フラワーパーク続報−指定管理者取消へか?

http://d.hatena.ne.jp/ironsand/20061004#p1で触れたように,群馬県の施設,ぐんまフラワーパークの運営(指定管理者:(株)ファーム。長井海の手公園ソレイユの丘(ソレイユの丘についてはhttp://d.hatena.ne.jp/ironsand/20060823#p1http://d.hatena.ne.jp/ironsand/20060915#p1でも触れたところですが)など,全国で十数箇所のファームパークを実質的に運営中)に関する件で,10月5日に群馬県議会安全・安心なくらし特別委員会で追求が行われ,県の責任が問われたのに続き,10月6日には環境農林常任委員会で追求が行われた。その内容について,新聞報道があった。

「フラワー管理」指定管理者取り消しも
再びトラブルの場合 県、厳しく対応

 県立ぐんまフラワーパーク(前橋市柏倉町)で累計入場者数の集計ミスなどのトラブルが相次いだ問題で、県は6日の県議会環境農林委員会で、今後不祥事があった場合は、運営を委託した民間企業「ぐんまフラワー管理」(前橋市)の指定管理者取り消しも視野に入れた厳しい対応で臨む考えを明らかにした。同社の実質的な親会社「ファーム」(愛媛県西条市)に対しても、全国20か所にある傘下のテーマパークで法令違反などをしないよう申し入れる。
 田中修・農業担当理事は「(フラワー管理には)民間ノウハウの導入など、期待するものも大きかっただけに、イメージダウンにはじくじたる思いだ。ファームにも責任がある」とし、不祥事が再発した場合には、「指定取り消しも念頭に入れる」と述べた。県の責任については「運営が早く軌道に乗るよう指導する」と答えるにとどまった。
 また、同委員会は、県が指定管理者を選定する前の昨年9月、関係者から、他県のファーム系列施設でもトラブルが起きていたことを指摘する電子メールが届いていたにもかかわらず、十分な調査が行われなかったとして、県に猛省を促した。
 当時の農業担当理事の加藤光治・総務担当理事は「私人が自分が勤めていた会社を批判したものととらえた。競合する団体との公平さを保つため、選定委員会にもあえて言わなかった」と釈明。「現状を考えると反省の念はある」とした。
 一方、ファームは6日、取材に対し、傘下のテーマパークのうち、「赤城高原牧場クローネンベルク・ドイツ村」(前橋市)で発覚した食品衛生管理者不在問題が、少なくとも、茨城、京都、愛媛の施設であったことを明らかにした。藤田直樹・総務部次長は「反省している。できる限りの改善策を実施し、(各施設の)運営に万全を期すことで責任を果たしたい」と話した。今後、社外の第三者をメンバーとした法令順守や危機管理に関する組織を立ち上げるという。
(2006年10月7日 読売新聞)

不祥事が再発した場合には,(指定管理者の)指定取消も視野に入れるとの,県の回答はもっともではある。
しかし,より積極的に言えば,「ぐんまフラワーパーク」が,県民にとって,レクリエーションの場であり,地域経済振興の場であり,地域産業振興の場であり,コミュニケーション振興の場である,そういうインフラとしての意味合いを持つものであるから,(1)住民のニーズを把握し,それに応えていくのみならず,(2)住民の新たな生活文化,新たな産業を産み出すシーズであるべきことを行政が認識していくことが必要であろう。
ぐんまフラワー管理を指定管理者として指定を続けるのであれば,県行政としてはコンプライアンスの遵守を求めるのみならず,より積極的にガバナンスを行うことが必要である。
法令遵守だけでは最低ラインにもみたない。文化ホールや植物園は,単に人々のニーズに応えるだけの施設ではない。博物館や植物園は,単に展示があるだけの施設ではない。
それぞれの機関の特質に応じて,様々な情報の発信,人々の交流の場の整備を行い,住民の新たな生活文化の創造の装置とならなければ存在意義はない。
指定管理者に管理をゆだねるのであれば,住民からの付託を受けた行政は,当然,指定管理者への仕様書にそのことを書き込まねばならないし,本来住民の財産である運営経費(委託料)や施設の動産・不動産の使われ方についてその視点から指導を行うことが必要である。

10月10日追記

10月7日の毎日新聞。上記読売新聞と同様の記事ですが,「11日の本会議」という言葉もあるので,入れておきます。

ぐんまフラワーパーク問題:指定管理者取り消しも−−県議会・環境農林常任委 /群馬

 ◇決議案まとめる
 指定管理者制度に基づいて県が4月から民間に運営委託した「ぐんまフラワーパーク」(前橋市柏倉町)で管理・運営上の不備が相次いでいる問題で、県議会環境農林常任委員会(木暮繁俊委員長)は6日、臨時委員会を開き「今後の推移によっては指定管理者の取り消しなど必要な措置を求める」とする決議案をまとめた。11日の本会議で可決される見通し。
 同常任委が県に求めていた質問への文書回答を受けて開催。委託先の「ぐんまフラワー管理」(久門渡社長)について、県が受け取った情報提供メールの内容が明らかにされた。県の指導については、4月以降、フラワー管理に対し計19回の現地指導を実施していることを報告。「まともな指定管理者ならこれほどの指導は受けない」と疑問の声がわいた。【藤田祐子】

10月11日追記

東京新聞10月4日より

フラワーパークに質疑集中
指導内容の報告要求 県議会

 本年度から民間委託されている県施設「ぐんまフラワーパーク」(前橋市柏倉町)について、県議会・環境農林常任委で三日、指定管理者の選定方法や従業員の労働条件などをめぐり質疑が集中した。議論は紛糾し、同常任委が県に、これまでの経緯や同パークへの指導内容の報告を要求した。 (石屋法道)
 県の説明などによると、同パークは指定管理者「ぐんまフラワー管理」(前橋市、久門渡社長)が運営しているが、今年すでに役員を含めた正社員五人とアルバイト十三人が退職。残業代込みの特殊な固定給で、月百時間以上の残業があった従業員もおり、労働基準監督署から指導を受けた。四−七月には雇用条件通知書が従業員に未交付だったことも明らかになった。
 また同常任委では、指定管理者の選定前に、同社の親会社の運営には問題があるとの内部告発が電子メールなどで県にあった、と複数の県議が指摘。県は「選定に予断が入るとの判断で審査委員には伝えなかった」と説明した。
 中古の園内車両を二千万円以上で系列施設から購入したことや、親会社が百三十七億円の負債超過になっていることにも追及の声が上がったが、指定管理者の取り消し有無を問われた県側は、「協定書への著しい違反はない。いまは行政指導の段階」と答弁した。
(東京新聞 10月4日)

負債額が出ていたので,一週間後ながら思わずアップ

ソレイユの丘管理状況 12月20日追記

横須賀市のソレイユの丘管理状況が横須賀市のページに出ていました。
http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/shiteikanri/23_2006.html
市が毎月,現地確認調査を行っているようですね。その分のコストはかかりますが,サービスの質の維持ということを考えれば必要なコストだと思います。
http://d.hatena.ne.jp/ironsand/20061002#p1で触れた本『ハードワーク』で,低賃金労働者の問題が取り上げられています。最低賃金を上げることで御用経済学者は雇用が減ると言い,著者は社会正義であり,雇用はほとんど減らず,福祉等に回る税金も増えると言っています。
アメリカですら,公共サービスを受託する企業に,その職員に対し最低賃金以上の賃金支払いを遵守することを求める自治体が増えているとのこと。
日本でも,低めですが,最低賃金制度があり,労働基準法があります。公的サービスを受託する企業に対し,その遵守を求めること,チェックを行うことはとても意味があることだと思います。
横須賀市がここまでやっているのかどうかわかりませんが,期待したいところです。