潰瘍性大腸炎と生命保険

12月4日の日記にも書きましたように,いわゆる難病(特定疾患)に罹患していると一般の生命保険に加入することができません。
ところが,今日の新聞にこんな記事がありました。

クローン病など保険加入対象に
  三井生命

 三井生命保険は19日,原因不明の難病である腸疾患の「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」の患者が22日から生命保険に加入できるようにすると発表した。一般的な生命保険で二つの病気の患者を加入対象とするのは国内生保で初めて。二つの病気の詳細が不明で死亡率など算定できないとして,保険加入を認めていなかったが,NPO法人「日本炎症性腸疾患協会」の要請を受けて死亡率などを調べた結果,保険加入は可能だと判断した。
 二つの病気は腸に炎症や潰瘍ができて,ひどい下痢や腹痛を繰り返す。

  1月20日 毎日新聞

潰瘍性大腸炎であれば,当然,その病気自体でわずかながら死亡することもありますし,また全腸型であれば,大腸ガンの発生も多くなります。
 しかし一方,定期的に通院し,定期的に大腸内視鏡を受けているため,実際死亡率が非罹患者に対して,著しく高いとも考えられません。
 実際,今回,これらの病気の死亡率を見ても,基本的に引き受けられない状態ではないという三井生命の判断になったわけです。
さらに大きかったのはNPO法人日本炎症性腸疾患協会による生命保険会社へのねばり強い働きかけでしょう。病気と患者の現状についてコンセンサスを作っていかなければ,三井生命も判断できなかったでしょうから。
今回の三井生命の発表の詳細は,「炎症性腸疾患に対する契約引受基準の一部見直しについて」(pdfファイル)にありますが,「疾患の重症度や治療内容等を勘案のうえ,一定条件のもと全生命保険契約に関して引受を行っていく」もので,もちろん,現在の疾患の状態について診断書等をもとに審査・査定が行われることとなります。
 それでも,やはり朗報です。より多くの生命保険会社が同様の判断をしていただくようになればと思います。