学芸員養成の充実方策について(報告)が出ています

1月18日のエントリー「博物館法施行規則改正関連(パブリックコメント開始)」で,文部科学省の「これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議第2次報告書」に関するパブリックコメント(1月26日まで)について書いたところですが,2月18日に,第2次報告書が出ています。
いちおう,少しだけパブコメを入れたんですが,そこはどうなったかも含め,中味はこれから読みます。

当日追記 ざっと見比べました。

細かくはそれぞれ見比べていただくとして,大きな変更(追加)があった点をざっくりと。

p6の「博物館実習」の内容に関して

なお、博物館実習は、「学内実習」及び「館園実習」を実施することとし、「館園実習」は、上記の「博物館に関する科目」及び基礎となる専門の研究分野を学んだ上で、学芸員養成課程の最終段階で実施することを基本とするべきである。

が追加。
同じくp6の大学の取組みの充実に

・・・専門の研究分野に関する科目の充実はもちろん・・・
・・・創造的なカリキュラムを構築することが求められる。その際、複数の大学の連携により共同で学芸員養成課程を設けることも考えられる。

が追加。
p7の大学の取組みの充実に

一方、複数の学部で学芸員養成課程を併存している大学においては、大学全体の教育理念・目標に基づき、相互に連携・協力して学芸員養成の体系化を図ることが望ましい。また、大学が有する学術標本や研究資料等の資源を、博物館実習等において積極的に活用することが求められる。

が追加。
p10の試験認定の選択科目に関して

これらの選択科目は、大学において学芸員資格を取得する上で、大学独自で定める法定科目以外の必修選択科目や、修得単位数を設定する際の参考とされている面もある。
・・・いわゆるエデュケーターやコンサーベイター(保存・修復専門家)等の専門職を育成する必要性等・・・

が追加。
p12の無試験認定に関する学芸員補の職について修正がされているが,実質は変わらず。
p12の無試験認定に関してボランティアの実務経験を認める可能性もあり得る方向での修正。
p14の今後の課題に

今回、「博物館に関する科目」の見直しに際して新たな必修科目を設けることを提言したが、今後、それらの科目がさらに学問的に発展するよう、大学関係者のみならず学芸員をはじめとする博物館職員や学協会等の関係者が積極的に研究を行い、その成果を発表することを期待したい。言うまでもなく博物館活動の基礎は研究であり、学芸員の研究者としての地位の向上やその意欲の向上を図る観点から、学芸員がより一層研究しやすい環境を整備することが望まれる。
博物館実習に関しては、速やかに国がガイドラインを作成するとともに、博物館と大学が連携して博物館実習の先駆的な実践研究を行うことについて検討することが必要である。

が追加。
別表2の「博物館経営論」の内容に「ミュージアムマネージメントとは」という語句が追加。
同じく「博物館教育論」の内容で「教育の本質及び目標」が「学びの意義」と修正。

といったところでしょうか。
自分のパブコメ意見は通らず。。。どんな意見が他に寄せられたのか興味があります。。

それにしても,学芸員養成の充実という基本的な精神がありますから,なかなか単位増に対してはもの申しにくいところではあるんですけれども,歴史でも科学でも,専門分野に没頭している人は資格を取りづらくなるという副作用は存在するところですよね。
 まさに「今後の課題」で追加されたように「博物館活動の基礎は研究であり」という観点から見ると,学芸員の資質養成に逆行する部分も存在すると。

今後は,博物館法施行規則(文部科学省令)の改定にあたっては,再度,行政手続法に基づくパブコメもあるんでしょうから,もう一度チャンスもあるんでしょうけれども。

2月25日追記

2月25日のエントリー『博物館法施行規則改定関連のパブコメ結果』を紹介しています。