海洋研究開発機構と防災科学技術研究所,国立国語研究所の日本語教育など

横須賀にある海洋研究開発機構には行ったことがあります。
この海洋研究開発機構と,独立行政法人防災科学技術研究所が来年4月に統合されるというシナリオになっていましたけれども,本日の国会の議論を聞いてみると,当面,統合はなくなったのか?それとも,単に書類上の議決を先延ばしにしただけのことか?
よくわかりません。 まあ,ずいぶん両者の研究内容の性格は違うように思いますので,統合しないことを個人的には歓迎しますが。。

当日追記 歓迎するが,学問の自由という点で少し違和感。

独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律案」を議題とした,3月18日の国会・衆議院文部科学委員会で全会一致で採決された修正案(民主党提出)を,衆議院のインターネット中継から書き起こしてみました。

第一に独立行政法人防災科学技術研究所及び独立行政法人海洋研究開発機構の統合については引き続き検討することとし,今回の法案ではこれを行わないこととしております。
第二に独立行政法人大学評価学位授与機構及び独立行政法人国立大学財務経営センターの統合については引き続き検討することとし,今回の法案ではこれを行わないこととしております。
第三に国語に関する調査研究等の業務の重要性を踏まえ,附則に於いて,国は独立行政法人国立国語研究所の業務が移管される大学共同利用機関法人人間文化研究機構で,独立行政法人国立国語研究所法第3条に定めるところにより行われていた国語に関する調査研究等の業務が引き続き維持充実されるよう必要な措置を講じなければならないこととするとともに,移管後2年を目途として,当該業務を担う組織及び当該業務の在り方について検討を加え,その結果に基づいて所用の措置を講ずるものとすることとしております。
以上が修正案の趣旨及び概要であります。

また,同じく全会一致で採決された付帯決議案は次のとおり。

独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律案に対する付帯決議案
政府及び関係者は,本法の施行にあたり,次の事項について特段の配慮をすべきである。
1 国立高等専門学校の高度化再編にあたっては,各地域の入学志願者数の動向やニーズを踏まえ,各高等専門学校の自主性・自律性を尊重し,教育研究の個性化・活性化・高度化がより一層進展するよう配慮すること。
2 国立高等専門学校の今後の在り方については,個々に法人格を有する国立大学法人との整合性の観点等,これまで議論されてきた経緯を踏まえ,個々の高等専門学校にではなく機構本体に一の法人格を付与していること,独立行政法人としていること等,組織の在り方の見直しを検討すること。
3 独立行政法人国立国語研究所大学共同利用機関法人人間文化研究機構への移管にあたっては,これまで担ってきた日本語教育事業の重要性に鑑み,引き続き日本語教育事業を主体的に担っていくための十分な財源措置及び人的配置を行うものとすること。また,移管後の国立国語研究所日本語教育事業を担当する部門を設置し,さらなる充実を図るとともに,新たな中期計画に日本語教育事業の質の向上を図るための措置を盛り込むこと。
4 国立国語研究所が担ってきた国語及び国民の言語生活,並びに外国人に対する日本語教育の調査研究の重要性に鑑み,学術研究の中核機関として共同研究の活性化を図るとともに,引き続き国語政策への貢献と外国人に対する日本語教育の振興という観点からの基盤的な調査研究,必要な研究課題の設定・実施,その成果の活用が図られるよう努めること。さらに将来的には国の機関とすることを含めて組織の在り方を抜本的に検討すること。
5 独立行政法人メディア教育開発センターの廃止にあたっては,生涯学習社会の形成の観点から,放送大学学園はもとより,関係府省,地方公共団体等とも連携しつつ,ICT活用教育を含めたメディア教育の振興に努めること。
6 運営費交付金等の算定にあたっては,算定基準及び算定根拠を明確にしたうえで公表し,公正性・透明性を確保するとともに,各法人の規模・事業等,その特性を考慮した適切な判定方法となるよう工夫すること。また,組織改定前の公費投入額を踏まえ,従来以上に研究等が適切に実施されるのに必要な所要額を確保するよう努めること。

いずれも公式なものではありませんので,誤字等はご容赦のほど。


国立国語研究所が担ってきた日本語教育事業については,風前の灯状態でしたが,その重要性,必要性に鑑み,大学共同利用機関法人移行後も引き続き国語研究所が担っていくべきこと,そして国はそのための財源措置と人的配置をすべきことが決議されました。
附帯決議は5会派共同提案で,全会一致で採決されていますので,参議院でも同様な決議が行われるのではないかと思います。
日本語教育事業については,様々な人々がその重要性を訴えてきておりますし,これまでの成果もありますので,当面,引き続き国立国語研究所で担われることとなったことは,歓迎いたします。
しかし,大学共同利用機関法人(国立大学法人とあわせて,国立大学法人等とも表現されています)の研究内容に関し,国会が「行うべし」と決議することの違和感はあります。今回限りの特例にとどめていただきたいと切に願います。


参考リンク
http://d.hatena.ne.jp/myougadani/20090319
http://seigan5000.web.fc2.com/
http://www.news.janjan.jp/column/0903/0903100119/1.php

4月6日追記

3月30日参議院文教科学委員会の議事録から

独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一、国立高等専門学校の高度化再編に当たっては、各地域のニーズや入学志願者数の動向、卒業生の進路等を踏まえ、個々の高等専門学校の自主性・自律性及び教職員間の議論に基づく学内合意を十分尊重し、教育研究の個性化、活性化、高度化がより一層進展するよう配慮するとともに、全国各校の教育研究の充実が図られるよう十分な予算措置を行うこと。
二、国立高等専門学校の今後の在り方については、国立大学法人との整合性の観点等、これまで議論されてきた経緯を踏まえ、独立行政法人としていること等、組織の在り方の見直しを検討すること。
三、独立行政法人国立国語研究所大学共同利用機関法人人間文化研究機構への移管に当たっては、これまで担ってきた日本語教育研究及び関連する事業等の重要性にかんがみ、引き続き当該研究や事業等を主体的に担っていくための十分な財源措置及び人的配置を行うものとすること。また、同研究所に、大学共同利用機関の特性に配慮しつつ、当該研究や事業等を担当する部門を設置し、更なる充実を図るとともに、新たな中期計画にその質の向上を図るための措置を盛り込むこと。
四、移管後の国立国語研究所においても日本語教育データベースの更新、既存の研究開発や研究者ネットワークの継続等に支障を来さないよう、大学共同利用機関の特性に配慮しつつ、研究職にある者を適切に移籍させるとともに、適正な手続に基づき処遇すること。
五、独立行政法人国立国語研究所が担ってきた国語及び国民の言語生活並びに外国人に対する日本語教育の調査研究の重要性にかんがみ、学術研究の中核機関として共同研究の活性化を図るとともに、引き続き、国語政策への貢献と外国人に対する日本語教育の振興という観点からの基盤的な調査研究、必要な研究課題の設定・実施、その成果の活用が図られるよう努めること。さらに、将来的には国の機関とすることを含めて組織の在り方を抜本的に検討すること。
六、独立行政法人メディア教育開発センターの廃止に当たっては、生涯学習社会の形成の観点から放送大学学園はもとより、関係府省、地方公共団体等とも連携しつつ、ICT活用教育を含めたメディア教育の振興に努めること。
七、運営費交付金等の算定に当たっては、算定基準及び算定根拠を明確にした上で公表し、公正性、透明性を確保するとともに、各法人の規模、事業等その特性を考慮した適切な算定方法となるよう工夫すること。また、組織改定前の公費投入額を踏まえ、従来以上に教育研究等が確実に実施されるのに必要な所要額を確保するよう努めること。
右決議する。