公立博物館・美術館の入館料

「入館料でペイしないのが博物館」http://d.hatena.ne.jp/ironsand/20041120#p1で触れた博物館の入館料の件。
地方公共団体の財政悪化の状況,また,そもそも自分の住んでいる千葉県で県立博物館の大人の入館料が有料化したことなどから,日本の公立博物館では有料化の流れが「トレンド」なのかと思っていましたが,今日の朝日新聞には「博物館,無料化じわり」の記事が。ほっとします。
記事の中では,宮崎県と佐賀県の例が紹介されています。
2004年4月に新しくオープンした宮崎県立西都原考古博物館,またそれと同時に常設展を無料化した宮崎県総合博物館と宮崎県立美術館。佐賀県でも98年以降,県立博物館,県立美術館で入館料を廃止し,2004年8月に開館した佐賀県立佐賀城本丸歴史館では,入館料を無料とした上で寸志制を導入。
博物館法では公立博物館の入館料は原則無料とされていますが,実際,県立,市町村立博物館では,入館料が無料の施設は約3割とのこと。
市町村立ではもう少し無料の割合が多いと思っていましたが。。。
なまじ有料化しても,もぎりの人を置かなければならなくなり,収入増は僅か。それよりも多くの人に見てもらうことで,「博物館が有る」ことの効果を高める方がほとんどの博物館では有効かと思います。宮崎の県立博物館,美術館でも,無料化後,入館者数が約2.5倍に。一方,千葉の博物館は4割減(有料となった大人の入館者数だけ見れば,さらに大きく減っていることでしょう)。
もちろん,有料を支持する観点から,「しょせん只の施設」とするより,有料化した方が,利用者,博物館側とも緊張をもたらし,サービス向上に繋がるという意見もあるでしょうし,そもそも図書館と違い,私立が多い博物館。官民格差と思われる向きもあるかもしれませんが。
私個人は,無料の公立博物館が増え,より多くの人が博物館を利用し,そのことによって博物館の社会の中での位置がより強固に確立することで,公立,私立の博物館ともその活動が活性化し,サービスの向上にも繋がると信じていますが。

入館料の状況についてのデータ 2007年3月9日追記

平成17年度の社会教育調査によると,公立博物館のうち入館料を有料としているのは,登録・相当施設では665館中541館(81%),類似施設で3,348館中1805館(54%)。平成11年度調査では,それぞれ78%,39%であったから,上昇する傾向にある。
一方,財政が厳しい中でも,博物館法の趣旨を踏まえて,入館料を無料としている登録・相当施設が,都道府県立で18館,市区立の博物館で97館ある。