ドゥドゥ・ディエン報告書

1月にドゥドゥ・ディエン人種差別・人種主義に関する国連特別報告者による報告者が国連人権委員会に提出されている。以下報告書概要。
一般的背景として「アイヌ,沖縄の人々,被差別部落民と在日コリアンの歴史的形成」が述べられている。
公的機関の政治的・法的戦略としては,国・地方自治体は全般的には,「部落の人々」「アイヌ民族」「朝鮮半島出身者及びその子孫」「中国人及びその他の外国人並び移住労働者」が差別の被害者として認識しているとともに,人々が人種差別を告発して賠償を受けることを可能にする法律が存在しないことを指摘している。また,現在の国内法では,人種的優越性,憎悪による思想の宣伝はそれ自体が処罰の対象になっていないことも指摘している。
関係する集団の自らの状況の展示の調査から,(1)部落差別問題においては結婚差別,身元調査,部落地名総監,生活実態調査について触れ,在日コリアンについてはウトロ問題が象徴している戦後補償問題,高齢者の無年金問題朝鮮学校卒業者が受験資格を得られない件,民族教育の権利の保護がなされていないことが指摘されている。
報告者による分析として,日本には人種差別と外国人嫌悪が存在し,部落の人々,アイヌ民族と沖縄の人々というナショナル(国民国家内)マイノリティと朝鮮半島や中国などの旧植民地出身者や外国人移住者など国籍,民族を理由とした差別,社会的・経済的な不利益があり,雇用,健康,居住などから周辺化されている。これらの集団の歴史に関する伝達が乏しいこと,人種差別を禁止し,被害者に司法救済を提供する国内法がないことに懸念を表明している。
報告者による勧告としては,政府は人種差別と外国人嫌悪が存在することを正式に認めること。実態調査を行うこと。国際法の規程を日本国内で実施するための国内法を制定すること。国内法策定過程には関係コミュニティとの協議と参加が保障されるべきこと。「ILO111号条約」を批准すること。パリ原則に基づく国家委員会を設置すること,歴史教科書を改訂すること等を示した。
原文はここに→http://www.imadr.org/geneva/2006/G0610396.pdf
日本語訳(部分)がここに→http://www007.upp.so-net.ne.jp/aohyon/2004/200602doudouDineReport.html
国連の文書はここにあるようです。→http://ap.ohchr.org/documents/dpage_e.aspx?c=92&su=98