず内科医不足に陥った。さらに成東病院が内科医の大量退職で06年3月,内科系の輪番から外れた。2次輪番で,男性が倒れた昨年8月,31日間のうち内科系が20日間,外科系が3日間,空白だった。
 3病院を含む山武地域の医療機関への救急搬送割合は05年,全体の72.2%だった。だが06年は61.7%に,昨年は58.2%まで減った。一方,千葉市成田市旭市といった管外の病院に搬送する割合が昨年は41.8%と05年より14ポイント増えた。
 「いくつもの病院と交渉する時間より,遠くの病院に搬送した方が速い場合もある」と,山武郡市広域行政組合消防本部の鈴木孝行・警防課副主幹はいう。
 昨年,同消防本部と病院やドクターヘリとの交渉回数は,今回の16回が咲いた。そのほかにも14回が1件,12回が2件,11回が2件あったという。
 県消防地震防災課の調べでは,05年1月1日〜12月31日,覚知から収容までの平均所要時間は山武郡市消防本部では41.9分と,県平均の33.7分より約8分も長い。もっとも短い習志野消防本部は27分だった。
 各病院が魅力を打ち出して医師を呼び込もうとしているが,輪番制が完全に復活するまでには至っていない。
迅速なら,もっと助かる命も−男性の妻
「誰も責められない。でも同じような思いをする人が出ないでほしい」
 死亡した男性の妻(56)は静かに語った。連れ添って約30年。夫は会社員として元気に働いていた。倒れた日は,午後4時ごろから,庭で大工仕事をしていた。
 通行人が,仰向けに倒れていた夫を見つけた。家の中から飛び出し,「お父さん,どうした」と声をかけても反応がなかった。身動きせずに眠っているようだった。体は温かいが,爪の先は紫色になっていた。携帯電話で119番通報した。
 電話口から聞こえる指示に従い,次男(24)が人工呼吸,近くに住む親戚が心臓マッサージを施した。まもなく救急救命士ら3人が到着。AED(自動体外式徐細動器)を実施したが,反応はなかった。「なんとか息を吹き返してくれたら」と願い続けた。救急車が動き出すまでどのぐらいかかったか,はっきり覚えていないが,「長く感じた」。
 通報から1時間後,救急車は茂原市の公立長生病院に到着。次男と一緒に車で病院に向かったが,妻が到着すると「残念ですが」と医師から告げられた。
 救急車を呼んだのは2度目だった。1度目は06年元日の深夜,心臓の疾患があった義父が異常を訴えた時だ。その時はすぐに病院が決まった。「あの時は,運が良かったんですね」。
 妻は,「目の前に家族がいて,受け入れ先がない時のストレスは計り知れないのではないか」と救急隊員を気づかう。
 県立東金病院は自宅から車で5分もかからない。「受け入れが迅速にできれば,助かる人がもっといるかもしれない。

例えば,県立東金病院が,脳内出血と心肺停止の状態の重体の患者を救急で,すくなくても,いつでも一人受け入れられるような,そういう体制が取れれば素晴らしいでしょう。
こんな記事を書いている記者さんにできるとも思えませんが,現状状況を分析し,少しでも救急体制を整備するための報道が増えていくことを望みます。