植田正治写真美術館(鳥取県伯耆町)に指定管理者制度導入

3月19日の日本海新聞の記事から。

入館者伸び悩む 植田正治写真美術館 町財政圧迫
鳥取県伯耆町は十八日、写真家の故・植田正治氏の作品を展示、収蔵する植田正治写真美術館(同町須村)の業務を一部指定管理に出す方針を明らかにした。一個人の作品を収蔵する美術館としては日本最大規模だが、開館二年目の約六万人をピークに入館者が伸び悩み、町財政を圧迫していた。町は十九日の議会全員協議会に原案を提出して諮る。
 開会中の町議会本会議で、円山湧一教育長が指定管理施設の追加に関連して答弁した。
 同町によると、指定管理に出すのは同美術館の広告宣伝を含む企画運営業務と施設の維持管理業務。写真の保管や管理、展示企画などにかかわる学芸部門は、従来通り学芸員一人を配置し、町が直営で運営するという。
 全員協議会で原案が承認された場合、町はできるだけ早い時期に指定管理者の募集要項を作成し指定管理者を募るとしている。
 同美術館は「逆さ大山」の映る福岡ため池周辺に美術館の建設を要望した植田さんと、大型リゾート計画を推進していた旧岸本町の意向が合致し、一九九五年九月に開館した。
 植田さんと親交のあった俳優でミュージシャンの福山雅治さんの写真展を開催した年は来場者が約五−六万人と伸びていたが、それ以外の年は二万人前後と低迷。同町では費用対効果を考慮し、本年度から十二−三月を冬季休館としていた。

3月20日の日本海新聞の記事から。

業務を一部指定管理で合意 植田正治美術館
写真家の故・植田正治氏の作品を展示、収蔵する植田正治写真美術館(鳥取県伯耆町須村)の業務を一部指定管理に出す問題で十九日、伯耆町は議会全員協議会で原案を提出。同美術館の学芸部門を除く維持管理部門と企画運営部門を指定管理に出すことで合意した。
 指定管理に出すのは建物管理や機械設備保守、清掃などの維持管理部門と、総合案内や商品開発、ミュージアムショップの運営、一般の展示などの企画運営部門。植田さんの写真展示や収蔵作品管理、教育普及活動などの学芸部門は従来通り学芸員一人を配置して直営で運営する。
 また、冬季休館を前提とするものの、休館日や開館時間、冬季休館中の自主事業やショップの営業活動などについては、指定管理者側で提案できるとした。
 直営部門の運営費用は学芸費や文化振興費が千三十五万円、人件費が約五百万円。ミュージアムショップや自動販売機からの収入については指定管理業者の収入としたが、入館料についての町と業者の分割比については今後検討し、あらためて全協に諮るという。

学芸部門と企画部門の分担のイメージがわかりませんが,行政内部でかなり議論がなされてきたのであろうことが想像される結論ですね。その姿勢自体は極めて高く評価できるものと考えます。
維持・運営にはどうしても経費がかかります。植田正治自体,写真の世界では国内外で有名な人で,様々な人が訪れる価値ある美術館ですが,来館人数等から見た「経済的」な効果はそれほど高いものではありません。地域の宝が,地域ではあまり評価されずに,消え去ってしまうことが多いのですが,何とか大事にしようという伯耆町の取組みに期待を込めて,指定管理者制度導入以後の状況を見守りたいと思います。