証拠開示法制要綱案

通常手続きでの証拠開示のあり方について
(1)司法警察員および司法警察職員は,起訴後直ちに,作成したすべての捜査記録・捜査関係書類と収集したすべての証拠を検察庁に送付しなければならない。
(2)検察官は,前項によって送付された捜査記録・捜査関係書類,証拠及び自ら収集し,並びに検察事務官に収集させたすべての証拠の目録(標目)及び内容(要旨)を記載した書面(証拠リスト)を作成し,起訴後直ちに,そのリストを弁護人,弁護人がないときは被告人に対し,交付しなければならない。
(3)弁護人または被告人は,検察官に対し,起訴後,検察官が交付した前項のリストに記載されたすべての書類及び証拠の閲覧・謄写を請求することができる。
(4)検察官が,前項の証拠の閲覧・謄写の請求に応じないときは,弁護人または被告人は,裁判所に対し,証拠開示命令を発するよう請求することができる。
(5)裁判所は,上記の請求があったとき,又は,職権で自ら,検察官に対し,証拠開示命令を発することができる。裁判所は開示請求を受けた証拠が被告人に有利な証拠であるときは開示命令をしなければならない。裁判所は,証拠開示命令を発すべきか否かについて疑問があるときは,検察官に対し,当該証拠その他関係証拠を提示させることができる。
裁判所は開示請求があったときは,弁護人の意見を聴き,すみやかに決定をしなければならない。なお,証拠開示の手続きは,当該事件の公判担当裁判官以外の裁判官に担当させなければならない。
(6)弁護人または被告人に開示されていない証拠のうち,検察官,検察事務官あるいは司法警察員司法警察職員が所持していることが明らかになった証拠が有罪・無罪の判断に関連するものであるときには,裁判所は当該事件(訴因)につき,公訴棄却の判決をしなければならない。
(7)証拠開示命令を発するか否かの心理にさいしては,「証拠開示に伴う弊害(証人威迫,証拠隠滅の恐れ,関係者のプライバシーの侵害の恐れ)」を理由として,証拠開示を拒否してはならない。
当事者は,開示された証拠を当該事件及び関連する民事事件以外で使用し,又は公開してはならず,違反に対しては,民事,刑事の手続きによって厳正に対処するものとする。
−−冤罪・誤判をなくすための証拠開示の公正なルール化を求める会より