少年法改定の動き

2006年11月14日,衆議院本会議で少年法改悪の趣旨説明が行われていた。中味は,触法少年に対する警察の事実上の捜査権限付与。また,虞犯についても,警察の調査権限を認めるもの。
虞犯については,wikiでも「虞犯事由は経験則に照らして少年に犯罪行為や触法行為をなすおそれがあることを強く示唆すると考えられる不良行状を類型化したもの」とされているが,かなり恣意的に判断されるおそれがある。
例えば,2006年7月に施行された「奈良県少年補導に関する条例」では,不良行為として,次に掲げるようなものが入っている。

19歳以下

・煙草の喫煙等
・飲酒等
・放置すれば暴行・脅迫・器物損壊その他刑罰法令に触れる暴力的な行為に発展するおそれのある粗暴な言動
・正当な理由なく,刃物,木刀,鉄棒その他他人の身体に危害を及ぼすおそれのある物の所持
・同居者の金品を無断で持ち出す行為
・みだりに異性の身体に触れ,又は異性につきまとい,その他他人に性的な不安を覚えさせるような行為
・正当な理由なく,保護者に無断で生活の本拠を離れ,かつ,所在を知らせずに生活

18歳以下

サッカーくじの購入・譲渡

18歳未満

・正当な理由なく風俗営業の営業所,有害興行,その他法律条例の規定により18歳未満の者が制限されている施設への立ち入り
・無店舗型性風俗特殊営業,金属くず業その他法律条例によって18歳未満を客として制限する営業で,当該制限に違反することとなるような形態で客となる行為
・インターネット異性紹介事業を利用する行為
・自ら進んで,インターネットを利用して,有害情報にアクセス
・正当な理由なく,有害図書類・有害がん具刃物類を所持
・他人を中傷するような情報を,インターネットを利用して他人が閲覧することができる状態に置き,又は電子メールを利用して他人に送信する行為
・正当な理由ない深夜(午後11時から午前4時まで)徘徊
・正当な理由なく,義務教育諸学校を欠席・早退・遅刻して,徘徊し,又は生活の本拠を離れて遊戯・遊興をする

警察という機関の権限がどんどん巨大化していくようです。ピストルや警棒,催涙弾(水平撃ちあり)で武装された機関の権限がです。警察に補導・拘禁されずに生きるのが困難な時代になりそうです。
誰かの考える「美しい国」に不要な者,不要な事柄を排除するためには,良い条例でしょうけれどもね。

参考リンク
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20060330/p1 (kitanoのアレ)

別なメモ

品川区では,学校選択制を導入して,義務教育諸学校の統廃合に「成功」。他の地方自治体にも拡がるのか。
なお,学校選択制については,本ブログhttp://d.hatena.ne.jp/ironsand/20060702#p1でも触れています。