足利事件

再審にむけて取り組まれている足利事件に関するサイトはこちら
DNA鑑定だけでは,本来,犯人だと断定することはできない。基本的には否定のための道具。
足利事件においては,「自白」調書と目撃証言等に様々な矛盾が見られるだけでなく,証拠として認められたDNA鑑定のデタラメさ,当然再現性がないことが指摘されている。
1991〜2年のDNA鑑定機材導入の予算要求のための材料として使われたという見方も。。。

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小林 篤

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2008年12月20日追記 再審請求の中で,DNA型鑑定再実施

12月20日の東京新聞の記事から

DNA再鑑定実施へ 4歳殺害の足利事件 東京高裁、再審請求めぐり
栃木県足利市で一九九〇年、当時四歳の保育園女児が遺体で発見された「足利事件」で、殺人罪などに問われ、無期懲役が確定した菅家利和受刑者(62)が無罪を訴えている再審請求の即時抗告審で、東京高裁(田中康郎裁判長)は十九日、争点となったDNA型鑑定を再実施することを関係者に伝えた。
 弁護人によると、DNA型鑑定が有力な証拠となった事件の再審請求で、再鑑定が実施されるのは初めて。東京高裁は二十四日までに正式決定を出し、書面で通知する。
・・・

再審請求では,弁護側は確定判決の理由の一つの菅家さんのDNA鑑定結果が間違っているということを新鑑定・新証拠として出していますが,第一審で宇都宮地裁は再審請求を棄却しています。地裁決定のあまりの杜撰さに請求人は即時抗告を行ってきたところですが,とりあえず高裁では問題となったDNA型鑑定について真摯に向かい合うこととしたようです。

2009年4月21日追記

4月21日の東京新聞の記事から

足利事件、受刑者DNA一致せず 再審開始の公算
栃木県足利市で1990年、保育園に通う女児=当時(4つ)=を殺害したとして、殺人罪などに問われ、無期懲役が確定した菅家(すがや)利和受刑者(62)が無罪を訴えている再審請求の即時抗告審で、東京高裁が嘱託したDNA型の再鑑定の結果、園児の着衣に付着した遺留物と菅家受刑者のDNA型が一致しなかったことが分かった。東京高裁が正式な鑑定書の提出を受け、再審の開始を決める可能性が出てきた。
 菅家受刑者の無期懲役が確定した2000年の最高裁決定はDNA鑑定の証拠価値を初めて認め、有罪の有力な決め手としていた。
 関係者によると、検察側、弁護側の推薦した鑑定人の鑑定結果が、いずれも遺留物と菅家受刑者のDNA型は不一致と出た。鑑定人からの報告書は月末にも東京高裁に提出される見通しという。
 再審請求をめぐっては、弁護側が菅家受刑者の毛髪を取り寄せ、最新技術で鑑定し、有罪の根拠となったDNA型と異なる結果を示した新証拠などを提出したが、宇都宮地裁で棄却され、東京高裁に即時抗告。高裁が昨年12月、再鑑定の実施を決めていた。
 菅家受刑者は任意の調べで当初、容疑を否認。DNA型の一致を取り調べで指摘された後、認める供述を始めた。一審公判の途中から無罪を主張したが、最高裁は2000年7月、「科学的に信頼できる方法で実施され、信用できる」とDNA鑑定を評価した。
 その上で「科学技術の発展で、新たに解明された事項なども加味して慎重に検討されるべきだが、このDNA鑑定を証拠として用いることが許される」として、一審の無期懲役を確定させた。弁護側は「当時はDNA鑑定の黎明(れいめい)期。格段に精度が高くなった現在の技術で再鑑定すべきだ」と主張していた。
【足利園児誘拐殺人事件】 1990年5月、栃木県足利市のパチンコ店に父親と来ていた保育園児が行方不明になり、近くの渡良瀬川河川敷で遺体が見つかった。県警は91年12月、DNA鑑定を根拠に菅家利和受刑者を逮捕。菅家受刑者は捜査段階で、犯行を認めたが、一審途中から無罪を主張した。物証が乏しく、公判では自白や鑑定の信用性が争点に。最高裁は2000年、一、二審に続いてDNA鑑定の証拠能力を認め、無期懲役が確定。弁護側は「受刑者とDNA型が一致しない」と再審請求したが、08年に宇都宮地裁で棄却され、東京高裁に即時抗告した。

DNA型は一致したとしても,補強証拠にはなるが,同一人であることの特定が必ずしもできるわけではない。
 そして,DNA型が不一致であれば,明らかに同一人ではない。
冤罪であることが明らかになったと言い切ってもよさそうです。