東京書芸館の悲母観音

東京書芸館については,2007年5月27日の本水晶 黄金の五重の塔,2006年5月4日の「東京書芸館のブロンズ像」,2006年4月22日の「東京書芸館の戦艦大和の模型」,2004年12月28日の「おかしな商品『幕末維新の志士達』東京書芸館」で触れたことがあります。
今日も,新聞で下5段を使って広告を出していました。
今日の商品は狩野芳崖「悲母観音」の復刻版,限定20とのこと。
 東京美術学校(現東京芸大)では,明治期の開校当初は西洋画のコースはなく,東洋美術,日本美術に特化していましたが,その際尽力した外国人フェノロサがいました。
 広告によると,この悲母観音はフェノロサからの「西欧の聖母マリア像に比肩する作品を」との依頼に応えできたもの。
オリジナルは東京芸大が保管していますが,国の重要文化財に指定されています。
今回東京書芸館が販売するものは,「32版32度刷りアートコロタイプ・シルクスクリーン技術」で復刻したものということです。画面寸法は約縦110cm×幅49cmとのこと。
また同時に,東京芸術大学美術館の2005年1月25日の美術館ニュースには次のようなことが書かれています。

2005年1月25日付

 本学大学美術館所蔵の「悲母観音」(狩野芳崖作)復刻画と称する絵画の販売について

 現在、東京書芸館(東京都中央区銀座1-3-3)なる出版社から本学大学美術館所蔵「悲母観音」(狩野芳崖作) の復刻画を有償にて頒布する旨の告知 (例:日本の美術館を楽しむ「東京藝術大学大学美術館編」、朝日新聞社刊)がなされておりますが、 この件については、本学は一切関知していないところです。
 したがいましては、同出版社より頒布される「復刻画」については、 本学所蔵の「悲母観音」(狩野芳崖作)との同一性や精密度等の内容について、 本学として一切責任を負うところではないので、その旨ご案内いたします。

つまり,保管者である東京芸大の預かり知る限りでは,本「復刻版」作成に関し,現物のきちんとした写真撮影が行われていないことが明らかとなっています(深夜,その他,東京芸大の預かり知らぬような不思議な状況で精密な写真撮影が行われたことまでは否定できませんが)。