台東区のイメージアーカイブ

1月25日の東京新聞の記事から

台東区長 『下町の街並み残す責任』 新年度予算案映像など保存 データベース化へ

台東区民撮影の昔懐かしい映像や写真を保存する新規事業。新年度予算案を発表した吉住弘区長は二十四日、「下町の街並みを長い間はぐくんできた生活風景を残していく責任がある。家庭で眠った状態の貴重な素材を保存し、活用したい」と意義を強調した。 (藤浪繁雄)
吉住区長によると、区内の写真を撮り続けた人や、8ミリを趣味で撮影した人から、コレクションの保存に困っている話を何度も聞いたことがきっかけ。「趣味といっても、当時の時代や文化を知る上で貴重なものもある」と区長。浅草や上野などの有名観光地の名所の変遷はもちろん、時代を感じられるような内容を広く集める。保存、活用する素材のイメージとして、昭和三十年代に焦点を当てた本紙連載「東京慕情」などを挙げた。
 区民に呼び掛けて素材を集めるのは、二〇〇九年度からになるが、保存方法について、区長は「町名単位などで整理分類していきたい」とデータベース化する意向だ。
 区は新年度、どんな素材を保存対象とするか、公開に際し問題が発生しないよう著作権処理なども研究する。

非常に興味深い取組。
詳細がよくわからないけれど。
「集め」,「保存」する主体は行政のようだけれども,具体に作業するのは人。それは区の職員になると考えられるが,このプロジェクトに専門的に取り組める人を担当にして欲しいと願います。台東区は,区立で下町風俗資料館を持っていますから,そこの学芸員あたりがアーキビストとして実際の担当になるという方法もあるのでは。
当然,コレクションポリシーを構築することも必要ですし,受入手順の整備,コレクションの評価,コレクションの保存手順・環境の整備,コレクションの提供方法等,検討事項は多岐にわたりますが,学芸員の得意分野。
 また,区民に呼びかけ,また関係団体に協力を依頼することも,学芸員の日常業務。
 ぜひ検討いただきたいと思います。
資料の掘り起こし,再発見は,区民一人ひとりが主体となれるものですし,それでなければ,本プロジェクトは成功しないでしょうが,一方,最終的に責任を持って評価を担当する専門家(学芸員でも結構ですし,複数の歴史専門家・映像専門家からなる評価委員会を構成するという手もありますが)を確保することが肝要。さもなくば,地域の「有力者」に振り回されて失敗する可能性があります。
情報によると,2008年度予算は386万円ということですが,イメージコレクションを主として担当する人間をきちんと立ててほしいものです。

3月5日追記

台東区で映像担当学芸員を募集しています。
資格は,大学卒以上で,学芸員となる資格(見込み含む)を持ち,映像に関する資料調査・研究・活用等に興味ある者。
任用期間はとりあえず1年。勤務形態は月16日。給与月額252,900円(通勤費はなし)
職務内容は「台東区映像アーカイブ」事業に関して,(1)映像に関わる調査・研究に関すること,(2)映像に関わる資料の収集・整理・加工・及び保存に関すること,(3)映像を活用した教育活動に関すること,(4)その他映像に関わる職務に関すること。
応募締切は3月4日でした。
勤務形態が月16日,年金は厚生年金ですから,いわゆる非常勤職員ですね。区民,地域とのネットワーク形成が,業務の中心になるはずなので,長期的な取組ができる体制を期待していたところなので,その部分が残念ですね。